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コラム

「A1404S」を手に、携帯のバランスを考える(4/4 ページ)

成熟機に入った携帯は機能の多寡では善し悪しを語れない。機能を増やせば重くなる、大きくなる。必要な機能だけを盛り込んで、コンパクトにまとめること。A1404Sはそのお手本となる端末だ。

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そのほかの機能は、あくまでオプションではあるが……

 さて液晶とカメラ以外の機能は、おそらく必須ではなく、ユーザーによって希望が異なる。A1404Sが搭載したのは、赤外線ポートとFMラジオチューナーだ。

 メモリカードスロットを持たないA1404Sにとって、赤外線ポートのような外部インタフェースはぜひとも必要。33万画素カメラにメモリカードスロットは不必要なのだ。ただし、欲をいえば赤外線よりもBluetoothを搭載してほしかったところ。音声アプリケーションとの相性もいいし、PCとのデータのやりとりも(今後は)Bluetoothのほうがやりやすくなるだろう。もっとも、他機種が赤外線をメインに搭載している以上、業界全体で赤外線をBluetoothが置き換えてからでも遅くはない。

 FMラジオチューナーは微妙な装備だ。カジュアルなライトユース端末としてA1404Sを見た場合、FMチューナーの選択は悪くない。ACアダプタのケーブルに、FMアンテナを兼ねさせ、充電台に載せた状態でラジオが聴けるのはいいアイデアだ。また、付属のイヤホンマイク(FMアンテナ内蔵)は途中がピンジャックコネクタになっており、自分の好きなヘッドフォンに交換できるのもうれしい。これまでauのFMラジオ内蔵端末は、付属のインナーイヤーイヤホンを使い続けるしかなかったのだ。


付属のイヤホンマイクは当然電話も可能。待受画面に戻してもラジオは付けっぱなしにできる。背面液晶には流れているラジオ局の周波数が表示される

 それでも、もしも前機種A1402S IIから幅が1ミリ増え、長さが4ミリ増え、厚みが2ミリ増えた原因がFMラジオチューナーにあるのなら、チューナーは微妙な機能と言わざるを得ない。着うたフルにも対応しない1X端末だけに、ラジオのためだけにイヤホンマイクを使うのはちょっともったいないとも感じるのだ。

 個人的にはFMチューナーよりも、GPS機能とEZナビウォークが欲しかった。auユーザーの間でもEZナビウォークは人気のある機能であり、使い慣れたら手放せない。A1404Sはハイエンド機種から乗り換えてもいいほどバランスがいいだけに、ここは惜しまれる。GPSの有無でハイエンドとローエンドを切り分けるauの戦略も分かる(そもそもベースバンドチップが違う)が、他キャリアとの差別化の意味でも標準機能にしてほしいところだ。

変わらぬソフトウェアと進化したダイヤルボタン

 優れたパッケージを持つA1404Sだが、ソフトウェアのほうは進化が停滞している。ソニエリ端末のウリでもあるPOBoxは基本的に従来のまま。最新の「W21S」では、カナ英数変換や絵文字、記号の履歴学習に対応したが、A1404Sには反映されていない。

 カメラの「シーンセレクション」も、「逆光」と「夜景」しか用意されていない。W21Sで改良されたソフトウェアはほとんど引き継がれていない印象だ。もっとも、この部分はシンプルでかまわないのだが。

 レスポンスよくきびきびと動くソニエリのソフトは評価が高く、POBoxとジョグダイヤルの組み合わせによる日本語入力も高機能だ(7月29日の記事参照)。しかしそれに甘えず、地道な改良を積み重ねてほしい。

 さてソフトウェアがあまり変わっていない一方で、大きく進化したのがダイヤルボタンだ。A1402S IIの小さく平面的なボタンに代わり、A1404Sでは大きな立体的なボタンが用意された。ボタン1つ1つが指で触って感触で分かるほど盛り上がり、クリック感もしっかりしている。ボタンに印刷された表記も大きくなり視認性も増した。

 機能はともかく、このダイヤルボタンの変更はユーザーインタフェースの進化という意味で大歓迎だ。


キーが盛り上がっているのが分かる

 ちなみに、側面のボタンに大した機能が割り当てられていないのもいい。1つめのボタンは背面液晶を点灯させるため。もう1つは長押しでカメラを起動するためのボタンだ。昨今、閉じたままでいろいろな操作をウリにする機種が増えている。それ自体は悪いことではないのだが、端末を開閉するときに誤動作が起きる端末が多いのだ。端末を開けなければ何の操作もできない──それはそれで1つの見識だと思うのである。

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