タワレコが自宅にやってきた――「ナップスタージャパン」を試す:レビュー(3/3 ページ)
国内初の定額制音楽配信「ナップスタージャパン」が開始された。サービスとしては後発だが、「聴き放題」という言葉のインパクトは強い。早速利用してみた。
楽曲持ち出しは対応機種が少しさみしい
本サービスの大きな特徴のひとつが、視聴期限付きの楽曲をポータブルオーディオプレーヤーへ持ち出すことができる点だ。持ち出すには「Napster To Go」に加入している必要があるが、加入していれば、対応プレーヤーを接続するとクライアントソフトの「ライブラリ」画面にプレーヤーがアイコン表示されるので、任意の楽曲を選んで転送すればよい。
転送できるのは「Windows Media DRM10 for Portable Devices」対応デバイスで、現在のところ東芝の「gigabeat」やアイリバー・ジャパン、クリエイティブメディア、日本ビクターの一部製品とNTTドコモの携帯電話「F902iS」が対応する。既存のWMA対応製品(Windows Media DRM 9対応製品)には転送できないので注意が必要だ。試しに手元にあったクリエイティブメディア「Zen Neeon2」(Windows Media DRM 9対応製品)を接続してみたが、認識されなかった。
- 現在アナウンスされているNapster To Go対応製品
製品名 | メーカー | 容量 |
---|---|---|
gigabeat V30T | 東芝 | 30Gバイト |
gigabeat S30 | 東芝 | 30Gバイト |
gigabeat S60 | 東芝 | 60Gバイト |
Alneo XA-C59 | 日本ビクター | 512Mバイト |
Alneo XA-C109 | 日本ビクター | 1Gバイト |
Alneo HD-500 | 日本ビクター | 6Gバイト |
Zen V plus | クリエイティブメディア | 4G/2G/1Gバイト |
Zen V | クリエイティブメディア | 2G/1Gバイト |
Zen Vision:M | クリエイティブメディア | 30G/60Gバイト |
Zen Vision | クリエイティブメディア | 30Gバイト |
Zen Micro | クリエイティブメディア | 5Gバイト |
Zen Micro Photo | クリエイティブメディア | 8Gバイト |
Zen Touch | クリエイティブメディア | 20G/40Gバイト |
U10 | アイリバー・ジャパン | 512M/2G/1Gバイト |
T10 | アイリバー・ジャパン | 256M/512M/2G/1Gバイト |
F902iS | 富士通 | 最大2Gバイト(miniSDメモリーカード) |
Napster To Goが利用可能なプレーヤーを一覧にしてみるとそれなりの数があるように見えるが、世に存在するWMA対応製品の数に比べるとかなりさみしい。今後登場するWMA対応製品ではかなりの数が対応すると考えられるが、「手持ちのポータブルオーディオプレーヤーで使えるか」といわれると、かなり限定されてしまうというのが答えになるだろう。
邦楽と対応プレーヤーの充実が今後のカギ
駆け足ではあるが、日本初の定額制サービス「ナップスタージャパン」について触れてみた。米Napsterとタワーレコードの合弁企業が運営していることもあり、用意されている楽曲やリコメンドリストを見る限りでは、「インポートCDに強いタワレコ」のイメージとあまりブレのないイメージに仕上がっているといえる。
特に洋楽の充実は目を見張るものがあり、少々マイナーと思われるアーティストの楽曲もかなりの確率で見つかる。近年定着してきた各種の夏フェスに出演するようなアーティストならばほぼ網羅されている印象だ。なによりも、「月額1280円で聴き放題」というのは素晴らしい。
ただ、それだけに邦楽の曲数(カタログ)の少なさが気になってしまう。特にポップス/ロックの少なさは顕著で、試しにオリコン週間チャート(10月9日付)にランクインしているアーティストを検索してみたところ、マッチしたのは「絢香」と「DJ OZMA」だけだった。邦楽メインの音楽ファンにアピールするためには邦楽の充実は欠かせない要素だろう。
前段でも触れたが、Napster To Go対応プレーヤーの少なさも課題だ。PCで音楽を楽しむユーザーが増えているとはいえ、iPodのヒットからも分かるように音楽を携帯するというライフスタイルはもはや完全に定着しており、せっかく充実した楽曲を揃えていてもPCの前でしか楽しめないのでは楽しさは半減してしまう。
とはいえ、あたかも眼前にタワレコがあるかのように低価格でほぼすべての楽曲が楽しめるのはこれまでになかった楽しさだ。「水道の蛇口のように音楽を聴ける」――発表会では本サービスがこのようなセリフで表現されたが、まさしくその通りだといえる。現在のところは「タワレコ」のイメージをそのままオンラインに持ち込んだサービスだが、邦楽と対応プレーヤーの充実が進めば、「CDショップ」がそのまま自宅にやってきたようなサービスへ変貌するだろう。
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