朝起きてから寝るまでをサポート LINEが目指す“Life on LINE”戦略:LINE CONFERENCE 2019(1/2 ページ)
LINEが6月27日、最新のテクノロジーやサービスを披露する「LINE CONFERENCE 2019」を開催した。同社は「Life on LINE」という戦略を掲げ、ユーザーの1日をサポートできるよう、多彩なサービスを展開する。キーになる技術は「オフライン」「フィンテック」「AI」の3つだ。
LINEが6月27日、最新のテクノロジーやサービスを披露する「LINE CONFERENCE 2019」を開催した。冒頭のキーノートで慎ジュンホCWO(Chief WOW Officer)と出澤剛CEOがLINE全体の戦略を語り、その後、担当者が各分野の新サービスを発表した。カンファレンスは当初の予定を上回り、(休憩時間も含めて)約4時間にも及ぶ長丁場となり、盛りだくさんの発表内容だった。
「オフライン」「フィンテック」「AI」を重視
カンファレンスのキーメッセージとして掲げた言葉が「Life on LINE」だ。慎氏によると、これは朝起きてから寝るまで、1日の生活を全てLINEがサポートするという意味を込めたという。「必要な場面で適切なサービスを提供することが、Life on LINEの目指す世界観だ」と同氏は説明する。
このLife on LINEを支える3つの重点戦略が「オフライン」「フィンテック」「AI」だ。
これまで、オンラインからオフラインへユーザーを店舗に促す「O2O」の施策に取り組んできたが、「O2Oだけではカバーできない」と慎氏。そこで、オンラインとオフラインを融合させる「OMO(Online Merges with Offline)」の考えのもと、「LINE Mini app」を2019年秋から提供する。これは、LINEアプリ内に、各店舗のミニアプリを組み込めるプラットフォームで、LINEアプリ上で、店舗のクーポンやポイントカードの取得、予約、決済などが行えるようになる。
フィンテックの領域では、日本では「ペインポイント(課題)が山ほどある」と慎氏は話す。「銀行は24時間営業しておらず、振込や引き出しにも手数料が掛かる。キャッシュレスが使えない店舗では、分厚い財布をいつも持ち歩かないといけない」(同氏)
そこでLINEは、スマートフォンさえ持っていれば、どこでも、簡単に、キャッシュレスでお金を使える世界を目指す。LINE Payは着実に加盟店とユーザー数を伸ばしており、メルペイやドコモとのアライアンス(加盟店の相互開放)も発表した。銀行業にも名乗りを上げ、みずほフィナンシャルグループと共同で「LINE Bank」を立ち上げ、2020年度に開業する予定。
そして新たな金融サービスとして「LINE Score」を発表し、27日から提供している。LINEアプリ上で質問に答えると、100〜1000点のスコアが算出される。このスコアに応じて、シェアリング/サブスクリプションサービスなどの特典を受けられる。さらに、個人向け無担保ローンサービス「LINE Pocket Money」を2019年夏に開始する予定。なお、スコアリングはユーザーの同意のもとに行い、LINEのメッセージや通話の記録は参照しない。
慎氏が「5年〜10年後に、IT企業は『AI技術を備えているところ』と『備えていないところ』の2つに分かれる。LINEはAIカンパニーである」というほど重視しているのがAIだ。LINEはこれまでも、スマートスピーカー「Clova」やLINEトーク上のチャットbotなどでAI技術を活用してきたが、同社が持つ音声認識、チャットbot、音声合成の技術を用いた電話の自動応答サービスも開発している。
LINEはサービス名に「DUET」と名付けており、AIと人が力を合わせてよりよい生活を目指すという意味を込めた。実際に舛田淳CSMOが、AIに電話をかけてレストランの予約をするデモを披露した。「現時点では新規予約、予約変更、キャンセルを処理することぐらいしかできないが、それだけでも、店舗が直面している人材不足という大きな課題を解決できる」と同氏は期待を寄せる。
さらに、このAI技術を外部企業に展開する「LINE BRAIN」も発表した。
進化したグループ機能「OpenChat」
このように先端テクノロジーを追求しながらも、「LINEの強みは、これまでもこれからもコミュニケーション」と話すのが、上級執行役員 LINEプラットフォーム企画統括の稲垣あゆみ氏だ。LINEは、2019年夏に新たなグループ機能「OpenChat」を提供する。
現在もLINEのトークではグループを作れるが、「グループメンバーのプロフィールを変更できない」「管理者の機能がない」「LINE内で趣味仲間を見つける方法がない」といった課題が生まれた。例えば保育園やPTAの父母同士でグループを作っても、プロフィールには各メンバーの氏名しか表示されないため、誰の親なのかが分からない。
こうした問題を解決するのがOpenChatだ。ユーザーが興味、関心のあることのグループを作り、会話や情報収集ができる。トークルームごとにプロフィールを変えられる他、参加を承認制にしたり、ルームコードを必要とするトークルームを作成したりできる。ゲーム仲間との交流、同じスポーツ中継を見ながらの交流、保育園やPTAの父母同士の連絡、といった使い方を想定している。
LINE NEWSはテレビ番組とも連携
6500万人の月間ユーザーを抱え、2019年5月末に月間PVが100億を突破するなど好調の「LINE NEWS」は、オフラインのコンテンツを取り込むべく、雑誌と連携した「LINE MOOK」を提供している。その次の施策として、テレビ局のリプレイ動画を視聴可能にする「Replay Cast」を提供する。まずはテレビ東京と提携し、2019年夏ごろにサービスを開始する。
Replay Castでは、テレビ番組の見どころをLINEにプッシュ配信し、ユーザーを番組のリプレイ動画に送客する。例えばスポーツの試合で得点が入ったタイミングでプッシュ配信し、ユーザーは得点が入るまでのシーンを視聴するという具合だ。
他に、「まだ存在していない、新しいものを生み出す」(上級執行役員 ポータル・メディア事業統括の島村武志氏)ことを目指し、クリエイターが自由に動画コンテンツを創作するプロジェクト「VISION」も6月26日に開始した。
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