「iPhone」着信音作成サービス、使い勝手はどう?
米Appleが9月5日に発表したiPhoneの着信音作成サービスが、ついに11日早朝から利用可能になった。今回は、早速その着信音作成サービスを試してみた。
米Appleが、「iPhone」と同じユーザーインタフェース(UI)を持つ「iPod touch」や動画再生が可能な新型「iPod nano」を発表した9月5日、iPhone向けのRingtone(着信音)サービスの提供がアナウンスされた。
Ringtoneとは、電話などで着信があった場合に流れる音楽や特定のメロディのこと。いわゆる「着メロ」だ。着うたや着うたフルが普及している日本の携帯ユーザーにしてみれば「何をいまさら」といった感想を持つかもしれないが、iPhoneにはこれまで好みの音楽を着信音に設定する機能がなかった。それが、iTunesで購入した楽曲をそのまま着信音にできるようになったわけだ。もともとiTunes自体がクローズドな仕組みなので、これはある意味で画期的だ。今回は、サービスの認証からRingtone作成までの手順を簡単に追いかけてみよう。
Ringtoneで起こされた朝
“Available Today”でお馴染みのApple製品だが、すべての製品やサービスが発表日からすぐに使えるわけではない。Ringtoneサービスもその1つだ。Appleによれば、5日に発表した最新版のiTunes 7.4を導入すれば、Ringtoneの作成が可能になるとのことだったが、7.4ではiPhoneの項目に「Ringtone」のタブが追加されただけで、実際にはRingtoneの購入や作成はできない状態だった(iTunes 7.4自体、5日の時点ではダウンロードできなかった)。
そのままRingtoneの存在を忘れかけた11日の早朝、作業用PCからの突然の音で目が覚めると、iTunesから下の画面のようなポップアップが出ていた。何でも、iTunes Storeの購入曲でRingtoneが作れるようになったから試してみてほしいとのこと。そこで、さっそくRingtoneの作成にチャレンジしてみることにした。
今回、iPhone向けに提供されるRingtoneサービスは、iTunes Storeから楽曲を購入し、それを最大30秒単位で切り出して着信音に使用するというもの。好きなMP3ファイルやCD音源をリッピングして、iPhoneに転送できるわけではない。着信音はすべてAACの状態で保護されており、音源の楽曲も含めてすべて著作権管理されていることになる。しかも、iTunes Storeで購入した曲であっても、すべてRingtoneに対応しているわけではないようだ。Ringtone作成可能な楽曲には、ライブラリ上の曲名の横にベル状のマークが付与されており、それ以外は音源として利用できない。
Ringtoneを作成する際には、購入済みの楽曲をそのまま流用するか、あるいはRingtone用に新たに楽曲を購入するかを選べる。シングルトラック購入が99セントで、Ringtoneの作成にはそれとは別にさらに追加で99セントの費用が発生する。「すでに購入した曲を加工するだけで追加費用を取られるのか!」という意見もあるかと思うが、今回はその点には目をつぶって作業を進めることにする。
作成作業は簡単! 再認証後に転送して設定完了
今回はシンプルに、購入済みの楽曲をRingtoneに加工することにした。Ringtone用に新たに曲を購入するとしても、結局は一度ライブラリに登録して加工することになるため、手順に差はない。ライブラリで曲を選択してコンテキストメニューを表示し、「Create Ringtone」を選択する。Ringtoneサービスの初回利用時は、iTunes Storeの利用規約が表示されるため、ここで「Accept」を選択しておく。
次にRingtoneの作成画面が表示される。Ringtoneは楽曲中の最大30秒間を好みに合わせて抜き出す形で作成できる。1回のループの長さは5〜30秒、ループ間のギャップは0.5〜5秒の範囲で設定可能。作成中のRingtoneは適宜試聴できるため、しっくり来る設定になるまで試行錯誤できる。作成が終了したら「Buy」を選択すると実際に決済が行われる。ライブラリ一覧には、新たに「Ringtones」の項目が追加され、ここに作成したRingtoneが保存される。
このあとで1点注意すべきポイントがある。Ringtone作成機能の初回実行時は、iTunes上で作成したRingtoneをダブルクリックで選択しておく必要がある。これでiTunesの認証が行われ、Ringtoneが有効になる。これをiPhoneへの転送前に実行しておかないと、エラーが出て途中で終了してしまう。
作成したRingtoneは、iPhoneとのSyncを行うことで自動的に転送される。チェックボックスで選択して、特定のRingtoneのみを転送することも可能だ。一度iPhoneへの転送が完了すれば、あとはiPhoneのトップメニューから「Settings」→「Sounds」→「Ringtone」を順に選ぶことで、先ほど転送したRingtoneが一覧の中から選択できる。
iPhoneの楽しみがまた1つ増えた
iPhoneは6月29日のリリース以来、2回のアップデートが行われ、現在のソフトウェアのバージョンは1.0.2となっている。だがアップデートの内容はバグフィックス等が中心で、機能追加はほぼ行われていないのが現状だ。その中で今回のRingtoneサービスは、初のiPhone向けの新機能追加といえるだろう。
9月28日には全世界で全面タッチパネル液晶を備えたiPod touchがリリースされるが、この製品では日本語サポートが行われている点が大きな特徴となる。iPhoneは英語圏でしかリリースされていないため、メニューの日本語化や入力支援をサポートしていない。特に日本語の入力方法が存在しないため、日本語のメールやWebページは読めても、メールの返信や掲示板等への書き込みではどうしても制限を受けてしまう。今回のRingtoneサービスに続き、こうした点でのiPhoneの今後のアップグレードにも期待したいところだ。
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