第3回 “けっこう”進化、これは驚き──「AtermWM3500R」のファームウェアVer1.1.0を検証:“WiMAX Speed Wi-Fi”「AtermWM3500R」ロードテスト(2/2 ページ)
8時間動作がかなり快適なWiMAXルータ「AtermWM3500R」だが、2010年12月に機能を向上・改善する最新ファームウェアが公開された。今回は、このファームウェアVer.1.1.0で何がどう変わったかを検証する。
11gと11n、同じ場所で5Mbpsも通信速度が違う
前述の更新のほか、無線LAN設定内に「無線LAN端末(子機)との通信方法」という設定項目が追加され、速度優先か省電力優先の選択が可能になった。実はWiMAX通信側よりも無線LAN側の方で不具合かと目される現象が何度かあり、以前からちょっと気になっていた部分だった。クライアントから見ると無線LANでしっかり接続されているのにパケットが流れなかったり、いつのまにか無線LANが切断していたりするのだ。
これは、IEEE802.11nを無効化(「無線優先制御機能」のチェックを外すこと)でとりあえず回避はできたが、IEEE802.11n接続は無線LAN区間の通信速度向上とともに通信可能な距離が伸びるメリットもあり、常々もったいないと思っていた。新たに追加された「無線LAN端末(子機)との通信方法」の設定で、何らか状況が改善されればいいなと思ったわけだ。
ところがそれと関わりなく、Ver.1.1.0ではIEEE802.11nでの無線LAN接続状況がほぼ問題なく正常動作するよう改善されていた。
筆者はIEEE802.11n対応のスマートフォンを所有していないので、IEEE802.11nでの無線LAN接続はPC接続に限ることを一応お断りしておくが、以前は10分も待たずに上記の事象でインターネットに接続できなくなり、無線LANの再接続を強いられていたのが……うそのように安定するようになった。今まで安定重視でIEEE802.11nを無効/送信出力を100%に設定して使っていたが、バッテリー動作時間も延長できる初期状態のIEEE802.11n有効/送信出力12.5%に戻して運用できるようになったわけだ。
モバイル運用に限ればIEEE802.11nで利用するメリットはそれほどないと割り切っていた部分はある。ただ、WiMAX通信の実効速度が高速になる傾向もかなりの場所で体感できるようになり、そうも言えなくなってきた。ファームウェアをアップデートしてから立ち寄った場所で、PC利用時に下り20Mbpsもの実効速度が出ることを確認したからだ。
こちらは、念のためUSB接続で計測してもやはり平均20Mbps。一方、IEEE802.11g接続だと平均15Mbps程度と、速度はかなり低下する。IEEE802.11g接続であっても18Mbps強は出る場所もいくつか知っているが、今回計測したエリアは公衆無線LANサービスのアクセスポイントも複数見つかる、なかなか無線LAN電波が混雑ぎみのところ。規格上のピーク速度の劣るIEEE802.11gは電波干渉の影響が余計に大きかったためと思われる。
ともあれ、15Mbpsも出ればPCでガンガン通信するシーンでもまったく困らないほど快適なのは確かだが、同じ場所で5Mbpsも違うとなると話は違う。心理的にIEEE802.11nで使わなければもったいないと思ってしまう差だろう。そういったわけで、IEEE802.11n接続時の不満も一気に解消された。
製品は最初からカンペキであればそれに越したことはないが、時には不具合が生じてしまうこともある。それを放置したり、対応が遅かったり、中には開き直るメーカーもあるようだが、このようにしっかり対処してくれるメーカーの製品はいろいろ安心できると改めて感じた次第だ。
次回は今回取り上げた「無線LAN端末(子機)との通信方法」の設定の影響や、有線LAN接続利用時のパフォーマンスなどをじっくりチェックする予定だ。
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