2年ぶりのフルモデルチェンジ、「Infinity Display」に込めた思い 開発陣に聞く「Galaxy S8/S8+」(2/3 ページ)
日本への投入も期待されるSamsungの新型スマートフォン「Galaxy S8」と「Galaxy S8+」。同社が「Infinity Display」と呼ぶ、18.5:9の縦長ディスプレイが目を引く。2年ぶりのフルモデルチェンジを果たした本機の開発秘話をSamsung担当者に聞いた。
―― 18:9や19:9なども検討したとは思いますが、なぜ18.5:9なのでしょうか。そういった部材があらかじめあったのか、企画から要求を出して開発したのか、どちらでしょう。
チェ氏 このディスプレイを搭載した理由は、見た目を大きく変える必要があったからです。見た目を変えながら、最大限ディスプレイを大きくするにはどうしたらいいのか。一方で、ユーザーには、今の端末サイズを超えてほしくないというニーズもありました。サイズを維持しながら、どう最大化できるかを考えたのです。
18.5:9なのは、なぜか。それは、以前スマートフォンが16:9に変わったときと同じような理由です。16:9に変わったときは、テレビ用の4:3と21:9を両立できる解像度として採用しましたが、現在は16:9の動画コンテンツと、ハリウッド映画を中心とした21:9のコンテンツが主流です。その(どちらも大きく表示できる)真ん中を取り、18.5:9を採用しています。これはディスプレイをこの比率と定め、ベンダーに発注して作り上げたものです。
―― 狭額縁になり、本体強度を心配する声もありますが、対策はしていますか。
チェ氏 市場の不良率については、十分考慮していますが、既存の端末水準(の強度)は維持しています。心配されているディスプレイも、素材は「ゴリラガラス5」で強化していますし、エッジが割れやすいという問題は、特殊なポリッシングに対応して落下に強くしています。
―― Note 7の発火を受け、安全対策で強化したことはありますか。
ヤン氏 Note 7は日本未発売ですが、グローバルでの懸念については大変申し訳なく思っています。「8ポイントバッテリー検査」を踏まえ、設計面での問題を分析したうえで、同じことが起きないよう、設計の変更をしています。S8、S8+については、安全に使っていただけると思います。
「ディスプレイデバイス」の本質を強調したデザイン
―― 今回、背面の色は異なっていますが、ディスプレイ面は全てブラックです。これはなぜでしょうか。
キム氏 「ディスプレイデバイス」という、スマートフォンの本質に近づけるよう、努力しました。そのため、カメラやセンサーなどは全て上部に集中させています。ここはユーザーが認識する必要がない部分なので、機能を維持しながら、視覚的に邪魔にならないようにしました。(インカメラの)レンズにもアンチディフレクションコーティング(反射低減処理)をしていて、形が最大限、隠れるようにしています。
(ディスプレイ側のカラーを)全て黒にしたのは、端末のコンセプトである、ディスプレイデバイスの本質にユーザーが集中できるようにするためです。黒に統一して静かに見せれば、画面への没入感も上がります。他の選択肢は考えていなかったですね。これがベストだということは、疑いの余地がありません。
―― ディスプレイが広がっていくと、デザインするところが減っていきますが、今回はどこが面白かったですか。
キム氏 満足しているのは、コーナーのラウンドディスプレイが実現できたことです。小さな変化に見えるかもしれませんが、本体の前面はユーザーの印象を大きく左右するところです。これは、関連部署とのコミュニケーションを取りながら、実現できました。
―― イヤフォン端子は残っていますが、これはユーザビリティの観点からでしょうか。
キム氏 デザイン的な観点では、イヤフォン端子をなくすのは、選択肢の1つです。ただ、ユーザビリティの観点で考えると、イヤフォンジャックを使っている方は多い。ですので、削除はしていません。
―― S8、S8+のどちらもエッジスクリーンを採用していますが、これはデザイン側からの提案だったのでしょうか。
キム氏 デザインが先か、開発が先かというのは難しいですね。常にデザイン側の要望と、開発の要望を話し合いながら実現しています。どちらが先にというより、一緒にやっているイメージです。
―― カラーバリエーションは、これだけでしょうか。(S7 edgeなどにあった)ピンクはないのでしょうか。
バン氏 カラーのデザインコンセプトはニュートラリティです。ピンクは女性が強いので、最初の段階ではこの色を設定しました。今後、ニーズがあれば検討していきます。
―― といいつつ、毎回ピンクが出ていますが(笑)
バン氏 (苦笑)。市場のニーズを見ながら検討します。今回もニーズがあればそうするかもしれません。
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