携帯が2つの顔を持つ──「2in1」はどんなサービス?
1つの端末に2つの電話番号、2つのメールアドレス、2つの電話帳、2つの着信/送信履歴、2つの待受画面──。1台2回線を可能にする「2in1」とは、どんなサービスなのか。
“2つの顔を持つ携帯”──。こんなキャッチフレーズで登場したのが、“1台2回線”を可能にする「2in1」(ツーインワン)だ。新たに専用の料金プラン「タイプ2in1」(月額945円)が用意され、加入するとメインの電話番号とメールアドレスのほかに、もう1つ電話番号とメールアドレスを取得できる。新たに取得する電話番号は、番号ポータビリティを利用すれば他キャリアで利用していたものと同じ番号を使うこともできる。
ドコモは1台で3つの電話番号を利用できる「マルチナンバー」を提供しているが、端末側とネットワーク側が同期していないことから、3つの番号に同じように着信するうえ、アドレス帳も1つしか用意されないなど、分けて使うには使い勝手がよくない面があった。
2in1は、1つの端末にAモードとBモードが用意され、メインの電話番号とメールアドレス、新たに取得した電話番号とメールアドレスをそれぞれに割り振ることができる。アドレス帳はそれぞれのモードごとに設定でき、発着信履歴も別々に表示される。テンキーの長押しとパスワードの入力でAモードとBモードを切り替えることで、あたかも1つの端末の中に2つの端末が入っているような感覚で利用できるわけだ。AモードとBモードで異なる待受画面を設定できるので、「自分が利用しているモードがどちらなのか分からなくなることもない」とNTTドコモ マルチメディアサービス部の夏野剛部長。両方の着信をリアルタイムに確認したいユーザー向けには、デュアルモードも用意される。
なお、一方のモード利用時に、もう一方のモードに電話がかかってきた場合は、相手の名前を出さずに電話番号だけ表示させたり、留守番電話に転送するよう設定したりすることが可能。留守番電話サービスはA番号で契約していれば、B番号でも追加契約の必要なくB番号用の留守番電話を利用できる。
ビジネスとプライベート、メインとサブなど、さまざまな用途で利用できる2in1だが、AモードとBモードで、利用できる機能が若干異なる点には注意が必要だ。Bモード設定時にはプッシュトークは利用できず、SMSについては受信はできるが送信には非対応。海外ローミングはAモードのみの対応となる。またBモードのメールはWebメールでの提供となる。URL入りのメールで着信を通知する機能が用意されるため、メール着信を逃す心配はないが、端末内に取り込むためには手作業で保存の操作をする必要がある。
すでにドコモと2回線の契約があるユーザーは、904iシリーズを購入する際に、2つの番号を1つの端末に統合することも可能だ。ただし、A回線は機種変更扱いで継続して利用できるものの、B回線にする電話番号は、手続き上いったん解約する必要があるという。経年割引などはすべて解除されるほか、いちねん割引に加入している場合で、更新月以外にこの作業を行う場合は契約解除料も発生するので注意が必要だ。
どのように使い分けるのか
2in1の利用シーンについて夏野氏は、いくつかの例を紹介した。1つは、メインで使っている番号を出したくない宅急便の送り状やレストランの予約時などに“いつでも変更できるサブの番号”として利用するという用途だ。「男性は機にしないかもしれないが、女性は自分の携帯番号をそこに出すのがいやだと思う人もいる。こういうときに、B番号をこういう用途専用にしておくこともできる」(夏野氏)。また、「うっかり登録してしまうと、どんどん送られてくる」(同)メールマガジンをBモードに登録すると便利だという。「Aモードにしているときには、メールがBモードに届いても着信音が鳴らず、着信が来てることも分からない。Bモードにすると着信マークが出て、Webにアクセスするとすべての内容を確認できる」(同)
もう1つはビジネスとプライベートの使い分けだ。「例えば、休暇中に上司から電話がかかってくると、やはりとらざるを得ない。こういうときにビジネス用途はAモード、プライベートはBモードと分けておいて、休暇中はAモードにかかってきた電話を全部転送する設定にしておく。そうすればBモードには電話がかかってこないので、“知りませんでした”といういいわけが久しぶりに通用するようになる」(夏野氏)
なおAモードとBモードの請求書は分けることができるが、Bモードの請求は「2in1の月額利用料と音声通話、テレビ電話、64Kデータ通信のみ」(ドコモ)で、それ以外の料金はAモードへの請求になる。説明員によれば、利用料金は日割り計算されるので、必要な期間だけ契約するような使い方もできるという。
請求先は同一名義の必要があるが、支払い口座を分けることは可能だ。請求書分割送付のオプション(月額157.5円)に加入すれば、B番号の通話料・着もじ送信料を別請求として、違う口座から引き落とすことができる。
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