米商務省のHuaweiに対する「輸出一時許可」が90日間延長 「エンティティリスト」入り関連企業は追加
米商務省の産業安全局(BIS)が中国Huaweiを「エンティティリスト」に加えて3カ月が経過した。現在、同省はエンティティリスト対象企業に対する「一時的一般許可証」を発布しているが、その効力が90日間延長されることになった。一方で、リスト対象のHuawei関連企業は追加されている。
米商務省は8月19日(米国東部夏時間)、同省産業安全局(BIS)の「エンティティリスト」に中国Huawei(華為技術、ファーウェイ)の関連企業を46社追加したことを発表。同時に、Huaweiを含むエンティティリスト対象の関連企業に対する「一時的一般許可証」について、有効期限を90日間延長することも発表した。
Huaweiと関連企業に対する事実上の輸出規制は範囲が広がった一方、向こう90日間は既存製品の維持・管理に必要な取引(スマートフォンやタブレット端末に対するソフトウェア更新など)を引き続き行える。
エンティティリストとは? その影響は?
エンティティリストは、BISがまとめている「懸念先リスト」の1つで、米国の国家安全保障や外交政策の利益に反する個人、企業、研究機関、または政府機関が記載されている。
このリストに記載されると、米国から製品やサービスを輸出する場合、または米国内でリスト記載企業に製品やサービスを譲渡する場合に、BISからの個別承認(ライセンス)を取得しなければならない。個別承認の申請は「原則拒否」となるため、リスト入りは事実上の禁輸措置となってしまう。
Huaweiとその関連企業の場合、Googleが提供するOS「Android(アンドロイド)」と「Googleモバイルサービス(GMS)」など、規制の対象となるサービスや部品は多いと思われる。
延長は「あらゆる混乱を防ぐため」 再延長の見通しは不透明
Huaweiのスマートフォンやタブレットは広く普及している。Huawei製のネットワーク機器を使っている通信事業者は少なくない。エンティティリストによって米国由来のサービスや部品が使えなくなると、社会インフラや個人の生活に多大な影響が出てしまう。
そこで米商務省は、先述の通り一時的一般許可証を発布し、既存製品の維持・管理に必要な取引に限り、Huaweiとその関連企業に対するサービスや製品の輸出を認めている。
今回の許可証の延長措置について、米商務省のウィルバー・ロス商務長官は「Huawei製品からの移行を促し続ける上で、私たち(米商務省)はあらゆる混乱を避けるためにより多くの時間が必要であると認識した」と理由を説明している。ただし、延長された許可証はあくまでも“一時的”なものであり、いつまでも延長されるとは限らない。また、一時的一般許可証はあくまでも既存製品の維持・管理を目的としていて、新製品は対象に入っていない。
問題の抜本的な解決策は、Huaweiと関連企業がエンティティリストから“除外”されることだが、その見通しも立っていない。
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