ソフトバンク孫社長「MNPでは大変善戦していると思う」(2/2 ページ)
ソフトバンクの中間決算発表でも、話題の中心はソフトバンクモバイルの携帯電話事業だった。10月24日に始まった番号ポータビリティについて孫正義社長は「大変善戦している」と話した。
Yahoo!ケータイへのアクセスは正式運用以降急増
10月1日から、ポータルサイトを「ボーダフォンライブ!」から「Yahoo!ケータイ」に変更したが、その影響も簡単に紹介した。
10月に入り、検索クエリーの数は9月の約3倍になったという。ボーダフォンライブ!だった頃も一定数のアクセスはあり、検索なども行われていたが、これがYahoo!ケータイに変わったとたんに急激に増えた。またYahoo!Japanへのアクセスも、Yahoo!ケータイの導入によって1日あたりの閲覧数が6月末(Yahoo!Japanへのリンクを追加する前)の8倍以上に増えている。
「ボーダフォンライブ!は、携帯3キャリアの中でもコンテンツが最も少なかった。しかしYahoo!ケータイを利用すれば、株価や天気などの情報はほとんど無料で見られる。さらにPCと携帯で同じメールアドレス、アドレス帳、カレンダー、メッセンジャーなどが使えるよう、Yahoo!mocoaという新しいアプリなども用意した。Yahoo!BBで培った、ウイルス検索のようなASPサービスのノウハウを生かした『X01HT』向けのサービスなども展開している。インターネットの世界を携帯で楽しめる仕組みをこれからももっと提供していきたい」(孫氏)
11月に入り、純増数は順調な伸び
営業体制については、10月28、29日に番号ポータビリティ手続きができなくなるというトラブルを起こしたことや(10月31日の記事参照)、料金プランの宣伝方法で物議を醸したこともあって(11月1日の記事参照)、滑り出しは順調とは言えなかった。しかし、11月も1週間を過ぎて状況は落ち着いてきた。
10月と11月1〜7日までの純増数や番号ポータビリティを利用した転入出数は既報の通りだが(11月8日の記事参照)、11月の最初の7日間では2万8000の純増となっており、この数字を見る限り、11月の純増数は従来よりも増えそうな勢いだ。ソフトバンクの新料金プランでは、2カ月の無料期間がある関係で、月初に契約が集中する傾向があるため、スタートの勢いがいいという事情はあるものの、新料金プランに魅力を感じているユーザーも少なくないのだろう。
KDDIが35万2600の純増を記録し、圧倒的な強さを見せたことについては「敬服している」と孫氏。「立ち上がりのシステムその他のごたごたで若干(マイナスの)影響があったが、トータルの数字としては、関心を持ち共鳴してくださったお客様が数多く来店してくださっているという部分もあり、11月に入っても純増基調で推移しているのは決して悪い状況ではない」
孫氏は「ぜひ毎月の純増を私どもと一緒に一喜一憂していただきたい」と話した。
難しい事業に対し、誠心誠意取り組み、真っ正面から改革に向かいたい
番号ポータビリティ開始当初、手続きにトラブルが発生したことについて孫氏は「売り逃しになったのは間違いない。ただどのくらいかというのは誰にも分からない」と話す。そして10月の契約者数が2万3800の純増になった(11月8日の記事参照)ことについても、「ほんの2週間前まで、MNPに関するあらゆるアンケート調査、メディアの評価、事前予測で、旧ボーダフォンは一番ユーザーを激減させるのではないか、草刈り場になるのではないかと予想されていた。しかし、結果的には純減ではなく純増を達成している。大変善戦しているのではないか」(孫氏)との見通しを示した。
トラブルを起こしたことについては「深く反省している」と話したが、「ほんの数カ月前(7月)まで、ボーダフォンジャパンのシステムは9つの地域に分散されていた。課金系のシステムなどが地域ごとにバラバラだった。これを1本化する必要があった。さらにMNPという誰も経験したことのない新しい課題が加わった。両方のシステム構築が同じ時期に重なったため、システム部門の担当者たちの重い課題となってしまった。他社からはもっと早い時期にMNPを開始したいという要望もあったが、他の2社に正直に現状を話し、ギリギリの10月23日まで開発作業や接続試験を行ってきた」と複雑だった舞台裏の事情を明かした。
直前になって新料金体系を発表したこと、度重なる料金施策の変更などがシステムの負荷増大に影響したのではないか、との見方については、「プライステーブル(料金表)を差し替えるだけなので、システムに大きな負荷をかけるようなことはなかったと思う」と否定した。
「ソフトバンクはもともとシステムの構築や運用を担ってきた会社。そのプライドにかけて、(ソフトバンクモバイルの)システムの運用を頑張っていきたい。今後は万全を尽くしていきたいが、仮に何か問題があっても基幹システムは継続して運営できるようにしていく」(孫氏)
最後に同氏は「稚拙な受け入れ態勢とか、広告の出し方の不手際とか、そういった面でご指摘を受け、あるいはご批判を受けたことは、我々自身が真摯に真っ正面から受け止める。一部でも問題があるなら、いち早くお客様のためにさらに改善する。ご批判は、我々が足りなかった部分を改めるために必要なプロセスだった。もちろん、改めるべきものがないのが一番いいのは理解している。トラブルを起こしたことも深く反省している。ただ、それはチャレンジ精神あっての、やや荒削りな部分だったと理解してほしい。難しい事業に対し、誠心誠意取り組み、真っ正面から改革に向かいたいと思っている」と意気込みを語った。
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