総務省、施行前でも改正法に反したプランを縮小するようキャリアに要請
総務省が3キャリアに対し、改正法を円滑に施行するための要請を行った。改正法の趣旨に反する料金プランや販売手法は、施行前でも早急に見直すよう要請。新料金プランの周知も徹底するよう呼び掛けている。
総務省は6月20日、NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンクに対し、電気通信事業法の一部を改正する法律(以下、改正法)を円滑に施行するための要請を行った。
「モバイル市場の競争環境に関する研究会」でも議論されているが、改正法の趣旨は、事業者の競争を促進すべく、通信料金と端末代金を分離させた「分離プラン」を義務化すること、期間拘束などの行きすぎた囲い込みを是正すること。
改正法は2019年5月17日に公布され、半年以内に施行する予定。現在、その内容を詰めている段階であるが、「公正競争の促進を通じた利用者利益の向上のためには、改正法施行後にその適切な運用が確保されるとともに、施行前から改正法の趣旨を踏まえた準備が徹底されることが必要である」と総務省は考える。
そこで、施行前であっても、改正法の趣旨に反する料金プランや販売手法などを早急に見直し、趣旨に反するものは、整理や縮小を至急進めるよう求めている。料金プランについては、3キャリアは既に分離プランを提供しており問題なさそう。
一方、端末割引について、総務省は「2万円まで」という厳しい案を提案している。今回の要請により、駆け込み需要を狙い、改正法が施行される前に大幅な割引を行うことは難しくなりそうだ。また、3キャリアが提供している、端末を返却する代わりに残債の一部を免除するプログラムは、場合によっては早めの見直しを迫られるかもしれない。
他に、改正法に合う料金プラン(分離プラン)へ円滑に移行できるよう周知を徹底すること、改正法が施行されてから、期間拘束ありプランの通信料金と端末代金の総額を示す準備をすること――なども要請している。
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