九州でシェアを伸ばすMVNOサービス「QTmobile」の戦略を聞く 他社にない特徴とは?:MVNOに聞く(2/3 ページ)
「QTmobile」を運営する九州電力傘下のQTnetは、九州でシェアを伸ばすMVNOだ。九州内では川口春奈さんを起用したテレビCMを放映したり、対面契約が可能な実店舗を構えたりと、大手顔負けの施策で注目を集めている。そんなQTmobileの戦略について、MVNO事業を率いる藤野雄三氏に聞いた。
3キャリアの回線をそろえた狙い
―― ドコモ、au、ソフトバンクの3回線をそろえたのは、mineoより早かったと思います。その理由を教えてください。
藤野氏 他社と狙いは同じだと思いますが、それぞれのキャリアを使っていたユーザーが、SIMロックの解除なしに(QTmobileのSIMカードを)使えるのがメリットになります。SIMロック解除のハードルは、まだまだ高い部分があります。ショップに来ていただければサポートもできるため、そのハードルは下げられますが、Webのお客さまもいます。今後、マジョリティー層に市場が動いていくことになると、お使いの端末やキャリアをそのままで移れるのは、やはり分かりやすい。それもあって、マルチキャリアに対応しました。
マルチキャリア化したことで、プロモーションでも「SIMを入れ替えるだけで簡単です」と訴えました。ここまでシンプルに訴求できるのは大きいですね。
―― なるほど。確かにそれだけなら、15秒の短いCMでも伝わりそうです。マルチキャリア化したのは2018年2月で、間もなく1年半ですが、それぞれの回線の比率はいかがですか。
藤野氏 累計では、ドコモ回線が7割、au回線が2割、ソフトバンク回線が1割になります。最初からやっていることもあり、ドコモ回線の割合は高いですね。料金にも微妙な違いがあり、ドコモ回線とau回線は一緒にしていますが、ソフトバンク回線は卸の料金(接続料)の関係もあって、少し高くなっています。われわれとしても、本当は3つにそろえたいのですが……。
―― とはいえ、ソフトバンクも接続料がかなり下がってきて、auに迫っています。今後、値下げの余地もありそうです。
藤野氏 料金の交渉はMVNEとやっている形で、接続料の改定については、そのMVNEと協議していくことになります。3つそろっていた方がシンプルなので、目標としてはそろえていく方向です。
―― なるほど。ちなみに、回線は3つともMVNE経由ですか。自前で相互接続しないのでしょうか。
藤野氏 はい。相互接続は、過去に検討したことはありますが、(MVNEから回線を借りて)MVNOとしてやっていくというのが当社の結論です。相互接続して、MVNEとしてやっていくとなると、それ相応の投資が必要になり、やはり全国規模でやらないとメリットが出せません。スタートした時期の関係もあり、われわれとしてはMVNOとして回線を卸してもらった方がいいということで、今のところ(直接の相互接続は)考えていません。
―― 時期が早かったのは、話題性を狙った面もあったのでしょうか。
藤野氏 狙っていたわけではありません。サービスの建付けを考えたとき、分かりやすさや、面倒くささを払拭(ふっしょく)しようと考え、必然的に3キャリアになりました。早かったのはたまたまですね。
リブランドして契約数は約10倍増えた
―― 加入者数や今後の目標値など、何か公表できる数値はありますか。
藤野氏 累計契約者数と目標は、開示していません。ただし、契約者数はリブランドしたときに比べ、10倍弱ぐらいには増えています。九州内では相当テレビCMもやっているので、認知もかなり高くなりました。
―― 年齢層はいかがですか。
藤野氏 40代が一番多くて3割ぐらい、次が50代で2割強、30代が2割ぐらいと続きます。ただ、60代のお客さまも多く、15%ほどいらっしゃいます。ここ最近のトレンドとしては、20代、30代が増えていることで、特に20代が顕著です。女性の比率も増えています。
―― もともとは固定回線のオプションでしたが、やはりセットの比率は高いのでしょうか。
藤野氏 半数ぐらいが固定回線を契約していますが、最近のトレンドとしては、光回線の契約がないユーザーも非常に増えています。
―― 逆に、QTmobileからBBIQの光回線に入る人もいるのでしょうか。
藤野氏 はい。ショップにいらっしゃる方はモバイルが目当てですが、光回線の案内もしています。その案内で、入っていただける方もいらっしゃいます。
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