WMVビデオが再生できるってどれぐらい使えるの?:短期集中ロードテスト「M1000」 No.3
M1000の魅力の1つは、動画や音楽の再生。しかもiモード非対応だけあって、PCから取り込んだコンテンツをそのまま使えます。
前回原稿を書いてからずいぶんさぼってしまってどうもすいません。原稿にならない間も、「M1000」と遊んでいた筆者の一番のお気に入りは、M1000のビデオ再生機能。
特に、これまでの携帯電話では再生できなかったWMVファイルが再生できるというのがとっても気になってきました。というのも、携帯電話で動画再生といえば、アップルのQuickTimeなどを利用して作成可能な3GPPが定番だったわけですが、WindowsユーザーとしてはWindowsの標準ビデオ形式ともいえるWMVを再生してみたいわけで……。
再生できるWMVは前のバージョンのWMV8のみ
M1000の標準マルチメディアプレイヤー(“ビデオ”とアイコンにはかかれています)を利用して再生可能なビデオ形式は次のようなものになっています。
ファイル形式 | 3GPP、MPEG-4、WMV(Ver8)、ASF |
---|---|
表示サイズ | 176×144ピクセル以下 |
拡張子 | 3gp、mp4、wmv、asf |
となっています。
注意したいのはWMV形式のビデオが再生できるといっても、Windows Media Player 9以降で再生が可能な最新形式「WMV9」対応ではないということです。あくまで再生できるのは通称WMV8と呼ばれる、以前のバージョン。
そしてもう1つ、表示できるビデオの解像度は176×144ピクセル以下であり、それ以上の解像度のビデオは再生できません。実際、試しに720×480ピクセルなどのMPEG-2ビデオなどで利用される解像度のビデオをWMVに変換して試してみましたが、M1000では再生することができませんでした。
それでは、WMV8の動画を作成してみましょう。今回は、ペガシスの「TMPGenc 3.0 XPress」と呼ばれるソフトウェアを利用して、WMV8のファイルを作成してみました。TMPGenc 3.0 XPressはMPEG-2ファイルの作成などに利用されるエンコードソフトウェアですが、WMVファイルの作成にも利用できます。
WMV8のビデオを作成するには、「映像コーデック」と呼ばれる設定項目を「Windows Media Video 8」に設定すればOKです。ちなみに、ここを「Windows Media Video 9」に設定し、WMV9のファイルも作成してみましたが、M1000では再生失敗しました。
フレームレートは15フレーム/秒程度に落とさないとコマ落ち
すでに述べたように、ビデオの解像度も164×144に設定しておく必要がありますが、もう1つ注意したいのは、フレームレート(1秒間に再生できるコマ数のこと)です。
一般的なテレビ番組などは1秒間に30フレーム、アニメでは1秒間に24フレームとなっていますが、そうしたフレームレートを30フレームや24フレームに設定してビデオの作成を行うと、M1000では明らかに音声と動画がずれて再生されます。
これは、M1000のソフトウェアを動作させるのに使っているCPUが、フルフレーム(24フレーム/秒や30フレーム/秒)で再生するのに十分な性能を持っていないためではないでしょうか。実際、こうしたことはPDAでもよく起きていて、CPU速度が十分ではない場合には、こうした事態がまま起きます。
M1000のアプリケーションプロセッサは公開されていませんが、おそらく動作周波数はPDAほど速くないのでしょう。バッテリー駆動時間がPDAよりも重要な携帯電話ですから、このあたりは致し方ありません。
そこで、再生するビデオを作成する場合には、15フレーム/秒ぐらいに設定するといいでしょう。動きの速い動画を再生すると、やや不自然な感じがします。でもM1000の液晶はさほど大きくないため、15フレーム/秒でもあまり気になりません。ちなみに、24分のアニメ番組をWMV8、164×144ピクセル、15フレーム/秒、圧縮率を示すビットレートを100kbpsに設定してトランスコードすると、61.2Mバイトになりました。標準のTransFlashでも十分に入る容量です。電車の中でちょっと見るぐらいであれば、これでも十分楽しめるのではないでしょうか。
次回は、オーディオファイルの再生にチャレンジしていきたいと思います。
WMVファイルを再生しているところ。メニューから全画面表示を設定すると、ビデオが横一杯に表示される。WMV8形式で15フレーム/秒の場合、この横表示にすると、ややコマ落ちが起きる。もう少しフレームレートを落としたほうがよい
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PCやPCパーツのトレンドを中心に執筆するテクニカルライター。最も得意な分野はCPUだが、現在はデジタルホーム関連のテーマを追いかけている。大画面好きで、液晶の小さなノートPCにはほとんど興味を示さないが、実はパソコン通信全盛期には、PDAやミニノートが大好きなヘビーモバイラーだったらしい。
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ITmedia記者が、普段使いの携帯電話の模様をレポートする長期連載記事です。1人のユーザーとして、端末やコンテンツをレポートします。この端末の「○○を調べてほしい」「この点をメーカーに聞いてほしい」といった要望を、ぜひお寄せください。ロードテストの中で、できる限り調査し回答していきます。
読者のニーズが機種を決定
なお、本ロードテストで使用する携帯機種は、読者の皆様のニーズに基づいて決定します。記事へのアクセス数の増減を目安とし、随時機種を変更していく予定です。
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