「ハイスペック」+「使いやすさ」から生まれた“最強”のARROWSシリーズ:フィーチャーフォンも(2/2 ページ)
富士通がドコモ向け冬モデルの製品説明会を開催。スマートフォン2機種とタブレット1機種、iモードケータイ1機種の計4機種とも、使いやすさとスペックの高さが特徴だ。
ARROWS Tabは国産LTEチップ「COSMOS」を搭載
また説明会には、富士通、NTTドコモ、NEC、富士通セミコンダクターの4社が合弁するアクセスネットワークテクノロジから、代表取締役社長の坂田稔氏が出席。同社が開発して、ARROWS Tab F-05Eに採用された通信処理LSI(コミュニケーションプロセッサー)の「COSMOS」(開発コード名)も紹介された。
「当社のミッションは、ドコモおよび端末メーカー各社が開発してきた最先端の通信プラットフォーム技術を、継承・発展させて世界に販売すること。スマートフォンやタブレットのプラットフォームは、プログラムや画像処理を担当するLSI(アプリケーションプロセッサー)と通信制御をするLSI(コミュニケーションプロセッサー)、そして無線の送受信回路と電源制御回路から成り立っている。なかでも通信プラットフォームについては、スマホの急速なLTE化により通信チップの供給不足が発生した。その結果、一部の機種で出荷が遅延したり販売延期という事態になっている。弊社はスマートフォンのキーデバイスであるコミュニケーションプロセッサーを安定供給することで、メーカー各社のリスクを払拭したいと考えている」(坂田氏)
COSMOSは、独自のソフト無線技術であるSDR+(Software Defined Radio)によってLTE(FDD/TDD)と3G(HSPA+)、そして2G(GSM/GPRS/EDGE)の各通信規格を1チップでサポート。対応する通信速度は最大100Mbpsと高速なうえ、低消費電力も実現した。また、さまざまなアプリケーションプロセッサーと柔軟に組み合わせることが可能だという。坂田氏は、「COSMOSを搭載した端末であれば、世界中で高速な通信が利用できてイライラを解消。バッテリーも長持ちし、高性能アプリケーションプロセッサーとのセットでサクサクとした操作感を体験できる」と胸を張った。
アクセスネットワークテクノロジ設立以前にドコモと富士通、NEC、パナソニックが共同開発した“SAKURA”チップ(通称)は、国産チップとして初めてLTEに対応した製品だが、3G/2Gをサポートしておらず「UBB4」というチップと組み合わせる必要があった。COSMOSは1チップでLTEと3G/2Gに対応したほか、低消費電力化と小型化も進んでいる。坂田氏は今後の製品ロードマップにも触れ、「2013〜14年に供給するCOSMOS以降の次期モデルも、低消費電力と小型化を特徴として開発を進めていきたい。また多彩なアプリケーションプロセッサーとの協調接続を高めることで、さらなる高速化や低消費電力化、メモリの共有化による小型化が期待できる」とコメントした。
放熱を助ける工夫で発熱にも対処
報道陣からの質疑には、アクセスネットワークテクノロジの坂田氏と富士通の高田氏に、執行役員常務の大谷信雄氏も加わって受け答えが行われた。
iPhoneなど海外メーカー製端末との差別化ポイントを問われた大谷氏は、「日本のメーカーはスマートフォンで出遅れた面があるが、フィーチャーフォンで培ってきた技術がある。我々のヒューマンセントリックエンジンなどがそうだが、『いかに聞きやすくするか』などの機能をかなりスマートフォンでも展開できた。海外メーカーではそこまでできていないものがたくさんあり、我々としてはかなりキャッチアップできていると思う。少なくとも国内では、こうした面をアピールしてユーザーに理解してもらえれば、シェアは挽回できるし負けないという自信がある」と回答した。
また海外展開については、「もちろん検討しているが、単に特徴の無いものや他社と同じようなものを出しても、ボリュームやコストの面で折り合わない。十分な差別化戦略を立てて検討しており、もう少し具体的なことが決まれれば発表したい」(大谷氏)と、やや前向きなコメントが聞かれた。
従来モデルでは消費電力の多さと発熱問題が指摘されているが、これについて高田氏は、「ユーザーからの改善要求には日々耳を傾けている。消費電力の多さについてはバッテリーを大きくすることで対処したが、それだけでは単なる大飯食らいになってしまう。(冬モデルでは)液晶のバックライトの制御をきめ細かくするなどソフト面で省エネを進めた。また発熱については、熱拡散を助ける特殊な材料をクアッドコア内の部品に採用した。これによって熱を均一化して、局部的に熱くならないように工夫している」と、対策を行ったことを明かした。
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