“2.5GHz帯でWiMAX”は諦めない──KDDIの小野寺社長
KDDIの小野寺社長が定例会見で、総務省の2.5GHz帯割当方針案に対する考えを述べた。パブリックコメントで自社の考えを伝えるとともに、単独でWiMAXを展開できなかった場合に備えて準備も進めているという。
KDDIの小野寺正社長は6月13日、定例会見で総務省の2.5GHz帯割り当て案(5月15日の記事参照)に対する考え方を述べた。総務省の割当案方針は「3G移動通信事業者や、3G移動通信事業者が3分の1以上の議決権を保有するグループ会社以外のものに割り当てる」というもので、既存の3Gキャリアの単独参入は難しいのが現状だ(5月16日の記事参照)。
同社は2.5GHz帯でのWiMAX参入を計画しており、小野寺氏は「KDDI単独で事業を展開したいと考え、その方向で準備を進めていただけに残念」とコメント。6月15日まで総務省が募集しているパブリックコメントで、同社の考えを伝えるとした。
ただ、「KDDI単独でやれることに一縷の望みを持っている」(小野寺氏)としながらも、それが叶わなかった場合の対策も進めているという。総務省の割当案では、“出資比率が3分の1以下”という条件で、既存3Gキャリア参入の余地も残しており、この条件下での参入も検討している模様だ。
「3分の1以下の出資に抑えられた場合、どういう形でやるのかはまだ決めていないが、(その場合でも)KDDIが全体をまとめていかないとまずいだろうと思っている。合弁会社の弱点は、主導権がはっきりしないところで、意志決定が遅れるところ。われわれとしては、KDDIが主導権を持ってWiMAXを運用できる形を考えていきたい」(小野寺氏)
また、「出資比率が3分の1以下の合弁会社で主導権が取れるのか」という質問については「KDDIは、技術開発力や経験が圧倒的に強い。出資比率が3分の1であろうとも事業の主導権をとれることは充分にある。その点はあまり心配していない」と自信を見せた。
WiMAXのサービスイメージについては、「携帯電話とWi-Fiの違いと同じようなものと考えると分かりやすい」と説明。Wi-FiはノートPCやPDAに組み込まれていることが多く、WiMAXも同じようになると考えているとした。「音声を中心とする携帯電話と、Wi-Fiのようなデータ通信主体のものとのすみ分けは可能だと思っている」(小野寺氏)
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