箱根でおサイフケータイをかざしてきました!(前編)
小田急グループが8月1日からスタートした、箱根の観光情報やクーポンなどをおサイフケータイに配信するサービス「箱根かざしてゲット!」。どんなサービスなのか、実際に箱根に行って“かざして”みました。
山あり、谷あり、湖あり……と、複雑な地形の箱根は、関東でも屈指の人気の高い観光地。それほど広いエリアではないのだが、温泉、美術館、植物園など各種観光施設がひしめき、登山列車、ケーブルカー、ロープウェー、観光船、バスなどさまざまな公共交通手段があるため、箱根の観光情報に精通するのはなかなか難しい。
8月1日、小田急箱根ホールディングスはNTTドコモの携帯電話で利用できる情報提供サービス「箱根かざしてゲット!」を開始した(7月30日の記事参照)。ポスターにおサイフケータイをかざすと、観光スポット情報やクーポンなどがもらえるというこのサービスはどんなものなのか、以下詳しくご紹介しよう。
箱根かざしてゲット!はこんなサービス
箱根かざしてゲット!でできることは、大きく分けて4つある。
- 箱根の観光情報を入手する
- 近所のお店や観光施設で使えるクーポンを入手する
- 箱根の乗り物(登山鉄道、観光船など)の待受画像を入手する
- 写真をスライドショーで楽しむ「フォトアルバム機能」を利用する
利用手順は以下の通り。「対応機種に、専用iアプリをインストール」→「『箱根かざしてゲット!』のポスターに携帯をかざす」。注意点は3つ。事前に専用iアプリをインストールする必要があることと、対応機種がFOMA 903i/904iシリーズだけと少ないこと、そしてiアプリを起動した状態で携帯をかざすことだ。おサイフケータイを利用するサービスはほとんどが“かざすだけ”だが(端末を閉じたままでも構わない)、このサービスではおサイフケータイをかざす前に、ユーザーが意識してアプリを起動する必要がある。
箱根かざしてゲット!のポスター。オレンジ色の吹き出しで「ゲット」と書いてあるところに携帯電話をかざす。地図、フォトアルバムの部分は共通だが、赤い四角で囲んだところは、ポスターによって違う情報が埋め込まれている(クリックするとポスターの元画像を表示)
箱根かざしてゲット!のポスターが貼られているのは、強羅駅、早雲山駅、大涌谷駅、桃源台ターミナル、元箱根港、箱根町港の計6カ所。ポスターは右のようなもので、左下にあるQRコードから専用iアプリのインストールが行える。
ポスターの上部3分の2くらいは、箱根の地形と交通手段を描いた地図になっている。携帯をかざせるのは、地図中の8カ所と、下の囲みの中にある3カ所で、計11カ所。面白いのは、同じポスターでもかざす場所によって、違う情報を得られることだ。1枚のポスターから、11種類の情報を得られることになる。
地図の中や真ん中の囲みは各ポスターで共通の観光情報を配信している。地図の下に3つある囲みのうち、「お得なクーポンをゲット」(左側)と「乗り物待受画像をゲット」(右側)はポスターによって違う情報を配信している。
「クーポン」マークに携帯をかざせばその近辺の店舗・観光施設で利用できるクーポンを、「待受画像をゲット」マークにかざせば、そのポスターが貼ってあるところで乗れる乗り物の待受画像を受け取れる。例えば大涌谷のポスターであれば、「大涌谷エリアの店舗で使える割引クーポン」と、大涌谷で乗れる箱根ロープウェーの待受画像が受け取れるわけだ。つまり、全種類のクーポンと待受画像を揃えるには、6カ所すべての場所に行き、6種類のポスターにおサイフケータイをかざさなくてはならないことになる。
箱根かざしてゲット!の狙いと背景
箱根かざしてゲット!のポスターが貼られている強羅駅、早雲山駅、大涌谷駅、桃源台ターミナル、元箱根港、箱根町港は、いずれも交通の要所だ。
上にも書いたとおり、登山鉄道、ケーブルカー、ロープウェー、観光船、バスなど箱根にはさまざまな乗り物が走っている。実はこれらの乗り物はすべて小田急グループが運営しているものだ。小田急グループにとって、箱根は非常に重要な一大観光拠点なのである。
小田急グループは2007年春から夏にかけて、箱根エリアに大きな予算を投じている。各エリアの駅舎を改装したり、新型ケーブルカーの投入したりといった観光インフラのリニューアルのほか、もう1つ大きな課題が“観光情報の提供に力を入れる”というものだった。
以前から運営していたPC向けWebサイト「はこねnavi」に加え、夏からスタートしたのが携帯用サイトの「モバイル版はこねnavi」(http://hakonenavi-m.jp/)だ。箱根かざしてゲット!は、モバイル版はこねnaviのサービスを強化する狙いもあってスタートした。
「NTTドコモと小田急で、『携帯を使った箱根の情報発信サービスをやりたいですね』という相談を以前からしていました。箱根かざしてゲット!はこの取り組みの最初の一歩です。これで終わりということではなく、今後もいろいろやっていくつもりです」と話すのは、小田急箱根ホールディングス営業統括部の佐伯重幸氏だ。箱根かざしてゲット!の予算は約1000万円。実証実験ということもあり、目標人数は設定していないという。
箱根かざしてゲット!の実施に際しては、小田急箱根ホールディングスもNTTドコモも、最新機能を取り込んだ仕組みを実現することを意識したという。「対象機種がFOMA 903i/904iだけというのは確かに少ないのですが、それでも(ユーザー数が少なくなっても)最新機能でやろう、という話し合いをしました。情報配信だけならQRコードでもできますが、でも今さらQRコードを使った仕組みをやろうという気持ちにはなれなかった」(同上)
とはいえ、観光情報を配信するという目的からすれば、利用できる人は多いほうがいいのは明白だ。なぜ箱根かざしてゲット!の対応機種はFOMA 903i/904iだけなのか? 後編では、その理由を明らかにするとともに、箱根かざしてゲット!についてさらに詳しく解説する。
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