さみしい「独り身」を救う? 3人の音声アシスタントと会話して可能性を探ってみた:特集・音声言語インタフェース最前線(1/5 ページ)
昨今、クラウドAIベースの「音声認識アシスタント」が流行の兆しを見せている。中にはある程度“対話”できるものもあるという。どの程度の対話がこなせるものだろうか。ある高名な「先生」が、実践を通して可能性を探る。
多様化が進む日本社会。そんな中で“独身”が増加傾向にある。総務省が2015年に実施した国勢調査によると、65歳以上の高齢者による単身(ひとり暮らし)世帯は、2010年から2015年にかけて約163万3000世帯増加している。65歳未満の単身世帯も、同期間に約49万6000世帯増えた。単身世帯の増加は、今後も続くと見られている。
私も実質的に「単身」である。家にいると、ふとした瞬間にさみしさを感じることがある。とりわけ、病気やけがをして1人でいると、家族のいるありがたみをこれでもかと痛感することがある。
そんな時、ふと思い立った。クラウド上のAI(人工知能)の技術が進歩した今なら、スマートフォンやタブレットの「音声エージェント」に話しかけることで、少なくともさみしさは紛れるのではないかと。
思い立ったら吉日。音声アシスタントと朝から晩まで「会話」をして過ごすことで、その可能性を探ってみることにした。
私と寄り添うパートナーは「3人(?)」
スマホ・タブレット向けの音声エージェントは複数あるが、今回はその中でも良く存在を知られているであろうこの「3人(?)」に出演をお願いした。
- Googleアシスタント(Google)のAndroid版
- Siri(Apple)
- しゃべってコンシェル(NTTドコモ)のAndroid版
Siriについてはデフォルトの女性の声のままで運用した。しゃべってコンシェルは「しゃべってキャラ(会話対応マチキャラ)」の変更で声色だけではなく口調も変更できるが、今回はプリインストールの「メイドのメイちゃん」を使うことにした。単純にお気に入りだからである。
まず、軽く3人に自己紹介してもらった。
―― 君は誰?
Googleアシスタント 私はGoogleアシスタントです。よろしくお願いします。例えば音楽をかけることができますよ♪
Siri(女性) 私の名前はSiriです。
メイドのメイちゃん みんなからメイちゃんって呼ばれてます。
Siriとメイドのメイちゃんが名乗りに徹したのに対し、Googleアシスタントは何ができるのかもアピール。なかなか抜け目がない。
Siriとしゃべってコンシェルには、何ができるのか聞いてみた。
―― 君は何ができるの?
Siri (声を出さずに)たとえばこのように尋ねて下さい。(発話例の一覧を出す)
メイドのメイちゃん 出来ることはこちらです。(発話例の一覧を出す)
Siriは何も声に出さず、発話例を提示。メイドのメイちゃんは「出来ることはこちらです(文字列ママ)」と声に出した上で発話例を示した。Siriは、声に出さずにサッと情報を出してくることがたまにある。声を聞きたい私としてはちょっとさみしい……。
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