エリアワンセグからデジタルサイネージまで──大阪でケータイのイベント活用最前線を見た:神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)
今やケータイの標準装備になりつつあるワンセグとおサイフケータイ。読売テレビ放送とNTTドコモ、日立製作所などが、これらを活用し、エリアワンセグやデジタルサイネージの実証実験を大阪で行っている。早速会場を取材し、その「新時代のメディア」を体験してみた。
人気コンテンツを配布するデジタルサイネージには黒山の人だかり
エリアワンセグ放送もさることながら、特設イベントブース内にあったデジタルサイネージ端末にも注目したい。これは大型のタッチパネルにさまざまなキャラクターコンテンツを表示し、無料もしくは有料で販売するというものだ。イメージとしては「コンテンツの自動販売機」である。会場内での人気もすこぶる高く、イベント開始から3日間で読売テレビが扱うキャラクターだけで約3000のダウンロードがあったという。実際には読売テレビ以外のコンテンツプロバイダーも、このデジタルサイネージでコンテンツ販売を行っており、実際の利用数はさらに多い。取材中にも多くの人がデジタルサイネージ端末の前に列を作り、次々とコンテンツをダウンロードしていった。人気の高さがうかがえる。
今回会場に設置されたデジタルサイネージ端末は、ドコモ関西支社がイベント用に用意したもので、システム側をドコモが担当し、コンテンツの準備などは読売テレビが行ったという。大型のタッチパネルモニターとFeliCaのリーダー/ライター、携帯サイトが連携し、簡単な操作でコンテンツのダウンロード販売ができるのがポイントである。
では実際の操作手順を見てみよう。
ユーザーはまず、大型タッチパネルモニターに表示されたキャラクターから、欲しいコンテンツを"タッチ"で選ぶ。すると自販機右下のリーダー/ライターが反応し、そこに手持ちのおサイフケータイをかざすと三者間通信で専用サイトにアクセスするためのURLが送られてくる。QRコードのようにユーザーが携帯電話の操作をすることなく、"かざすだけ"でいいのがポイントだ。あとは、送られてきた接続URLから携帯サイトにアクセスすれば、無料もしくは有料のキャラクターコンテンツがダウンロードできるという仕組みである。
このデジタルサイネージ端末は直感的な操作を実現したこともあり、「特に子どもや女性は、すぐに操作が理解できるようです。家族連れで小学生くらいの子どもたちが、親に使い方を教えているといった光景もよく見かけます」と説明員。一方で、おサイフケータイを今まで使ったことがなかった人が、「どこをかざせばいいのか分からない」と困惑するシーンもよくあるという。人気のあるキャラクターと"コンテンツの自動販売機"という組み合わせは、初めてのおサイフケータイ利用を促す効果もあるようだ。
おサイフケータイを初めて使う人が多いため、イベント開始後、急きょ作られた看板。「おサイフケータイのどこをかざせばいいか分からない」という人が多かったので、FeliCaマークの説明を載せたという。おサイフケータイの仕組みやFeliCaロゴの意味について、フェリカネットワークスはもっとしっかりと周知・宣伝する必要がありそうだ
楽しみながら最新のケータイ機能を体験できる
このように、わくわく宝島2008で行われている実証実験は、ワンセグや携帯電話の最新機能を使い、それを連携することで新しいサービスの可能性を試している。しかも、それがユーザー目線で"使いやすく""楽しい"ものになるように配慮されているのがポイントだ。会場内ではほかにもさまざまな催し物やアトラクションがあるので、家族連れや友達同士で訪れても1日中遊べるだろう。
なお、今月30日と31日に泉大津フェニックスで行われる音楽イベント「RUSHBALL2008」でも、エリアワンセグの活用が行われる計画だ。
夏休みも残りあとわずか。通信×放送の最新ソリューションを体験しながら、イベントそのものも楽しめる。ケータイ片手に、わくわく宝島2008とRUSHBALL2008に足を運んでみてはどうだろうか。
関連記事
- 野外イベントでエリアワンセグ――読売テレビ、ドコモら5社が実証実験
読売テレビ、NTTドコモら5社が、特定のエリア向けにオリジナルのワンセグ番組を提供する実証実験を実施する。野外の音楽イベント「RUSHBALL 2008」と読売テレビの夏休みイベント「わくわく宝島2008」の会場付近で、イベントと連動した独自番組を配信する。 - エリア限定ワンセグを実証実験 読売テレビ・ドコモ・日立
読売テレビやドコモ、日立など5社は、視聴エリアを限定したワンセグ放送の実証実験を行う。 - KDDI研、特定エリア向けワンセグ放送のIP配信システムを開発
KDDI研究所は、特定エリア向けのワンセグ放送をIP網経由で配信する「ワンセグエリア放送送信システム」を発表した。マルチキャストを用いて、複数のエリアへ同時配信することも可能。 - 東京駅に「デジタルポスター」登場――裏で携帯電話網が活躍
7月14日、ジェイアール東日本企画が運営する「デジタルポスター」が東京駅八重洲南口コンコースに設置された。時間帯や曜日によって異なる情報を表示できるなど、多彩な表現に対応するのが特徴。この裏で携帯電話網が活躍している。 - デジタルサイネージ最前線:お台場冒険王の人気アトラクションに見る電子看板ビジネスの真骨頂
目玉おやじがあなたの性別と年代を判定します――。こんな催し物がお台場で人気を集めている。一見何の変哲もないアトラクションだが、その裏には広告の見せ方と販売促進の新たな手法が隠れていた。 - デジタルサイネージ最前線:電子看板から香りを放出 NTT Comがデジタルサイネージサービスを開始
専用の電子看板から香りを発生させ、販売促進や広告効果を高めるサービスをNTTコミュニケーションズが開始した。実証実験では、商品の売り上げ増や認知度の拡大といった効果が上がっているという。 - デジタルサイネージ最前線:八重洲に巨大電子看板が出現 動画と香りで道行く人を顧客に
東京駅の八重洲地下街の一角に巨大な電子看板が設置された。飲食店の動画を映し出すディスプレイに近づくとさわやかな香りが漂う。リクルートが実施しているデジタルサイネージの実証実験の一幕だ。 - 微弱電波でワンセグ端末にコンテンツ配信――富士通の「スポットキャスト」
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.