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帯域オークションはアリか?〜携帯周波数会合第6回(2/2 ページ)

総務省は「携帯電話用周波数の検討会」の第6回会合を開催した。今回は事業者は出席せず、各構成員の意見交換が行われた。テーマは「帯域オークション」。

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 「……高騰した落札額を携帯電話事業者から徴収して、国際償還などのために一般財源に充てた結果、国家の成長戦略産業であるIT産業の衰退を招くとともに、そのサービスが未だにほとんど開始されていない現状を踏まえることが必要」(報告書より抜粋

 実際、会場でも関口氏の発言のすぐ後に千葉大学の多賀谷一照構成員が、反対意見を表明した。

 「オークションは、(周波数帯とそこから得られる利益の関係が)固定化していることを前提にしている。だが、現状では外部要因が多すぎる」

 たとえば、これから先帯域をMVNO的に活用するケースも出てくると多賀谷氏。そうなると、帯域を価値に換算することはますます難しくなるという。

 野村総合研究所の村上輝康構成員も、「固定(の通信)と違い、携帯は始まったばかり。これから“疾風怒濤”の時代を経験しようとしている、変数のものすごく多いマーケットだ」と話す。

 こんなダイナミックなマーケットでオークションをやるのは“経済学”としてはともかく、実際問題はどうかとの見方。欧州などでのオークションの試みは、実際に反省を伴っていると指摘した。

 「やってみて、それを評価するという仕組みが大事では。たとえば(周波数割当を行っても)、3年後に必ず見直すことなどが考えられる」(村上氏)

帯域返上へ「圧力」かける仕組みが必要?

 オークションの反対論を聞いていた黒川氏は、帯域がムダに利用されているケースをできるだけ排除したいのだと話す。

 「(単純に早いもの勝ちで)帯域をとりあえず確保する、などということはやめようということ。オークション方式にも、やり方、局面というのはいくらでもある。特定のひっ迫した、どうしようもない帯域に対しては考えられる」

 黒川氏はまた、4キャリアからなる寡占状態で「ユーザーが支払ってしまっている見えないコスト」を考えるべきだと説く。このコストとはすなわち、事業者が切磋琢磨していれば料金が安くなったかもしれない、その分の“損”を指す。「こういうものは、だいたい計られたことがない」(同)

 黒川氏は、オークションを何がなんでも導入せよと主張しているわけではない、とも強調する。オークションは、極端な一例であり、大事なのは「ゲームのルール」、公正さを保つ「スポンテーニアス(自発的)な秩序」だという。

 「海外企業が日本で通信事業をやりたいといったときに、日本のルールは固有です、などと言わないですむよう、前もって備えておかないとまずいのではないか」

 東京電機大学の三谷政昭構成員は、帯域をとりあえず押さえて“飼い殺し”にするという事業者の姿勢が問題を招くという点で黒川氏に同意する。

 「ずっと使っていていいんだよと、既得権益を担保するかたちはよくない。電波を返さないといけないよう、企業に圧力をかける仕組みを、この機会に作らなくては」

 ただ、京都大学の吉田進構成員は「技術屋の(サービスが成功するという)予測と、その技術が実際に実ってくる(=市場が立ち上がる)時期にはズレがある」と慎重なコメントをする。せっかく技術開発に投資をしたのに、サービス加入者が増えなかったから、即帯域取り上げ――という事態を懸念しているようだ。

 「技術者が頑張ってやったなら、率先してやった人に見返りを与えるという仕組みがなければ」

 この議論は結局、座長を務める中央大学の土居範久氏が「今回で終わるわけではないので」と引き取って、次回に持ち越されるかたちになった。

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