料金改定とおサイフケータイで「定額・低額・あんしん」をさらに推進──ウィルコム 喜久川社長(2/2 ページ)
ウィルコムの代表取締役社長 喜久川政樹氏は、1月22日に発表した新料金プランとおサイフケータイについて、ウィルコムの特徴をさらに際だたせるものだと胸を張った。WILLCOM COREのサービスは、2009年4月下旬に試験サービス、10月に本格サービスを開始する。
ユーザーニーズに応える「ウィルコム ICサービス」、Flash Lite対応、新幹線対応
今回ウィルコムでは、待望のおサイフケータイ対応も果たした。今や携帯電話にはあって当たり前の機能となっているおサイフケータイだが、ウィルコムでは対応が遅れていた。2008年5月にウィルコムとフェリカネットワークスがPHSにFeliCaチップを搭載することで合意しており、登場が待たれていたが、ようやくウィルコムユーザーも端末で電子マネーや会員証/ポイントサービスなどが利用できるようになる。
もちろん、中途半端なサービス提供ではなく、ニーズの高い交通系の「ANA」「JAL」「モバイルSuica」が正式対応するほか、電子マネー「Edy」やポストペイ型の「QUICPay」、ヨドバシカメラやビックカメラの会員サービスなども利用できる。そのほかのサービスについても、今後順次追加が予定されている。
もう1つ、携帯にあって当たり前のFlash Liteについても、最新版の3.1を採用して、PHS端末でも動きのある賑やかで楽しいグラフィックが実現可能になった。ウィルコム無線LANオプションでは、3月から新たに東海道新幹線のN700系車内と17の駅の待合室で無線LANが利用可能になる。こちらは追加料金不要で提供する。一歩一歩だが、着実にユーザーが「ケータイ」に求めるものにしっかりと対応してきていることが分かる。
「W+Radio」でサイマルラジオをサポート
そのほか、スマートフォン向けに提供しているインターネットラジオ聴取サービス「W+Radio」では、あらたにサイマルラジオ対応が発表された。
サイマルラジオとは、放送と同時にストリーミング配信されるラジオで、地域のコミュニティーFM局が放送エリア外への情報発信として行っているサービスだ。ウィルコム社内でW+Radioの企画をしている部隊が、よりユーザーのすそ野を拡大したいと考え、飛び込みでジャーナリストの木村太郎氏のところに会いに行ったのがきっかけで実現した企画だという。
湘南ビーチFMの社長でもある木村太郎氏が代表を務めるCommunity SimulRadio Alliance(CSRA)では、現在地域コミュニティーFM局23局が参加してインターネット経由で番組を配信している。発表会場で挨拶した木村氏は、「コミュニティFMの出力は20ワット程度と、ウィルコムのセルの25分の1ほどしかない微弱なもの。周波数が違うので、さすがにPHSよりは電波は飛ぶが、地域の中でもコミュニティ放送が聞けないところはある。そこを補完するためにインターネットへのサイマルキャストを始めたのだが、インターネット回線が家にない人もいる。そういった人たちに、どうやってコミュニティ放送を届けていくか考えていたとき、ウィルコムさんと話す機会を得た」と、今回の発表の経緯を説明した。
コミュニティFM局がウィルコムと組んでサイマルラジオを提供するメリットは3つあるという。1つはウィルコムが持つきめ細かなネットワークを利用することで、地域内外を問わず、あらゆる場所で放送が聴取できるようになること。もう1つは、コミュニティ放送が地域の防災への責任が課されており、災害情報伝達をする際に、このネットワークが利用できること。そして最後の1つが、ラジオが電波とインターネットに加えて、PHSという伝達方法を得られ、情報伝達が重層的になること。木村氏は「電波に頼っていたラジオが新しい時代を迎えるきっかけになる」と話した。
また木村氏は、今回のサイマルラジオサービスが提供されることで、WILLCOM 03のようなスマートフォンが「ラジオのチューナーになる」と喜びを表した。「パケット通信料も上限があるので、流しっぱなしにしてラジオを聞くこともできる。またW-SIMを使って、コミュニティ放送を聞くためのチューナーを作ることもできるだろう。現在CSRAに加入しているのは23局だが、遠からず100局くらいのネットワークになる。ラジオは全く新しい時代へと向かう」(木村氏)
メイン端末として十分使えるスペックに進化した「WX340K」「BAUM」
ウィルコム初のおサイフケータイとして登場した京セラ製の2端末「WX340K」と「BAUM」は、別記事にも詳しいためここではあまり多くは触れないが、京セラ 通信機器関連事業本部 副本部長 執行役員 上席の山本康行氏はウィルコム向けのラインアップとしてWX340K、BAUM、そして「HONEY BEE 2」の3ラインを用意し、ユーザーにアピールしていく狙いを話した。
京セラでは、HONEY BEE 2を「ウィルコムのサービスに触れていないユーザーに、ウィルコムに興味を持って使ってもらうためのモデル」と位置づけている。一方、BAUMは「高いデザイン性と充実の基本機能を備えた欲張りモデル」で、すでにウィルコムのサービスを利用しているユーザーでも、そうでない人もターゲットにしており、「2台目としてだけでなく、1台目の端末としての役割も担える、ウィルコムのサービスをより長く利用できるモデル」だ。そしてWX340Kは、「ウィルコムの長期ユーザーでも満足できる、おサイフケータイをはじめとした充実した基本スペックを備えたモデル」だという。
最後に山本氏は「現世代はもちろん、次世代も含めウィルコムを強力にサポートしていく」と、今後もウィルコムと協力してユーザーに喜ばれる端末を開発していく姿勢を示した。
「今後はメーカーとともに新しい市場を作っていく」
山本氏からの熱いメッセージを受けて再度登壇した喜久川氏は、「通信キャリアの仕事は、メーカーが作ったものを仕入れて売る、という流れから、メーカーと一緒になって新しいマーケットを作っていくという局面に入った」と話し、これからは新しい市場を作っていくため、メーカーなどの関係者と知恵を出し合って端末やサービスを作って行くべきだと語った。
「我々だけでなく、いろいろな人たちとやり方を模索しながら、新しいマーケット、新しい需要を創出していく。それがPHSとして、ウィルコムとしての新しい需要を作っていくための1つのやり方だと考えている」(喜久川氏)
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