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総務省が緊急提言 通信料と端末代の完全分離を要請 代理店の在り方にもメス(2/3 ページ)

総務省の「モバイル市場の競争環境に関する研究会」と「ICTサービス安心・安全研究会」が、携帯電話料金と携帯電話を含む通信サービスの販売代理店に関する“緊急提言”の案を作成した。取りまとめを前に、この案に関する意見募集も行う。

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行き過ぎた期間拘束の禁止

 通信技術の進歩は著しい。そのため、提言案は契約者が将来を見越した合理的な判断は難しいとの立場を取り、行きすぎた期間拘束(定期契約)を見直すことを盛り込んだ。

 具体的には、2つの研究会で共通して指摘された以下のようなプランの見直しを求めている。

  • 期間拘束のあるプランと比べて著しく不利な、期間拘束のないプラン
  • 合理的な理由なく長期間にわたる期間拘束プラン

 前者は、同じ通話時間・容量のプランがあったときに、定期契約の有無によって著しい料金差が発生することが問題だ。

 例えばauの「auピタットプラン」や「auフラットプラン」は、初回契約時の内容によって300円(最初の2年のみ拘束)または1500円(契約当初から拘束なし)の月額料金差が生じる。この料金差はauの「戦略」によるものだろうが、ユーザー目線で“合理的”とは言いがたいので、何らかの変更を加える必要がありそうだ。

 後者については、2年超に渡る契約拘束のことを指すものと思われる。音声通話プランではあまり主流ではないが、一部のキャリアではデータ(ルーター)専用契約で3年契約を導入していることがある。これが“合理的”でないとすれば、見直しは不可避だろう。

 定期契約を期間内に解約する場合の解約金(違約金)については、「合理的な算定根拠に基づいて設定されるべき」という立場から、著しく高い場合には見直すことを求めている。

auピタットプラン
auの「auピタットプラン」(画像は「スーパーカケホ」の場合)では、基本料金が「2年契約」「2年契約(自動更新なし)」「料金割引未加入(定期契約なし)」の3パターンあり、それぞれに料金差がある。それに「合理性がない」と判断されれば、見直しを迫られる

 この項目では、定期契約の自動更新についても言及している。

 海外では定期契約は自動更新としないことが一般的だが(参考記事)、日本では利用者の利便性を理由として自動更新を事実上の標準としている。

 自動更新について、提言案は「利用者を過度に拘束する」と否定的な見方を示す一方、それにメリットを感じる利用者がいることも認識している。

 そこで、定期契約の更新が利用者の真正な意思によって行われるようにするために、以下のような提案を盛り込んだ。

  • 初期契約時に自動更新とするかどうかを選択できるようにする
  • 定期契約が終わるタイミングで自動更新とするかどうか意思を確認する
  • 自動更新の有無によって料金などに差を設けない

 先述の料金プランの見直しと合わせて考えると、少なくとも初回の定期契約完了後は、定期契約の有無によって料金の差を作らないという方向になるだろう。

 固定インターネット通信や固定回線を使ったテレビ再送信など、最近は大手キャリアがモバイル通信以外の通信サービスを提供することが増えた。その契約は、モバイル通信契約とは別に定期契約を用意していることもある。

 そのため、個々のサービスの契約時期のズレが、それぞれ単体で契約した時以上に強い拘束効果をもたらすことがある。そこで、提言案では通信に関する別個の定期契約を、同時に無料解約できるタイミングを設ける改善策を検討することも合わせて求めている。

合理性を欠く料金プランの廃止

 今回の提言案では、利用者の正確な理解と合理的な選択を促す観点から、複雑なプランや合理性を欠くプランの見直しを求めている。サービス条件が同じなのに、端末の種別によって基本料金が異なるプランは、その一例だ。

 例えばNTTドコモの音声通話対応基本プランのうち、「カケホーダイプラン」と「カケホーダイライトプラン」は、スマホ・タブレットで使うとケータイ(フィーチャーフォン)より月額500円多く請求される。案の趣旨を考えると、このような端末種別による料金差は是正せざるを得ないだろう。

ドコモの音声プラン
NTTドコモの音声通話対応基本プラン。一番安価な「シンプルプラン」では端末種別による料金差がないにも関わらず、「カケホーダイプラン」と「カケホーダイライトプラン」はスマホ・タブレット用の料金がケータイ用の料金よりも500円高い

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