ケータイの中身、バラして見たくありません?(2/2 ページ)
機械産業記念事業財団(TEPIA)は9月8日から、「ちえものづくり」をテーマにした最先端技術の展示を行う。目玉は日立製ワンセグケータイ「W41H」の分解展示だ。入場は無料で、大人でも楽しめる内容になっている。
ワンセグケータイ「W41H」を完全分解──各部品の解説付き
身近な製品の次は、今回の展示最大の目玉となる「生産工程にみられる ちえものづくり」のゾーンだ。ここでは最先端技術を用いて製造される製品の構成要素や製造工程を展示している。
中央には日立製作所の協力により、auのワンセグケータイ「W41H」の分解モデルが展示されている。中央にグレースホワイトのW41Hがあり、その周りを取り囲むように基板やチップ、液晶ディスプレイ、ボディのフレーム、ヒンジのパーツ、FeliCaチップとそのアンテナなどが所狭しと並んでいる。これは必見だ。携帯の中がどうなっているのか見てみたい、という欲求を存分に満たしてくれる。
分解モデルの周囲には、基板の製造工程を映像で紹介するコーナーや、基板や射出成型で製造される外装品などの展示、金型などがあり、普段目にすることのない、ケータイの中身やケータイがどうやって作られているかといった部分を間近に見ることができる。


展示スペースは3段に分かれており、各パーツが見やすいように配置されている(左)。下部の引き出しを手前に出すと、展示スペースの各段に対応した説明が用意されており、それぞれの部品がどんな機能を持っているのかが分かるようになっている(中)。基板やコネクタだけでなく、チップや抵抗の1つ1つまで見ることができる(右)

メイン基板はチップと基板を別々に展示(左)。裏側も確認できるよう、下には鏡が敷いてある。カメラモジュールやFeliCaの基板とアンテナなど、細かな部分も確認できる(中)。現在のオートフォーカス付きカメラユニットと、1980年代後半の30万画素モノクロビデオカメラを比較した展示も(右)

実際に工場で使われていた外装パネルの金型なども見ることができる(左)。射出成型で作られる背面パネルやシール類、接着剤など、製造に使われるあらゆるものが展示されているのが興味深い(中)。かたわらには、日立製作所製の“ショルダーホン”「CR-1100H」を分解したものも展示されている(右)痛くない注射針「ナノパス33」など、中小企業の技術にも注目
このほか、独自の技術で世界市場からも注目されている中小企業の製品を紹介するゾーンもある。蚊の針から着想を得て開発された世界一細い注射針「ナノパス33」、米国防総省や航空機内の避難誘導表示などに採用されている夜光塗料「N夜光(ルミノーバ)」といった、世界に誇れる高い技術で製造された製品たちが展示されている。
製造している企業の名は、一般にはあまり聞かないものが多いが、その技術力の高さには驚かされる。


岡野工業の痛くない注射針「ナノパス33」は、非常に薄い板を筒状に加工して作られる(左)。根本特殊化学が開発した「N夜光(ルミノーバ)」は、従来の10倍の明るさで10倍長い時間発光する夜光塗料(中)。米国防総省などでも利用されているという。生方製作所の「ピオマ」は震度5以上の地震を感知するとライトが付く機能を備えた住宅用火災警報機だ(右)入場料無料で、めったに見ることができない携帯電話の内部がつぶさに観察できてしまう今回の展示は、携帯電話に興味があるなら一見の価値がある。もちろん携帯の中身以外にも、身近な製品が実は非常に高度な技術から作られていることが分かり、学生/生徒だけでなく、大人も十分楽しめる内容となっている。
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