シンプルになった「nuroモバイル」 一方で“らしさ”はどう出す? 細井氏に聞く:MVNOに聞く(2/3 ページ)
MVNOサービス「nuroモバイル」が料金プランを刷新。これまでは1GB刻みで2GBから10GBまでを自由に選べる料金プランを特徴にしていたが、これを4つへと大きく絞り込んだ。1GB刻みのプランや時間割といった特徴を捨て、大胆に料金を4つに減らした意図はどこにあるのか。
5時間プランや深夜割は廃止したわけではない
―― なくなってしまった5時間プランなどはどうしていくのでしょうか。
細井氏 申し込みの受け付けは止めていますが、廃止にしたわけではありません。今回は、基本メニューを変えるところのインパクトが大きかったので、そこに集中しました。時間プランは、一定のお客さまからの申し込みがあり、止めるのはどうかという声はありました。ただ、この2年間全くプランを変えていなかったので、本当に5時間でいいのか、深夜はもっと時間を広げた方がいいといった声も出ていました。今の裾野が広がったお客さまの声を聞きながら見直そうということで、いったん(新規の申し込みを)止めた形になります。
―― nuroモバイルらしさは、どこで出していくおつもりでしょうか。
細井氏 今回止めたのは1GB刻みのプランと時間プランで、それ以外は0 SIMもありますし、プレミアム帯域プランの上げホーダイも残しています。極端な話、お試しプランで「Xperia XZ Premium」を使って上げホーダイを使ってアップロードだけを安く使うこともできます。見た目は3つのプランに集約されましたが、組み合わせでいろいろなニーズにお応えすることはできると思います。
お試しプランも、音声通話付きで月1000円です。今のお客さまの中には2枚のSIMカードが入る端末をお持ちの方もいらっしゃいますし、用途ごとに2台持ち、3台持ちしている方もいます。そういった方が、2枚目、3枚目のSIMカードとして使うこともできます。
シンプルになって、今までのものを止めたため、ネガティブな印象もあるかもしれませんが、メニューが少なくなった割には、使い方に合わせた選択肢があるところは押さえています。
Xperia XZ Premiumは3万2000円引きに
―― 端末は、今後どうしていくのでしょうか。Xperia XZ Premiumの今後についても教えてください。
細井氏 Xperiaに関しては単純に出すのではなく、端末と通信のコラボとしてやらせていただきました。ただし、端末がハイスペックで値段が高かったこともあり、現在は3万2000円値引いています。それでも6万円台で高いという声も多いため、エントリーとして1万8000円ぐらいから用意し、2万円台、3万円台のものも厚くしました。やはりSIMカードを契約するのではなく、「端末を買う」という意識の方もいるので、そういう方の受け皿として2万円台の端末を増やしています。
Xperiaは高機能で、その機能を生かすプレミアム帯域を使える端末として発売した経緯があります。申し込み数は徐々に減ってはいますが、コンスタントにお申し込みをいただいている状況で、ご要望があるうちは、お出ししようと考えています。プレミアム帯域についてはこの端末専用で、上げホーダイもあるため、使い方によってはお得になると思います。
―― プレミアム帯域を他の端末で使いたいというニーズもありそうですが、いかがでしょうか。
細井氏 確かにそういったお声もいただいています。横展開も検討してはいますが、まずはXperiaのよさを味わっていただけるメニューにしています。これは、いろいろなお声を聞きながらですね。
昼でも5Mbps、10Mbps出すのは難しい?
―― 上り以外のカウントフリーについては、何か検討されていることはありますか。
細井氏 よくおしかりをいただきますが、混んでいるときにはやはりスピードが出ない。一握りの方がドーンと使われて、本当に使いたいときにスピードが出なくなってしまうことはあるので、(もしカウントフリーを実施するとしても)お客さまが公平にトラフィックを使っていただく仕組みは必要だと考えています。一つの答えとして、何々だからカウントフリーにするのではなく、上りは全てカウントフリーにするところをプレミアム帯域でトライしました。
―― 遅くなる時間を解決するのは、やはり難しそうでしょうか。
細井氏 苦手な時間はどうしてもあります。お声に合わせてチューニングはしていますが、どうしてもお昼の集中がひどく、その時間はある程度遅くなってしまいます。帯域単位でネットワークを借りる事業構造なので、(帯域増強とトラフィック増が)いたちごっこになってしまい難しいですね。昼でも5Mbps、10Mbps出せるようにとなると、帯域のコストが大きく上がってしまいます。ただ、それをお値段に反映させるのは本末転倒なので、どうにか調整して今の品質になっています。
―― 帯域単位を借りての接続以外の形は考えられないのでしょうか。
細井氏 (MNOから)もっと柔軟なメニューが出てくれば、その部分もある程度うまくいくのではないかと思います。そこはいろいろな議論の中で出てきたものに対して対応していきたいですね。
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