“ケータイらしい”スマートフォン――片手操作にこだわった「F1100」が狙う市場(2/2 ページ)
ドコモの富士通製スマートフォン「F1100」は、OSにWindows Mobile 6 Standard Editionを搭載したWindowsケータイ。老舗端末メーカーが満を持して投入する、“ケータイらしい”操作感を持つ端末だ。
日本語変換システムには「ATOK」と「T9」を採用した。ケータイと同じような日本語入力システムを備えることで、QWERTYキーボードがないことを補ったという。
通信方式は下り最大3.6Mbpsのパケット通信が可能なFOMAハイスピード(HSDPA)に加え、無線LAN(IEEE802.11a/b/g)も利用可能だ。特にIEEE802.11aをサポートするのは「日本のスマートフォンとして初」(堂本氏)だという。また、Bluetooth Ver.2.0+EDRも内蔵しており、HSPやHFP、A2DP、DUNなどのプロファイルに対応した。
ビジネスユースを想定した端末に欠かせないのが、高度なセキュリティ機能だ。F1100の背面には、F端末でおなじみの指紋認証センサーが装備されている。さらにセキュリティスキャンやパスワードマネージャ、内蔵メモリと外部メモリの暗号化機能も備えている。
「F1100は、これまで富士通が手がけてきた携帯電話のさまざまな特徴を併せ持っている。“Windowsケータイは大きい”というイメージがあったが、F1100はケータイのようにコンパクトで使い勝手も似ている。さまざまなネットワークに接続でき、Bluetoothも利用できる。さらに富士通らしいセキュリティ機能も搭載した。スマートフォンとしても、これほど高機能なものは少ない」(堂本氏)
T9を開発するニュアンスコミュニケーションズのマーケティングマネージャー 柳智美氏は、「T9のコンセプトは、キーを1回押せば1通のメールが作成できるというもの。1つのダイヤルキーに複数の文字を割り当てる『マルチタップ』に比べ、『T9』はより簡単に文章を入力できる。ぜひスマートフォンの世界でも普及させたい」と意気込みを語った。
T9は、入力された子音の連続からありそうな日本語を予測する入力方法。例えば「おはよう」と入力する場合、1キーを5回、6キーを1回、8キーを3回、1キーを3回と、計12回キーを押す必要があるが、T9では1キー、6キー、8キー、1キーを1回ずつ、計4回の操作で入力できる。予測されない言葉は自分で読みを入力していく必要があるが、F1100に搭載されたT9は10万語以上の語彙(ごい)を収録しており、簡単な文章であれば、ほとんど予測入力だけで作成できるという。
柳氏は「デフォルトでは設定されていないので、使うときは入力モードの切り替えが必要。ぜひ、F1100とATOK、そしてT9のコラボレーションを体験してほしい」と語った。T9は全世界で69言語をサポート。搭載端末は800モデル以上あり、年間25億台以上も出荷されているという。
さて、普通のケータイらしさを求めたF1100だが、あくまでもスマートフォンのため通常の音声端末と違う点もある。最も大きな違いがiモードには対応しない点だ。そのため、iモードメールのようなプッシュメールを使うにはドコモのモバイル向けISP「mopera U」を契約する必要がある。
またパケット料金の割引サービス「パケ・ホーダイ」「パケ・ホーダイフル」には対応せず。定額でパケット通信を行うには「Biz・ホーダイ」を利用する。もちろん、F1100をPCに接続して外部モデムにした場合や、海外で利用する際には定額の対象から外れるので注意が必要だ。ドコモは、F1100の発売に合わせてBiz・ホーダイ利用料を最大3カ月分半額(2992円)にするキャッシュバックキャンペーンを実施する。期間は3月17日から7月31日まで。
F1100は、全国のドコモショップや量販店などで販売される。新しい購入方法が適用されるため、分割払いも選択でき、基本使用料の割り引きが受けられるバリューコースか、端末価格を割り引くベーシックコースのどちらかを選んで購入する。価格は販売店によっても異なるが、905iシリーズと同等か、やや上回る程度になるようだ。
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