“ケータイらしさ”が加わりより身近な存在に――「W-ZERO3[es]」:ITmediaスタッフが選ぶ2006年のベスト端末(編集部平賀編)
ダイヤルキーを搭載し、「W-ZERO3」よりも音声端末に近づいたデザインの「W-ZERO3[es]」。“話せるPDA”から脱却した本機は、スマートフォンの草分けと言えるのではないだろうか。
順位 | 端末名 | 概要 |
---|---|---|
1位 | W-ZERO3[es] | Windows Mobile搭載、横スライドQWERTYキーボード、タッチペン対応2.8インチVGA液晶、よりケータイらしい大きさとデザイン |
2位 | N903i | VGA+(460×690ピクセル)ディスプレイ、ニューロポインター、手になじむLink Face Design、着うたフル/SD-Audio混在プレイリスト |
3位 | 9(nine) | WILCOM SIM STYLE対応、ミニマルデザインのストレートボディ、W-OAM方式の新W-SIM(RX420AL)同梱 |
スマートフォンの草分けとなるか?――「W-ZERO3[es]」
2006年のベスト端末に選んだのはウィルコムの「W-ZERO3[es]」。ポイントは、より音声通話に適したデザインになったことと、USBホスト機能を搭載しているので周辺機器のバリエーションに期待が持てることなどが挙げられる。
「W-ZERO3」と比べて[es]は、ケータイとして許容できるデザインと大きさになったと思う。W-ZERO3は通話もできるPDA、またはネットワーク端末としてかなり完成度が高いが、これまで所有していた音声端末の代替とするには、ちょっと勇気が必要なモデルだった。[es]であれば、ケータイとして従来機の買い換え対象にもなるし、Windows MobileによってPCライクな使い方もできる。
特にダイヤルキーとソフトキーで、ほとんどの操作を行える点がうれしい。ダイヤルキーからの文字入力も、ATOKの搭載によりウィルコム端末の中ではかなり使いやすい部類に入る。もちろんこれに加えて、直感的な操作が可能なタッチパネルと、長文入力に向くQWERTYキーボードを使うことができる。
携帯とPDAを組み合わせた際にありがちな中途半端さが少なく、スマートフォンの草分け的存在になればと思うが、“スマートフォンってこんなもんか”と言われないような改善にも期待したい。Windows Mobileの動作速度や、標準で無線LANに対応しない点、メールソフトやデジカメの機能がもう一歩という点などだ。
ただ、今現在買うとしたら、ベストなスマートフォンであることは間違いないので、2006年の第1位とした。
VGA+の使いこなしに欠かせない存在とは――「N903i」
FOMA端末で初めてVGAクラスの液晶を搭載した「N903i」を第2位とした。「N902iS」のデジカメ機能や日本語入力機能を進化させ、ミュージックプレーヤーの混在プレイリストなどを「N902iX HIGH-SPEED」から引き継いだN903iは、そもそも基本的な機能のできがよい。手になじむフォルムやヒンジのしっかり感など、伝統的に重視している上質な使用感も、高い完成度に達している。
そこにプラスオンされたVGAクラスのディスプレイだが、すでに同様のディスプレイを搭載する音声端末は、ソフトバンクモバイルでラインアップされている。高解像度を生かすドキュメントビューアやフルブラウザ、GPSなどの機能も同様だ。N903iが優れているのは、これまた同社伝統のニューロポインターとの組み合わせによる、高い操作性となる。
N903iのVGA+液晶が生きるフルブラウザやGPSなどの機能は、画面やポインターを縦横だけでなく斜め方向へ動かすことが多い。マウスやトラックパッド、トラックポイントに近い操作性で、広い画面をデスクトップに近い感覚で使えるのは、今のところN903iだけだ。
「9(nine)」の思い切りの良さに感心
第3位には、発売されたばかりの「9(nine)」を選んだ。ウィルコムがSIM STYLEで展開する端末には、スマートフォン系(W-ZERO3シリーズ)、音声系(TT、nico.)、データカード系(DD、WS008HA)がある。これらとは別に、販売メーカーのサービスに特化した端末として、バンダイ向けに「キッズケータイPaPiPo」を用意している。
音声系のSIM STYLE端末の共通点は、とにかくシンプルなこと。TTもnico.も、通話とメールができればよいという割り切ったモデルで、9(nine)も例外ではない。むしろWebブラウザが付いている分、多機能なほうだ。
これにデジカメが付いていればと願わないでもないが、モノリスのようなフォルムや手のひらに収まるサイズが崩れるなら、このままでも良いかなと思ってしまう。auの「INFOBAR」に近いコンセプトだと思うが、9(nine)は機能もデザインもより絞りこんだという印象だ。
とことんシンプルな9(nine)だが、W-ZERO3シリーズなどのSIM STYLE端末との共用も可能だ。回線はそのままに、シチュエーションに合わせて端末を選べるというSIM STYLEの可能性を広げた1台ではないだろうか。
関連記事
- ITmediaスタッフが選ぶ2006年のベスト端末
番号ポータビリティ制度の開始に伴い、90機種以上が発売された2006年の携帯業界。ITmediaスタッフが“これぞ2006年のNO.1”と感じたのはどの携帯か? 編集/ライター合わせて12人に聞いてみた。 - 写真で解説する「W-ZERO3[es]」
縦に持つとストレート端末風、横に持つとフルキーボードが使えるPDA風……最新のW-SIM端末「es」は、従来のW-ZERO3に感じた不満をことごとく解消した意欲作に仕上がっている。 - 「本能的に欲しくなる」──[es]が埋める“間”
W-ZERO3[es]は、音声端末とデータ端末の“間”を橋渡し。「ケータイの軽やかさとPCの便利さをコンパクトに融合」した新端末だ。 - 解像度480×690の2.5インチVGA+液晶、手ブレ補正機能を強化――「N903i」
NEC製の「N903i」は、ドコモの音声端末としては初の2.5インチVGA+液晶を装備したハイエンドFOMA。新たに静止画6軸、動画4軸の手ブレ補正に対応した「ウルトラデジタル手ブレ補正」も搭載。 - 「ウチだけだったので驚いた」――開発陣に聞く「N903i」のVGA+ディスプレイ
903iシリーズで唯一、VGAクラスのディスプレイを搭載するNEC製のFOMA端末「N903i」。同社開発陣に、VGA+(480×690ピクセル)という高解像度ディスプレイを採用した狙いを聞いた。 - 「赤耳」とARM9がもたらすサクサク感――開発陣に聞く「9(nine)」
シンプルなデザインに通話・メール・Webブラウズと割り切った機能を搭載する「9(nine)」。このシンプルさにはどのようなこだわりが込められているのが、ウィルコムの開発担当者に話を聞いた。 - ウィルコム、W-OAM対応「W-SIM」搭載の音声端末「9(nine)」を12月中旬発売
ウィルコムは10月18日に開幕した「WPC TOKYO 2006」のMobileXStyle!パビリオンで、WILLCOM SIM STYLEに対応したケーイーエス製の音声端末「9(nine)」を展示している。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.