固定通信と同様に、ケータイのブロードバンドにも革命を起こす──イー・モバイル千本会長(2/2 ページ)
携帯電話業界の13年ぶりの新規参入事業者イー・モバイルが、いよいよ3月31日からサービスを開始する。手始めにデータ通信カードとシャープ製のWindows Mobile 5.0搭載端末をリリースし、データ通信市場でのプレゼンスを確保する。
「世界最先端の市場でサービスを開始するイー・モバイルと協業できて光栄」──米QUALCOMM
EM・ONEの開発に尽力したパートナー企業からも代表者が駆けつけ、イー・モバイルのサービス開始と新端末投入を祝った。
EM・ONEにチップセットとHSDPA対応の無線技術を提供した、米QUALCOMMのCEOポール・ジェイコブス氏は、「無線通信業界に大きな変革をもたらす千本氏のような人物とともに、今日この場にいられることを光栄に思う」と挨拶した。
さらにジェイコブス氏は「世界の3G携帯利用者はすでに4億2500万人おり、3G携帯の市場が世界で拡大しているのは間違いない。その中でももっとも競争が激しい日本市場で、新たにサービスを開始する事業者とQUALCOMMがパートナーを組めたのはとても光栄であり、エキサイティングなこと。これからもデータ通信速度の向上やコスト、サイズ、消費電力の削減を、全体のバランスを取りながら図っていきたい」と、今後も強力なパートナーシップを維持することを宣言した。
「EM・ONEは携帯電話とPC、そしてAQUOSの技術を融合した製品」──シャープ
シャープの代表取締役副社長、松本雅史氏は「ちょうど1年ほど前にイー・モバイルのトップから端末の開発要請を受けた」と同社がEM・ONEの開発に至った経緯を紹介。「受けることにしたがそれからが大変だった。一時期は開発面で発売が危ぶまれるようなこともあったが、何とか今日発表できて喜んでいる。開発中はトップの4名が何度も大阪にあるシャープ本社や奈良の工場にやってきてその場で結論を出していくというスピード経営を見た」と苦労が絶えなかった様子だ。
EM・ONEの厚さについては「当初の計画では22ミリから23ミリ程度だったが、開発を進めるうちに何とか20ミリを切ることができた。最初はそれでもいいかと思ったが、最終的には要求仕様を満たしながらも小型化をさらに進め、厚さ18.9ミリを実現した」と松本氏。さらにEM・ONEが通信システム事業本部、AVシステム事業本部、そして情報通信事業本部にまたがるプロジェクトで、携帯電話とPC、そしてAQUOSの技術を融合した製品であり、「携帯電話市場とモバイルPC市場の両方にアピールできる製品」と自信を見せた。
「日本市場への初参入から14カ月で“コンバージ端末”が急増」──マイクロソフト
Windows Mobileの開発元であるマイクロソフトの代表執行役社長、ダレン・ヒューストン氏は、2005年12月に「W-ZERO3」が投入されてからほんの14カ月しか経っていないにもかかわらず、日本市場で急速にWindows Mobileを搭載した“コンバージ端末”が増えている現状を紹介。2010年までには、日本国内で販売される端末の70パーセントがコンバージ端末になるという調査会社の資料などを引用し、Windows Mobile搭載端末の広がりをアピールした。
さらに「Windows Mobileなら、PCと同等の体験や美しい表示、データのシンクロや新サービスへのアクセス、高いセキュリティ、柔軟なプログラマビリティといった、ユーザーが求めるさまざまな要求に応えられる。またスピーディーに端末を開発をする必要がありつつも、開発コストは低減しなくてはならない端末メーカーにとってもWindows Mobileは有用。高い拡張性や、ソフトやセキュリティ機能のアップデートも可能なデバイス管理機能なども提供できる」とWindows Mobileの利点を強調した。
ちなみにEM・ONEに搭載されているWindows Mobile 5.0 software for Pocket PC 日本語版は、ワイドVGAディスプレイに対応したほか、ワイドVGAに正式対応を果たしたInternet Explorer Mobileを搭載する最新バージョンとなっている。
「情報との接点を分かりやすく、使いやすくした」──ヤッパ
EM・ONEに3D表示のポータルインタフェースを提供したヤッパの代表取締役社長、伊藤正裕氏は、「ヤッパは情報との接点を作り出す会社」と自社を紹介。「数多くの情報にアクセスできる環境で、情報との接点を分かりやすくしたいという思いがあった。そこで、人間の“連想する能力”に着目し、独自のインタフェースを開発した」と独自の3Dコンテンツブラウザを開発した経緯を話した。
同氏は「映像や音楽、さまざまなインターネット上のデータをブラウザ上に1つ1つ表示すると、アクセスに時間がかかるしわかりにくい。そこで、誰でも簡単に“中に何かが整理されて入っている”と連想できる引き出しにして、その中に各種コンテンツを集約した。引き出しの中のコンテンツは、リアルタイムでコンテンツプロバイダのサイトから集めてくる。引き出しに情報を集約することで、インタフェースを分かりやすく、使いやすくできたと思う」と、その使い勝手を紹介。実際に誰でも簡単にインターネット上の情報にアクセスできる様子を実演して見せた。
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