音楽機能もボディカラーも、テーマは“親しみやすさ”──開発陣に聞く「D903i」:「D903i」開発者インタビュー(前編)(2/2 ページ)
2.8インチ液晶搭載のスリムボディ、着うたフルやWMA対応の音楽プレーヤー、音を飛ばせるFMトランスミッター──。6代目スライドFOMA「D903i」が目指したのは、より多くの人が親しみをもって使える音楽携帯だ。
「普通の人でも理解しやすい音楽の使い方をテーマにした」と、D903iの音楽機能についてNTT事業部の増田英雄氏は説明する。音楽周りの機能を搭載するにあたっては“PCや携帯の操作が苦手な人でも、気軽に携帯で音楽を楽しんでほしい”という思いを形にしたという。
「PCや携帯を使いこなせる人たちばかりに向けて作ってしまうと、一般の人にとっては使いにくくなる場合もあります」(井上氏)。機能やスペックを追究するのではなく、携帯で音楽を楽しむことを身近に感じてもらえるような携帯のあり方を追求した結果、搭載することに決めたのがFMトランスミッターだ。
「身の回りに対応機器がたくさんあるならBluetoothでもよかったのですが、今、一般の人が受け入れやすいのは何かと考えると、FMトランスミッターだったのです」(井上氏)
FMトランスミッターなら、カーステレオや家のオーディオコンポに付いているFMラジオを利用でき、設定も簡単だ。また、D903iにはFMラジオも搭載されている。ラジオで流れている曲をNOW PLAYING情報取得機能で調べ、その着うたフルをiモードサイトから検索してダウンロードできる。これも音楽の敷居を低くして、幅広いユーザーが楽しめるようにしたい、という狙いの現れだ。
「音楽機能は注目されていますが、実際に携帯で聴いている人はまだ少ないと思います。でもラジオなら、それほど敷居は高くないし、そこを入り口にして携帯で音楽を聴くスタイルがどんどん広げがっていけばと思うのです」(井上)
もちろん、そこには他モデルとの差別化という意図もある。「再生時間を長くしたり、Bluetoothを使ったワイヤレスオーディオスタイルを提供したり、マルチDRMに対応したりといった、スペック的なものを追求するメーカーは結構あるかな、と予想しました。でも、D903iが狙うユーザーの中には、そういうことが響かない人もいるのではないかと。むしろ、車の中やお風呂の防水ラジオ、キッチンに置いたラジオで聴くなど、普通の生活の中で利用シーンがイメージできるような機能を盛り込みたかった」(井上氏)
とはいいつつも、ミュージックプレーヤーは8種のイコライザを備え、着うたフルとWMAが混在したプレイリストも作れるなど、D902iSより性能は進化している。定額制の音楽配信サービスのNapster To Goにも対応しているので、PCや携帯を使いこなしているユーザーにも便利に使ってもらえると井上氏は胸を張る。
「携帯で音楽を聴くためには、まず楽曲を入手するステップがあります。D903iではFMラジオを聴きながら入手してもらう方法のほかに、『Napster to Go』にも対応しているので、それなりのリテラシーがある人はPC経由で入手できます。そうやって取り貯めた曲は、FMトランスミッターを使って、クルマに乗っているときに聴くとか、FMラジオ付きヘッドフォンで聴くということが可能になります。幅広いユーザーに向けた入口と出口をキチンとサポートし、生活の一部として“携帯で音楽”を楽しめる──。これがほかの端末との差別化ポイントになるでしょう」(井上氏)
インタビューの後編では、今後、三菱電機が目指すスライド携帯の方向性について紹介する。
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