「PaPeRo」とお遊戯――携帯電話を利用した子ども見守りシステム
NECとNTTは10月25日、パーソナルロボット「PaPeRo」と携帯電話を利用した“保護者参加型の子ども見守りシステム”「メルロボ連絡帳」を発表した。
NECとNTTは10月25日、パーソナルロボット「PaPeRo」と携帯電話を利用した“保護者参加型の子ども見守りシステム”「メルロボ連絡帳」を発表した。2006年中に世田谷区と南アルプス市の託児・知育施設で実証実験を行い、数年以内の実用化を目指す。
PaPeRoのハードウェアに変更はない。実験では保育園にBフレッツを引き込み、PaPeRoは無線LANを介して接続。各種サーバは、NTTサイバーソリューション研究所が開発した「ActionSwitchプラットフォーム」を利用する
メルロボ連絡帳には、2つのアプリケーションが用意されている。1つは、保護者が自宅から携帯メールで曲をリクエストすると「PaPeRo」が歌い出す「メルロボ」。平文で書かれたメールは、NTTが開発した「キーワード抽出コマンド変換技術」でロボットのコマンドに変換され、PaPeRoに伝えられる。リクエストを受けたPaPeRoは、歌いながら目のカメラで子どもの様子を撮影。保護者は携帯電話の動画メールで確認できるという仕組みだ。
「ロボットを使うことで、子どもの目の前にカメラを設置できる。固定式のWebカメラなどを使った見守りシステムと大きく異なる部分だ」(NECメディア情報研究所の山田敬嗣所長)。
PaPeRoが歌い終えると、保護者には感想を求めるメールが届く。それに返信すると、PaPeRoが音声化して子どもに伝えるといったコミュニケーションが可能だ。保護者のメールアドレスや対応する子どものID、ロボットのIDなどはサーバで一元管理する。ロボットは個人情報を保有しないため、万が一盗難などに遭った場合でも個人情報が漏れることはない。
もう1つのアプリケーションは、保育士がリモコンを使って園内の写真を撮影し、ブログにアップする「ロボ連絡帳」。撮影した写真をPCの画面で選択し、コメントを付けるだけの簡単なツールだ。「施設では、スタッフ任せで子どもの様子を知る機会があまりない。見守りシステムを導入すると、ロボットに保護者はロボットに指示し、また情報共有も円滑になる。施設側も保護者と円滑に情報を共有できる」
両社は、2つの施設の協力を得て実験を行い、ロボットの存在がコミュニケーション相手に与える安心感や満足度の検証、技術課題の抽出、およびサービスメニューの検討を行う。「外部サーバとの連携動作を可能にすることで、ロボットの動作バリエーションが広がり、より親しみのわくロボットサービスが実現できる。保護者の代わりに子どもと遊べる“エージェント”的な存在になればいいと思う」(NTTサイバーソリューション研究所の小川克彦所長)。
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