他社に比べて、どこがどう安いのか――ドコモが新料金体系と新販売方式を改めて説明(2/2 ページ)
加入初年度から基本料金を50%割り引く「ファミ割★MAX50」「ひとりでも割★50」、分離プランとして導入した「バリューコース」、全部入りの905iシリーズなど矢継ぎばやに投入したサービスや端末が好調なドコモ。販売現場を率いる営業・販売担当部長が、冬商戦の動向と、競合他社に対する強みについて改めて説明した。
新たな販売方式と割引サービスを組み合わせは、他社と比べて得なのか
これまでのドコモの料金体系は他社と「横並び」の傾向が強かったが、新たな販売方式と割引サービスを組み合わせると、他社よりも安いケースがいくつもある。説明会では他キャリアとの具体的な比較例も示された。
まず、例として挙げたのは、契約した時からいきなり基本料金を50%割り引くサービスで、これはauが「誰でも割」、ドコモが「ファミ割★MAX50」「ひとりでも割★50」として提供している。どちらも割引率は同じだが、「ファミ割★MAX50」なら、(1)家族間での国内のiモードメールが無料、(2)2カ月繰り越し後に無料通話分を分け合える、というメリットがある。
また、auが新たに採用したシンプルプランとの比較では、月々1400分以内の通話であれば、ドコモのほうが安くなるという。「ほとんどの場合、ドコモが有利だと思う」(須藤氏)
一方、月額980円というソフトバンクモバイルのホワイトプランに対しても価格競争力があることに言及。ドコモのタイプSSバリューは新割引サービスを適用すると基本料金は1050円となり、無料通話分も1050円がそのまま適用される。須藤氏はホワイトプランには無料通話分がないうえに、他社への通話やメールは無料対象外になっているとし、日本の携帯電話契約者の約82%はドコモとauユーザーだと指摘する。
実際の通話分数で比較した場合も、すべてソフトバンク内で通話をすれば、ソフトバンクのほうが安いのは間違いないが、、自社網内は20%、自社内の通話における21時から1時の通話比率を25%を「一般的な使い方と仮定した場合、1050円の以上の利用ならドコモのバリューコースのほうが得になる」(須藤氏)という。
(1)音声通話のみの比較(2)自社網内通話比率20%(3)自社網内通話の21時から1時の通話比率25%(4)ドコモはバリュープランの中で最も安いプランを適用(5)ドコモは「ひとりでも割」50%オフを適用 という条件下でソフトバンクモバイルのホワイトプランと比べた場合、1050円以上の利用なら、ドコモのバリュープランの方が月々の利用料金が安くなる
長期利用の優遇策の1つはポイントプログラムで
ドコモでは、新たな販売方式や割引サービスだけなく、ポイントプログラムの拡充にも力を入れている。11月22日には「ドコモプレミアクラブ」を2008年4月1日からリニューアルすることを発表済み。これまでは年間の利用料金によって付与するポイントに差があったが、リニューアル後には利用料金だけでなく、利用期間に応じてポイントが与えられるステージが変わる。10年以上の長期利用ユーザーなら月額利用料金の多寡にかかわらずプレミアステージに上がることになるわけだ。
新しいドコモプレミアクラブでは、例えば1stステージのユーザーが毎月8000円使うと年間約2000ポイントが付与されるが、2ndでは約3000ポイント、3rdの場合は約4000ポイント、10年間以上のユーザーは2年間使うと約1万円相当のポイントが付与される。つまり、2年後には機種変更時に端末価格から1万円程度の割り引きが得られる。
ドコモプレミアクラブのリニューアルについて坂口氏は、「当初、ファミ割★MAX50の前身である『ファミ割MAX』を発表した時には、家族の中で最も長期契約しているユーザーの割引率に合わせた施策をしていた。しかし、auが最初から50%割引にしてきたため、弊社でも対抗せざるを得なくなった。そこで、長期のユーザーを優遇するためにポイント制度のリニューアルに着手した」と導入の背景を説明する。
「10年前の1997年といえば、ドコモではCMに織田裕二を起用し、ヤングビジネスマンをターゲットにしていた。まだiモードも始まっていない頃だが、ビジネスマンが多く加入しており、10年以上のユーザーは今の30代から40代が一番多い。このあたりの層を優遇するにはポイントではないかという結論になり、10年を越えると(ポイントプログラムで最高ランクの)プレミアステージになるようにした」(坂口氏)
ドコモに加入したばかりのユーザーには「ファミ割★MAX50」もしくは「ひとりでも割★50」ですぐに基本料金を割り引き、長期利用のユーザーにはポイントを付与することで、ドコモと契約するメリットを訴求していく考えだ。また、「現在、長期利用ユーザー向けにはポイント以外の優遇策も検討中」(坂口氏)だという。
ドコモの契約数は、11月の月間純増数では3位となったものの数字ではauには肉薄しており、これまで一人負けが続いていた番号ポータビリティ(MNP)についても、11月にはドコモからの流出数が減ってきている。日によっては他社からの流入もあるなど、改善が見られるといい「12月は2位になれるようにいきたい」と須藤氏は意気込む。
2008年1月下旬以降には905i系の企画端末と705iシリーズを合わせて16機種投入するなど、年度末に向けて加速するドコモの勢いがどんな結果につながるかに注目が集まる。
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