「F902i」の基本機能を試す──フォント・日本語入力編
素材の質感にこだわった富士通製端末「F902i」。レビューの第2弾では、新たに採用されたリュウミンフォントと日本語変換システム「ATOK+APOT」をチェックする。
素材の質感にこだわった富士通製FOMA「F902i」のレビュー第2弾では、新たに採用されたリュウミンフォントと、日本語入力システム「ATOK+APOT」をチェックした。
内なるデザインのこだわり──モリサワの明朝体「リュウミン」フォント
F902iの“内なるこだわり”ともいえるのが、モリサワの明朝体フォント「リュウミン」を採用した点だ。
リュウミンフォントは、初期設定のゴシックフォントから変更でき、メールやiモードの画面に留まらず、ほぼすべてのフォントをリュウミンに置き換えられる。標準フォントがボールド気味のゴシック体であるためか、リュウミンに切り替えるとかなり見た目の印象が変わって新鮮だ。
リュウミンが生きるシーンの1つは電子書籍データの閲覧時だ。専用アプリを使う書籍配信では必ずしもフォントがリュウミンに切り替わるわけではないが、メール配信される電子書籍データを閲覧すると、文庫を読んでいるような気分になれる。
ATOK+APOTに変更された日本語入力システム
日本語入力システムは、富士通独自の日本語入力システムからジャストシステムの「ATOK+APOT」に変更された。予測変換や次文節予測がある点はF901iSなどの従来端末と大きく変わってはいないが、変換ロジックと辞書は洗練され、かなり賢くなった。
ATOK+APOTへの移行は、ソフトウェア開発で協業体制にある三菱電機製の「D902i」と同時で、両者を比べてみても日本語入力の効率はさほど変わらない。日本語変換前のカナ入力での操作や、変換候補選択で4方向キーが使える点も同じで、従来の富士通FOMAの文字入力になじんでいるユーザーでも違和感なく使えるはずだ。「ATOK+APOT」の変換効率などはD902iのレビューも参考にしてほしい。
文字入力がD902iと同等なら、画面が広い分D902iの方が快適では──と思う人もいるだろうが、少なくともメール作成時にはそのような印象はさほど受けなかった。デコメール対応のFOMAではインライン入力ができず、縦長ディスプレイのD902iでも文字入力用の一時エリアが広いだけで、候補表示用のウインドウサイズや本文表示エリアサイズは変わらないからだ。
アドレス帳やメール機能は、ほぼ従来の富士通端末の延長上にあり、F901iSから大きな変化はない。アドレス帳は今どきの携帯としてスタンダードなタブ付きのもの。メール機能はメールアドレス以外にも題名で自動振り分けが可能であり、送信メールも自動振り分けに対応する。定型文を選ぶだけで素早く返信できる「クイック返信」機能も搭載している。
このように、画面サイズが異なる点を除けば基本的にはソフトウェア開発で協業している三菱電機製のD902iとほぼ違いはないので、細かい点についてはD902iのレビューも参考にしてほしい(レビュー1、レビュー2参照)。なおD902iが備える、任意の相手や日付ベースのメール検索機能「電話帳でメール検索」「アドレス帳でメール検索」は、F902iではサポートしていない。
新しい“Fならでは”の機能の登場に期待
F902iはデザイン面を除けば、基本的にはF901iSに902iシリーズの共通機能となる「iチャネル」や「プッシュトーク」を追加した製品といえる。ほかにも日本語入力システムの変更やセキュリティ機能の強化などといった改善点もあるが、他メーカーの902i端末と比べると、旧モデルからの機能的変化は控えめで、目新しさに欠けるのは否めない。富士通製端末といえば、「F900iT」で搭載したBluetooth機能を期待してしまうのだが、これも「P902i」にお株を奪われた形になってしまった。
ただP902iのBluetooth機能はヘッドセットやワイヤレスヘッドフォンの利用を軸にしている。今後、富士通端末にBluetooth機能が搭載されるのであれば、例えば優れたPIM機能を生かせるようワイヤレスでのスケジュール同期に対応するなど、PCとの連携が可能な形で載せてほしいと思う。
デザインを一新したF902iは、これまでどちらかといえば機能面の訴求が強かった富士通端末のターニングポイントともいえるだろう。ソリッド感のあるボディ形状と、プラチナミラーやメタルブロンズに見られる金属の質感を表現したカラーリングは強い印象を残す。このデザインと指紋認証センサーによる強力なセキュリティの組み合わせは、“大人向け携帯”としての存在感を醸し出すことには成功したといえそうだ。
なおPIM機能やAV関連の機能については、別レビューとして触れる予定だ。
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