日本のRCSは「世界最先端」――GSMA事務局長に聞く日本と世界の携帯電話市場(2/4 ページ)
移動体通信(携帯電話)に関する世界規模の業界団体「GSM Assosication(GSMA)」のマッツ・グランリド事務局長が来日。携帯電話市場についてあれこれ聞いてみた。
「国際RCS」はいつ実現?
―― +メッセージについて、まだ国内における認知度は高いとはいえない状況です。「海外キャリアとRCSメッセージのやりとりができない」ことをSMSと比較した際の課題の1つとして挙げている人もいます。これらの課題について、どう思われますか。
グランリド氏 全くおっしゃる通りです。
+メッセージは日本の消費者の「文化」を変えるものだと思います。今まではEメールが圧倒的に使われていたものを、RCS(+メッセージ)に変えていくことになります。
一方で海外、とりわけヨーロッパではSMSが広く使われてきました。RCSをより強力なものにする(普及させる)には、世界的な連携が必要です。「世界的な現象」にしていかないといけないのです。
今回、日本では+メッセージという同一プラットフォームでRCSを提供することになりますが、他にも(世界では)Google、SamsungやHuaweiが独自のRCSプラットフォームを持っています。これらを連携させよう(相互にメッセージのやりとりをできるようにする)という動きも既に始まっています。
従来は「1対1」でのコミュニケーションが主流でしたが、RCSを1つのハブとすることでいろいろなコミュニケーションをつなげられるようになると思います。
―― 海外キャリアとのRCSの送受信は、いつ頃実現できるでしょうか。
グランリド氏 良い質問ですね(笑)。ここで私が何らかの予測を披露すると、次のインタビューの時に「間違っていたじゃないか!」とツッコミを受けそうですね。
RCSの立ち上げ(商用サービス開始)は8年前で、急速な普及はここ2年の話です(筆者注:2016年11月に相互運用性を定めた「Universal Profile」の初版が策定されてからRCSに対応するキャリアが急増した)。そのことを踏まえると、現時点で「2年後に」「3年後に」といった見通しはまだ話せない状況です。
RCSが世界的に普及するには、フットプリント(存在感)を確保することが重要です。そのためには、ビジネス(実業界)の関与も必要となります。
決済や予約、飛行機への搭乗やタクシーへの乗車など、さまざまなサービスを同じプラットフォーム(RCS)上で実現するには、企業との連携が欠かせません。企業が(RCSを使ったサービスに)参加することで、急速な普及を図れると考えています。
キャリアも、従来と異なるアプローチを取ろうとしています。今までは個人間のコミュニケーションに注力していましたが、これからは「個人と企業」あるいは「個人と社会」とのコミュニケーションの実現を目指そうとしています。
こういう観点に立つと、RCSの普及は意外と早いのかもしれません。
iPhoneのRCSネイティブ対応は「話し合い中」
―― 日本市場は、諸外国と比べてiPhoneの普及率が高く、ある意味で特殊です。+メッセージアプリはiPhone向けにもリリースされる予定ですが、iOSの「メッセージ」アプリでRCSの送受信できるようにAppleに働きかけはしていますか(筆者注:インタビューはiOSアプリの公開前に実施)。
グランリド氏 おっしゃる通り、日本はiPhoneの普及率がとても高い国です。程度に差はありますが、他の先進国もiPhoneのシェアは比較的高めです。
そういう意味ではiPhoneにおける(OS標準での)RCSサポートは重要な意味を持ちます。現在、Appleとは(標準対応に向けた)話し合いを進めているところです。
―― 話し合いはまとまりそうですか。
グランリド氏 まとまるはずです。
交渉には「規模のゲーム」の要素もあります。Appleとしても、成功するためには「規模」が必要です。 その観点から、話し合いが成功しない理由はないと思っています。
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