「Windows Mobileは2段目のロケットに点火した」──MSが順調な伸びをアピール(2/2 ページ)
マイクロソフトは3月7日、プレスセミナーを開催してWindows Mobile搭載デバイスの順調な広がりをアピール。Windows Mobile搭載端末をラインアップするキャリア各社も今後の展開などを説明した。
「ワイドVGA対応はイー・モバイルたってのお願いだった」──イー・モバイル
最初に登壇したイー・モバイルの商品開発本部 移動機統括部長 松坂貴弘氏は、同社が3月1日から予約の受け付けを始めた「EM・ONE」を改めて紹介。プレゼンテーションもEM・ONEのアナログRGB出力アダプタを利用して行った。
松坂氏は、EM・ONEがWindows Mobile 5.0搭載端末としては世界で初めて横800ピクセルの4.1インチワイドVGAディスプレイを採用した理由を「通常のPCサイトがより快適に閲覧できるようにと考えてこのスペックにした」と説明。「開発当初、マイクロソフトとシャープにこのこと(ワイドVGAディスプレイを採用したいこと)を相談したときは、ワイドVGAへの対応は、Windows Mobile 6.0以降で行われるという話だった。しかし、イー・モバイルたってのお願いで、Windows Mobile 5.0の最終バージョンとなる今回のリリースで対応していただいた」という裏話も披露した。
同社では、EM・ONEのデザインや載せる機能などを考えるにあたり、PCを持ち歩かなくても快適にWebブラウズやメールの送受信が行えることを念頭に置いたという。そこで高速通信が可能なHSDPAに対応し、料金は定額に設定。さらに、今後はサードパーティと協力してキーボードなどの周辺機器も充実させていく考えを明らかにした。開業日となる3月31日には、開業記念セレモニーも予定しているとのこと。
「大画面のW-ZERO3とケータイ的なW-ZERO3[es]の2面展開を図る」──ウィルコム
ウィルコムのサービス計画部 技術調査グループ 課長代理 須永康弘氏は「ケータイとPCのいいとこ取りを目指して開発された『W-ZERO3』のコンセプトを、IT系メディアが絶賛し、トレンド誌が注目して、ファッション誌も採用してくれたおかげで広く認知され、浸透してきた」と、W-ZERO3が発売以来好評な理由を分析。「今後もユーザーに感動してもらえるようなものを作っていきたい」という。
また、海外ではスマートフォンの必要性がある程度認知されているものの、日本では携帯が独自の進化を遂げたため、その中でスマートフォンがどうあるべきかという位置づけがワールドワイドと少し異なっていることを指摘し、「独自のアイデアを考えないといけない」(須永氏)との考えを示した。
なお、今後のW-ZERO3シリーズについては、「大画面を追求したW-ZERO3と、よりケータイ的な『W-ZERO3[es]』の2面展開」(須永氏)を考えているという。一方はPCに近づいていく方向へ向かい、もう一方は携帯性を優先するアプローチを取る。ただ、「携帯性を優先するため機能を削ると魅力がなくなる」(須永氏)ため、そのあたりはバランスを取りつつ進めていくという。ベースとなるOSにはWindows Mobileを利用する。
「Biz・ホーダイでより手軽にWindows Mobileを使っていただきたい」──ドコモ
NTTドコモ 法人営業本部 プロダクトビジネス部 開発戦略担当の永田圭之進氏は、「4月からスタートする『Biz・ホーダイ』により、『M1000』と『hTc Z』のパケット通信料が定額になる。ようやく他のキャリアにも追いついてきたという印象だ。これで安心してパケット通信を利用していただけ、Windows Mobile搭載機も手軽に使っていただけるようになる」と、法人向けの定額プランを用意したことを紹介した。
また同氏は現在のドコモの取り組みとして、Windows Mobile向けにさまざまなツールを開発していることを明らかにした。その1つがSMSプッシュを利用したアプリ起動ツールだ。hTc Zではiモードメールが利用できないが、SMSプッシュによるアプリ起動ができれば、SMSを受信してPOPメールを読みに行くといった活用ができる。これならExchangeサーバなどを用意しなくてもプッシュ送信に近い感覚でメールが利用可能だ。このほかSMSを利用したActive syncツールや、電話帳の一括移行ツール、大量導入時に役立つリモートインストールツール、端末を遠隔操作で初期化するSMSリモートワイプツールなども開発中だという。これらは準備ができ次第、「ドコモビジネスオンライン」(http://www.docomo.biz/)で公開される。
「新色のホワイトで女性にもX01HTをアピールしたい」──ソフトバンクモバイル
ソフトバンクモバイルからは、マーケティング本部 MD統括部 プロダクトマーケティング部 端末マーケティング部 課長代理の片桐正道氏が登壇した。同社は2006年10月に、ビジネスユースに最適なスマートフォンとして「X01HT」を投入。しかし、購入者は「ほとんどが男性。法人ユーザーが約10%ほどで、残りの約8割が男性だった。また年齢層は20代から30代の比較的若い層が中心」(片桐氏)だったという。
そこで2007年春は、2つの施策を実施する。1つはX01HTの新色、ホワイトの投入だ(3月1日の記事参照)。これにより女性ユーザーを増やしたい考え。もう1つはS!メール送受信への対応。メールのプッシュ配信や絵文字にも対応し、X01HTを携帯電話としても十分活用できることをアピールしていく。
さらにこの春は、就職活動中の学生をターゲットにしたプロモーションも展開するという。片桐氏は「就職活動は、素早いアクションと情報量が勝負になる。説明会にエントリーしたり、人事からのメールに即返信したり、空き時間に企業研究をしたりできる」と、スマートフォンが活躍できるシーンを紹介した。また入社2年目の社会人を対象としたグループインタビューでは、約53%が「就活中にスマートフォンがあったら便利だったと思う」と答えたことを引用し、「かなりの人がスマートフォンの優位性を感じている」と力説した。
同社は今後もスマートフォンのセグメントに注力する考えで、「Windowsケータイ=ソフトバンクというポジションを確立していきたい」(片桐氏)という。
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