待ち受けメインでたまに通話──そんな母にぴったりなケータイは・料金編:敬老の日特別企画
敬老の日を前に、親や祖父母に携帯をプレゼントしようと思っている人もいるだろう。本企画では、初めてケータイを使う60半ばの母親が、キャリアや料金プラン、端末を決めるまでのプロセスを追う。待ち受けメインで、たまに短い通話をする程度という母が選んだのは──。
半年ほど前、60歳も半ばになる実家の母が携帯電話を持ちたいと言い出した。父と一緒に中国地方で暮らす母は、どちらかといえば家でのんびりと過ごすのが好きなタイプ。東京に暮らす筆者とのコミュニケーションは、盆暮れの帰省時と、月に1回くらいの電話程度だ。
携帯やPCなどの機器が普及する中、母も時代に遅れまいと考えたのか、数年前に「Lモード」を導入。昨年、PCを購入してからは電子メールも楽しむようになった。しかし、PCの起動はテレビなどに比べて時間がかかるなど、家電を使う感覚とは異なるところにいくらか抵抗があったようだ。
Lモードや携帯のメールは即座に着信したことが分かり、すぐに確認して返信できる即時性がある。これまで母はLモードで満足していたようだが、残念なことに、Lモードのサービスは廃止が決まってしまった。それに代わるものとして、母は携帯を使ってみようと考えたのだ。また、親戚や知人が使っているのを見て、出先に迎えにきてもらうときなどに、公衆電話を探す必要がないなどの利便性も感じたと話す。
どんなふうに使いたいのかを母に尋ねたところ、携帯で長電話をしたいわけではなく、用事があるときだけ電話をかけられればいいという。そのニーズをまとめたのがこれだ。
- 通話は出先での連絡用で、ほぼ着信専用
- メールはぜひ使いたい
- たぶん、携帯サイトはほとんど使わない
- 端末は簡単に操作できるものを希望
- 料金は安いにこしたことはない
こんなニーズに最適なサービスと端末は、どんな組み合わせなのか。とりあえず筆者が母のニーズに合いそうなキャリアや料金プラン、端末の候補をピックアップし、帰省したときに母の意見を聞きつつ候補を絞り込むことにした。なお、今回の候補はドコモ、au、ソフトバンクモバイルの3キャリアとした。
- →らくらくホンIV(ドコモ)記事一覧
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関東と中国地方では異なる、1Xの料金プラン
3キャリアともに、料金プランにはさまざまなバリエーションがある。そんな中、まずは(1)無料通話分を含むプランの中で月額基本用料金の安いもの (2)ドコモ、auの60歳以上の契約者を対象にしたプラン(3)月額基本料金が980円の、ソフトバンクモバイルのホワイトプランを候補に挙げた。
この中で少々やっかいだったのが、auの料金プランだ。母が使ってみたいと言ったのは1X対応の簡単ケータイであり、そうなると料金も1Xのものを選ぶ必要がある。1Xは関東・中部エリアとそれ以外の地域で料金プランが異なり、中国地方に住む母の場合、基本的には東京で手にするパンフレットにはないプランを選ぶことになる。しかしauの場合、ショップによっては関東・中部エリアのプランも選べ、さらに、関東・中部エリア以外のプランで契約しても、その後、関東・中部エリアのプランに変更できる。
auの料金プランは、関東・中部エリアの「コミコミOne」プランと、関東・中部以外の「コミコミコール」プランで、基本使用料に占める無料通話分の割合に差がある。そして、基本使用料が安いプランほど、コミコミOneプランの方が無料通話分のウェイトが大きい傾向がある。そのためauの1Xを選ぶなら、筆者としてはコミコミOneを勧めたいと考えた。
なお、1Xの関東・中部エリアとそれ以外のエリアの“差”は、11月12日のWINプランとの統一以降は、事実上解消される。
用足しの通話メインなら、時間は細かく刻むほうがいい?
料金プランには、「基本使用料」「無料通話分」「通話料」「インターネット接続サービス」などの要素がある。ケータイを初めて持つ母にとっては未知の単語ばかりで、言葉の意味を1つ1つ説明する必要があった。それを元に母が作ったのが、それぞれのプランを比較する表。ここで注目したいのが、「通話料金」と「毎月最低限かかる費用」という項目だ。
料金プランを選ぶ際には、往々にして基本使用料や無料通話分に目が行きがちだが、かけ方によって通話料金も影響を受ける点は把握しておきたいところ。今回選んだプランの多くが、1分間の通話が42円となっており、コミコミOneライトと家族割ワイドサポートが1分で63円、ファミ割ワイドが1分52.5円だ。ファミ割ワイドや家族割ワイドサポートは、通話料金は高くても基本使用料を安く抑えたいという着信重視のプランで、家族が“持たせる”のに都合がいいプランというわけだ。その昔、IDOがこれと同じ趣旨の「i:za(イーザ)」というプランを提供していたのを思い出す。
また、通話料金の“刻み方”も、比べてみるとなかなか興味深い。ドコモは新料金プラン導入時に、一律30秒単位の課金に統一しており、auもWINはプランによって30秒、1分単位の両方がある。一方、1Xは関東・中部エリアはプランによって10〜30秒を10円とするが、それ以外のエリアは1分単位で課金している。母の場合、外出先から「今駅に着きました。迎えに来てください」と連絡する程度の、極めて事務連絡的な使い方を想定しているため、課金時間の単位があまり長いと、むだな時間が発生することになる。
また料金プランを選ぶ上では、付加サービスにも注意を払いたい。母の場合は、通話以外にメールをするくらいなので、インターネット接続サービスを追加するだけで済んだが、さまざまなサービスを組み合わせていくと、その総額が案外かさむこともある。
やっぱり、ソフトバンクのホワイトプラン?と思いきや
こうして比べてみると、無料通話を含むプランの場合、auの誰でも割やドコモの「ファミ割MAX50」「ひとりでも割50」などの、基本料金がいきなり半額になる割引を適用すると、毎月最低限かかるコストはだいたい2000円から2500円程度で、無料通話は10分から50分になる。また、ドコモの「ファミ割ワイド」やauの「家族割 ワイドサポート」、ソフトバンクモバイルのホワイトプランなどの完全従量制の料金プランは、ドコモとauが1800円前後なのに対して、ソフトバンクのホワイトプランが約1300円とやはり安い。
“980円”というキャッチーな金額を前面に打ち出したソフトバンクのホワイトプランは、ほとんど通話しないことが前提なら毎月支払う絶対料金が安いため、母には最適だと思っていた。実質基本使用料という意味では、ここに挙げた無料通話分を含むプランのほうが安いケースもあるが、それを使い切れなければ意味がない。また、母と同じ町に住む筆者の弟がソフトバンクモバイルユーザーで、ソフトバンクモバイルを選べば弟とのやりとりが無料になるというメリットもある。
しかし、最終的に母が選んだのはauの関東・中部エリアの「コミコミOneライト」だった。ソフトバンクモバイルは割賦販売の「新スーパーボーナス」を踏まえて考えると、母が希望する機種では月々それなりの額を払わないとスーパーボーナス特別割引が全額適用されず、意外と安くないことが判明。また、無料通話を含むプラン、従量制の“ワイド”系プランの両方でドコモの方が安かったものの、筆者と末の弟がauユーザであることと、端末購入時の条件がよかったことからauに決めたのだった。
auの料金プランは、あまり無料通話分があっても使いきれないという母の言葉から、毎月払う料金が少なくて済む「家族割ワイドサポート」に決まりかけたが、店員の「同じ通話料金で基本使用料が100円ちょっとの差なら、630円の無料通話が付いているほうがいいのでは」という提案を受け、「コミコミOneライト」に設定した。
本企画の後編では、キャリアと料金プランを選ぶ際の決め手となった端末選びで、母が注目した点と、今どきのシルバー向けケータイの最新事情を紹介する。
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