「5G」に沸いたMWC 2018、スマートフォンの進化は頭打ちに?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
2018年のMWCは、「5G」をアピールするベンダーやキャリアが目立った。いよいよ商用化を目前に、具体的な姿が見え始めた。一方で端末は着実に進化しているものの、印象は薄かったと感じた。
完成度を高めるスマートフォン、カメラやAIに各社が注力
5Gに沸いたMWCだったが、このイベントはメーカーが最新端末を発表する場にもなっている。2019年のサービス開始に向けた展示が多かった5G関連製品に対し、直接コンシューマーの手に渡ることになる端末は、早いものだと3月には発売される。
先に挙げたHuaweiのCPEのような例外はあるが、その他の端末は、当然ながら4Gまでの対応になる。2018年のMWCでも、Samsung Electronics、LGエレクトロニクス、Huawei、ソニーモバイル、ZTE、ASUS、Wikoといった日本市場とも関連の深いメーカーが発表会を開催。それぞれの最新モデルを披露した。
全体を見渡すと、各社が力を入れているのは、やはりカメラ機能だ。Samsungは「ビジュアルコミュニケーション」を強化する一環として、「Galaxy S9」「Galaxy S9+」を960fpsのスーパースローモーション動画に対応させた。メモリを積層したセンサーを採用することでこの機能を実現しており、この技術は静止画のノイズリダクションにも使われている。
2017年のMWCで「Xperia XZ Premium」を披露し、メモリ積層型のCMOSセンサーには一日の長のあるソニーモバイルは、デザインを一新した「Xperia XZ2」「Xperia XZ2 Compact」を披露。960fpsというフレームレートはそのままに、解像度をHDに上げられるようにしたうえで、HDRでの撮影に対応した。
一方でデュアルカメラへの取り組みが遅れているソニーモバイルだが、プレスカンファレンスでは2眼と専用チップを組み合わせて超高感度撮影を実現する技術を披露。今後のXperiaへの搭載に含みを持たせた。ズームや背景ボカしに使うデュアルカメラはミドルレンジモデルにまで広がり、一般的になりつつあるが、ノイズ削減という新たな方向性を打ち出した格好だ。
AI(人工知能)をスマートフォンに応用していく取り組みも、MWCで発表された端末のトレンドといえるだろう。AIは、AppleやHuaweiが他社に先駆け、強みにしている分野だが、取り組みは他のメーカーにも広がりつつある。MWCでは、LGエレクトロニクスがV30をマイナーチェンジした「V30S ThinQ」を発表。ASUSも「ZenFone 5」やその上位モデルの「ZenFone 5Z」を、「インテリジェントフォン」と銘打って紹介した。
V30Sは、日本でもドコモやKDDIが販売しているV30+のソフトウェアに、AIを活用した機能を加えたモデルで、カメラの被写体認識機能や、Googleアシスタントを活用した家電連携機能が加わっている。対するZenFone 5には、「AI〇〇」という名の機能が6つ搭載される。周囲の音に合わせて着信音を自動で調整する「AIリングトーン」のように、AIである必要があるのか疑問に思える機能もあるが、カメラで被写体認識できる「AIカメラ」には、機械学習を用いているようだ。
応用例ではっきりと役に立つのが、まだ被写体認識程度のため、少々インパクトには欠けるが、AIは応用例が広い。HuaweiのMate 10 Proは翻訳アプリを搭載しているし、AppleのiPhone Xは、Face IDにAIを活用してユーザーの顔の変化を学習する仕組みを取り入れている。メーカー側がどのような機能を実装するのかは、腕の見せどころといえるだろう。
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