目指すのは、携帯業界の“デル”なのか“インテル”なのか──KDDIの小野寺社長(2/2 ページ)
総務省主導のモバイルビジネス研究会で、販売奨励金やSIMロックの是非を問う議論が繰り返される中、KDDIの小野寺社長が自社のスタンスを説明。“何をもって国際競争力とするか”の意思統一なしに議論を進めるのは危険だと指摘した。
日本における仕様の標準化は、「それぞれのキャリアが勝手なことを言っており、まとまっていない」といい、その理由について小野寺氏は、NTTドコモの例を挙げて説明する。「“某国際的な通信キャリア”は、自社の4Gの技術特許を“これが一番いい”と推しているが、これにKDDIが賛成するかと言われてもできない」
一方で、メーカー側のこれまでの姿勢についても「これまでドコモの開発したものに乗っかっていればビジネスが成り立っていたので、“標準化については言えませんでした”というのは問題」だと指摘した。
こうした中、CDMA2000方式を推進するKDDIでは、“世界最先端技術のテストベッド”になろうという取り組みを行ってきたという。「CDMAの世界では成功しているので、新しい仕組みやサービスを入れ、それを海外のキャリアやメーカーに見ていただく。EV-DO Rev.Aではだいぶ先行したので、米キャリアのVerizon WirelessやSprint Nextelが関心を持っている」
こうした取り組みを通じて、ベンダーらと協力して成功事例を積み上げ、それが国際標準の中の一部にでも取り入れてもらえればそれでいいとした。「日本のメーカーやベンダーによるグローバルスタンダードの形成を可能にするのは、われわれの役割の1つだと思っている。そのために通信事業者は、最先端技術を導入する先進性が要求される。KDDIでは率先して先端技術を導入し、こうした要求に応えるべく取り組んでいきたい」
一方で、携帯電話産業全体の発展のためには、ネットワークの機能だけではなく、端末機能の評価も必要だとし、「そのためには金額の多寡の問題はあるが、販売奨励金にも一定の効果がある」という見方を示した。
モバイルビジネスや国際競争力の今後は、中・長期的に考えるべき
モバイルビジネスや国際競争力の今後について小野寺氏は、中・長期的な視野で考えるべきと話す。「短期的に通話料を下げればいいということではなく、日本の国際競争力を高めながら、中・長期的にお客様の利益をきちんと還元できるような仕組みのほうがいいのではないか」
全体を考えて、移動体通信産業が持続的に発展できる仕組みをどう作るかが課題であるとし、そのためにもコンセンサスを得た上でそれにしたがって検討する必要があると強調した。
クアルコムは携帯業界のインテル?
日本の部材メーカーの競争力を高く評価する小野寺氏だが、チップセットについては「クアルコムに頼らざるを得ない」とする。「これはPCの世界がインテルに押さえられているのと同じ状況だと思う」(小野寺氏)
ここ(コア部材の開発まで)を本格的にやるのであれば、それなりの考え方で推し進めなければならないが「KDDIは、能力や金銭的な問題も含めて、そこまではやれない」と話している。
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