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ドコモのiDとEdyは競合しないのか? 電子マネー業界を占う(1/2 ページ)

ドコモが携帯クレジットサービス「iD」を積極展開している。この積極的な姿勢は、ほかの電子マネー事業者との摩擦を生まないのだろうか? 電子マネー業界を分析する。

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 NTTドコモが、携帯クレジットサービス「iD」を積極展開している。従来も三井住友FGと提携してサービス展開していたが、4月28日からは自らカードを発行するイシュアとしてクレジットサービス「DCMX」を開始(4月4日の記事参照)。さらにサービスを推進する構えだが、この積極的な姿勢はFeliCaプラットフォームを利用するほかの電子マネー事業者との摩擦を生まないのだろうか?

 電子マネー業界の“現在”を分析しつつ、事業者の勢力図を考えてみよう。

QUICPayとライバル関係になったドコモ


「DCMX」の発表会で、サービスを紹介するドコモ執行役員の夏野剛氏

 そもそもドコモは、携帯のプラットフォーム事業者だった。「iモード」という場を提供するだけで、自らはコンテンツを提供しない。コンテンツの開発はコンテンツプロバイダに任せ、iモード網を流れるパケットの通信料で稼ぐ……というのが従来のスタイルだったはずだ。

 だがパケット定額制が導入され、プラットフォームを提供するだけでは収益が減ってしまう状況が生まれた(2004年12月29日の記事参照)。FeliCaによる「生活ケータイ」路線を打ち出した後も、定額制に移行しつつあるiモードネットワークと、通信料を生まないFeliCaという新プラットフォームで、どうやって収益を上げるのかという疑問の声は根強かった。この状況は今も変わらない。

 これを打ち消すように、ドコモはクレジット事業に参入することで「金融事業者」という新しい顔を見せつつある。ユーザーからすれば興味深い取り組みだが、事業者にすればドコモが「プレイヤー」の立場に下りてきたということであり、とりもなおさず「胴元が賭けに参加しはじめた」ということではないだろうか。

 象徴的だったのが、QUICPayという携帯クレジットサービスがあるにも関わらず、後出しでiDというサービスを開始したこと。当初、ドコモはQUICPayを応援する姿勢をとっていたが、やがて自らiDを始めてしまった。つまり、ドコモはJCBから見て「ライバル事業者」になってしまったわけだ。この結果、積極的にQUICPayを支援していたドコモ四国は、互換性のないiDとQUICPayの2種類の電子マネーをサポートするなど(2005年12月9日の記事参照)どこかいびつな状況も生まれている。このあたりのいきさつはITmediaの3月8日の記事に詳しい。

iDはEdyとすら競合する?

 iDとライバル関係にあるのは、QUICPayのような携帯クレジットサービスに止まらない可能性もある。Edyのようなプリペイド電子マネーサービスも、iDと競合するのではないか。

 両者にはプリペイドかポストペイか、という違いがあるがユーザーの使い方から見ればそれほどの差はない。どちらも携帯をリーダー/ライターにかざして、一瞬で決済できる点は同じだ。プリペイドサービスの場合は、チャージャーの前に行って現金をチャージする必要がある。あるいはクレジットサービスと連携させれば、いつでも好きなときにネットワーク経由で電子マネーのチャージが可能だ。一方ポストペイの場合は、最初からクレジットと連携させるのが前提だから、使った金額は後払い、当然「チャージレス」ということになる。プリペイドマネーがクレジットと結びつく限りは、両者を隔てる壁は希薄になる。

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