ソフトバンク、Y!mobileでも分離プランを導入へ 通信事業の人員を4割削減してユーザー還元へ(1/2 ページ)
ソフトバンクグループが、2019年3月期第2四半期決算説明会を開催。ソフトバンクに加え、Y!mobileへも分離プランを導入する。通信事業の人員を4割削減して新規事業へ振り分けるとともに、ユーザー還元に当てることを発表した。
ソフトバンクグループが、2019年3月期第2四半期決算説明会を開催。ソフトバンクに加え、Y!mobileへも分離プランを導入することで、売り上げは減る可能性があるとしたものの、2019年以降も増益を目指す。また、通信事業の人員を4割削減して新規事業へ振り分けるとともに、ユーザー還元に当てることを発表した。
2019年上期にY!mobileにも分離プラン導入、4割の人員削減も
今期の決算会見では大手3社ともスマホの料金について注目が集まっているが、ソフトバンクグループの孫正義氏は「大容量データを使うユーザー向けはソフトバンク、より低価格で大量データは使わないユーザー向けにY!mobileを出している。Y!mobileは低価格スマホ市場の中では圧倒的なポジションを得ている。ソフトバンクはウルトラギガモンスター+で1GB当たりの単価は国内で圧倒的に安く、GB単価は世界で最も安い事業者の1つだと思っている」と述べ、幅広いユーザーに対応するプランを用意していることをアピールした。
なお、ウルトラギガモンスター+でデータ通信量がゼロカウントになる8サービスの通信は「ソフトバンクのデータトラフィックの43%に相当」するという。「それをゼロカウントで提供しているので、GB単価はさらに4割引でカウントされる」という考えを示した。政府の指導にも「即刻対応」し、ウルトラギガモンスター+、ミニモンスターで分離プランを導入。さらにY!mobileも2019年上期に分離プランを導入することを明らかにした。
ソフトバンクの宮内謙社長は「9月からスタートしたソフトバンクの2つの分離プラン導入で2〜3割くらい(料金が)下がった。Y!mobileは現時点でも十分安いが、当然、1〜2割下がることになると思う」との見通しを語った。
また孫氏は「日本のスマホの市場は成熟していない。特に法人のスマホユーザーをもっと増やし、高付加価値で、安価な料金、最もつながり、最も高性能なネットワークを提供していきたい」と述べた一方、「通信以外のサービスも日本国内でしっかり入れていきたい」とも発言。その鍵となるものがSVFとの提携だ。「SVFの新規事業を国内にたくさん導入する。Yahoo! JAPANを20年前に作ったように、AIの新しい時代に向けて、サービス展開をジョイント・ベンチャーで開始したい」と意気込んだ。
また、通信事業の人員を4割削減し、新規事業に振り分けるという。
「低価格のサービスをいろいろやっていくためには、業務の効率を良くしていかなくてはいけない。そのために無理して人を減らすのではなく、ルーティンワークはバーチャルロボットにさせ、社員の業務プロセスを一気に効率化する。そうすることによって、いろんなサービスに対応できる。ソフトバンクの上場を控え、通信事業を中心とした国内事業は増収増益をしっかりと目指す」(孫氏)
この人員の削減はもちろん、料金値下げの流れに対応するためでもある。ドコモが分離プラン導入による4000億円のユーザー還元を発表しているが、「ドコモさんの料金プランは、具体的にどのようになるのか正確には表明していない。われわれはどのような状況になっても常に気を引き締めて、言い訳抜きで増益を達成する。それには、これを機会にさらに経営の効率を上げていく必要がある」(孫氏)と語り、顧客還元は行うが、合わせて増益も実現するとの考えを示した。
なお、人員削減は時期を決めているわけではなく、これから2〜3年のうちに行うという。
ユーザーは「安い端末を選択しやすくなる」
孫氏は分離プランで通信料金が下がるという認識を示したが、記者からは端末価格が上がればユーザーの負担は変わらないとの指摘が挙がった。これについて孫氏は「ユーザーはより安い端末を選択しやすくなる」とコメント。
「安いSIMフリー端末なども含めて選択肢が広がり、ユーザーは実質的なコストダウンを受けやすくなる。加えて、既にY!mobileは世界と比較しても安い。ソフトバンクの分離プランは、動画やSNSの通信料が一部無料になっているので、やっぱり安くなっているのではないか。料金プランがシンプルで、ユーザーに選択肢があるということで、コストダウンにつながるのではないか」(孫氏)
コストダウンやユーザー還元に努めると語りつつも、増益は実現すると孫氏は重ねて強調する。
「料金が低価格になるから減益してもいいなんてことは、ゼロから創業したソフトバンクとしては絶対に言い訳として使いたくない。低価格化に対応しながら、なおかつ株主に対してもしっかりと責任を果たしていきたい。人員は涙を流して減らすのではなく、彼らが笑顔でもって取り組めるように新規事業を増やしていく。削減は単なる削減ではなく、成長事業へシフトするということ」(孫氏)
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