iPhoneで精子をセルフチェック リクルートが「Seem」を開発した狙い(2/2 ページ)
iPhoneアプリと専用キットを使い、精子の状態を自分でチェックできるサービス「Seem」。その背景には、妊活について意外と知られていない事実がある。サービスの狙いをリクルートライフスタイルに聞いた。
他社製品より高価な理由
他社からも、「元気チェッカー」「TENGA MEN'S LOUPE」という精液観察ツールが販売されているが、あくまで精子を見るためのもので、濃度や運動率を数値化できるのはSeemのみ。その分、価格も上記2製品の約1500円よりも高い4980円。入澤氏によると、測定アルゴリズムや、測定に使うレンズの開発にコストがかかっているという。精密なレンズと、精子の画像を解析するプログラムの開発は試行錯誤を繰り返し、苦労したという。
微量の精液で検査できるのも特徴だ。レンズの直径は0.4mmと小さい。カバーとレンズの隙間は0.01mmあり、ここに摂取棒で採取した精液を乗せると、表面張力が働いて、隙間に広がっていく。精子の頭は10μmなので、0.01mmという隙間は、精子同士が重ならずに動き回るには十分なスペースだという。なお、測定するにはレンズの真上から照明を当てる必要があり、十分な光源を確保できないと正確に測定できないので注意したい。
Seemの対応機種は、iPhone 5s以降のiPhone。インカメラの画素数や画角に依存するため、それより前の機種では利用できない。Android端末への対応も検討しているそうだが、機種が多すぎるため、二の足を踏んでいる状況だ。「男性がAndroidを使っていても、奥様が使っているiPhoneで計測される方も多いです」(入澤氏)
男性主体の妊活につながる
リクルートライフスタイルの調査によると、Seemを利用した人の33%が病院に行ったという。Seemは「男性が主体的に参加する新しい妊活文化の実現に期待している」と日本生殖医学会も評価している。「男性が病院に来ない課題は現場では解決できなかった」といったポジティブな声も同学会から出ており、男性が行動を起こすきっかけ作りに貢献している。
測定キットは洗うと精度が保てなくなるので、基本的に使い捨てとなるが、体調によって測定結果が変わる可能性があるため、「最低3回は測ってほしい」(入澤氏)とのこと。Seemを3セット購入すると約1万5000円だが、女性主体の検査費用に比べれば、はるかに安い。男性が手軽に始められる妊活の手段があることは、覚えておきたい。
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