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市場に定着。スマートフォン普及の理由韓国携帯事情

スマートフォン市場の盛り上がりにおいて、日本の一歩先を行くのが韓国。政府の政策もあり定着が進んでいる。しかし高機能化する携帯電話との棲み分けは課題だ。

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 ウィルコムの「W-ZERO3」などで、スマートフォンが次第に盛り上がりつつある日本だが、韓国ではすでに何機種かが発売されている。通常の端末に比べて市場規模は決して大きいとはいえないが、それでも市場にすっかり定着している。韓国でのスマートフォンを取り巻く環境や、最新機種を紹介する。

政府ぐるみで積極的な売り込み

 韓国でスマートフォンは「PDAフォン」と呼ばれており、「PDAの延長線上」といった印象が強い。それゆえほかの国同様、主な利用者はビジネスマンや携帯電話に多くの機能を求めるユーザが中心だ。しかし電車やバスの中でスマートフォンを耳に当てて通話をしたり、スケジュール管理をしたりする女性や若者の姿を見かけることもあり、比較的裾野は広い印象を受ける。

 スマートフォンが広く受けいれられているのには、キャリアの消極姿勢が長く続いていた日本と異なり、国、キャリア、そしてメーカがスマートフォンの普及に積極的だったからといえる。

 その筆頭に挙げられるのは「補助金」だ。韓国では通常の携帯電話端末に対する補助金は原則禁止されているが、スマートフォンに対しては許可されている。この分野を統括する韓国政府の情報通信部が、新技術の開発および育成を目的として、画面サイズが2.7インチ以上の端末に対し25%の補助金を許可しているのだ。

 ちなみにスマートフォンを通常価格で購入すれば、だいたい80万ウォン(約8万円)程度。これに補助金が出ることで60万ウォン(約6万円)程度で購入可能となる。60万ウォンといえば、MP3プレーヤやカメラを搭載しEV-DOに対応した高機能携帯電話と変わらない価格だ。それまで価格の高さがネックだったスマートフォンも、補助金のおかげでほかの携帯電話と同じ土俵で勝負できるようになり、ユーザの選択肢も広がって市場が活性化した。

 またKTFによる「Nespot Swing」も、スマートフォン市場を活性化させる要因の1つ言える。最近ではSONYの「PSP」も、KTの公衆無線LANサービス「Nespot」と連携しインターネットに接続できるようになっているが、携帯電話網とNespot網の両方を利用することで常にオンライン状態を保っていられる同サービスに対応したスマートフォンは、ビジネスマンなどには重宝するアイテムだ。

魅力的なスマートフォンが途切れることなく登場

 韓国でスマートフォンを提供しているメーカは主に、Samsung電子、LG電子、サイバーバンクなどだ。サイクルは早くはないが、途切れることなく特徴的な端末が出ているのも市場が活気を保っている要因の1つだろう。

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 ちなみに外資系では、HPが韓国市場専用のスマートフォンを投入していた。搭載するOSはWindows Mobile系が大半を占めており、Symbian OSやPalmOSなど、ほかのOSを搭載した端末はあまり存在しない。

 最近発表されたスマートフォンは、Samsung電子の「SCH-M600」だ。SCH-M600は、CPUにIntel Bulverde PXA272(520Mhz)、OSにはMicrosoft Windows Mobile 2003 Samrtphoneを採用しているほか、Bluetoothによる無線通信も可能なハイスペック機種だ。

 初期画面にメニューが表示されるため、素早くメニューへのアクセスが可能な「ホームスクリーン」機能や、画面の入力欄に名前などを入力することで、わざわざ住所録を開くことなく連絡先などを探せる「スマートダイヤル」機能など、操作上の手間を省く便利な機能も備えている。

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 またSamsung電子などの大手がひしめくスマートフォン市場で、健闘しているのがサイバーバンクだ。

 かつて日本にも進出したこともあるPDA専門メーカである同社は、これまでにも地道にスマートフォンを提供してきた。最新機種はSK Telecom向けの「POZ B300」だ。同機種の最大の特徴は、衛星DMB(モバイル放送)を試聴できるという点。スマートフォンで衛星DMBを見られるというのは、同社いわく世界初という。

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 このほかLG電子では「KC8100」を市場へ投入する予定だ。OSにMicrosoft Windows Mobile 5.0を採用したKC8100は、無線LANにも対応。Pocket MSNでチャットが楽しめるようになっている。

 特徴的なスマートフォンが次々リリースされる韓国市場だが、それと同時に最近は携帯電話の進歩も目覚しく、とくにエンタテイメント面ではスマートフォンと遜色ない程度にまで機能が向上してきている。こうした携帯電話のスマートフォン化はメーカ間の技術競争が激しく、最新技術を柔軟に取り入れる韓国では特に著しい。スマートフォン市場がPDAのように尻すぼみとならないためにも、ビジネス面での利用やPCとの連携など、今後はしっかりとしたポジショニングが必要となりそうだ。


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佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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