ワイヤレス充電対応で中身が大きく変わった「iPhone 8/8 Plus」:バラして見ずにはいられない(2/3 ページ)
「iPhone 8/8 Plus」はワイヤレス充電に対応した初めてのiPhone。これに伴い、中身も大きく変更されている。また、一部のiPhone 8/8 Plusでバッテリーが膨張するという報告があったようだが、この原因についても考察したい。
ワイヤレス充電のアンテナを見る
現在、ワイヤレス充電は国際規格化され、iPhone 8/8 Plusをはじめ、「Qi」というワイヤレス充電規格に対応するスマートフォンが増えている。iPhone 8/8 Plusに採用されたワイヤレス充電は、充電台とスマホにコイルを設置し、充電台のコイルに電気を流すとスマホ側のコイルにも電気が流れる特性を利用したもので、「電磁誘導方式」とも呼ばれている。充電時間と無線距離は比例しており、Qiでは充電台とスマホを密着させる必要がある。
この他に、電気自動車などの充電に使用され、多少離れていても充電可能な「磁界共鳴方式」や、ワイヤレス充電の距離が長い「電波受信方式」などが存在する。
iPhoneの背面ガラスカバーを外すと、円形の黒いワイヤレス充電アンテナが表れる。ノイズ対策のために黒いシートでラミネートされており、このシートの内側に渦を巻いた銅箔(どうはく)と思われる金属を配置したアンテナが表れる。
ワイヤレス充電の普及は店舗のミッション
Samsung Electronicsのスマートフォンは以前からワイヤレス充電に対応しているが、証券アナリストへのインタビューによると、ワイヤレス充電器を購入するのはユーザーの20%程度とのこと。現時点で個人が持ち歩くと、ケーブルに加え、皿のようなワイヤレス充電器も持ち歩かねばならず、持ち物が増えてしまう。
普及のカギは、スマホを比較的長時間置くオフィスや会議室の机、コーヒーショップのテーブルなどにあると筆者は思う。現在のワイヤレス充電器の充電速度は有線より遅いため、単体では勝負にならない。普及にはワイヤレス充電を何かのサービスと連携させることが必要だろう。
例えば、ワイヤレス充電台にプリンタや小型ディスプレイを設置して、その場所に関連する広告やクーポンを配信すると、お得感が増し、充電にかかる時間を勘案しても魅力を感じる人が増えるかもしれない。新幹線のテーブルにも設置すると喜ばれるかもしれないし、ドリンクなどの売り上げアップにつながる可能性もあるだろう。
日本部品の存在感は高い
iPhone 8/8 Plusの部品総数は約1300個。この中で最も数量が多いのは、セラミックコンデンサーや抵抗器など受動部品と呼ばれる極小部品だ。その中でもとりわけ小さいサイズの部品は縦横サイズが0.4×0.2mmで、およそ400個搭載されている。日本メーカーだけが量産可能といわれており、これだけでも部品総数の25%以上が日本製となる。
これに加え、CMOSイメージセンサー、オートフォーカス機構、光学式手ブレ補正機構など、カメラを構成する部品のほぼ全てを日本メーカーが供給している。また複数購買のためモデルにより異なるが、ディスプレイ、バッテリー、Force Touchセンサー、フレキシブルプリント基板、振動モーターなど、日本メーカーが供給している部材は多い。日本抜きではiPhoneは作れないのだ。
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