終始、強気の発言を貫いた楽天キャリア事業発表会――記者からは「中身がなかった」と不満の声多数:石川温のスマホ業界新聞
楽天モバイルが9月6日、MNOに関する発表会を開催した。10月のサービスインは約束通りになったものの、5000人限定の事実上の無料トライアルでのスタートで、肝心のプラン発表は見送られた。ある意味で、肩透かしだったといえる。
事前に総務省から行政指導を3回も食らうなど、基地局整備が遅れているという報道があったにも関わらず、三木谷浩史社長や幹部が終始、強気な発言を繰り返したのが印象的であった。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年9月7日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
会見終了後、参加した他のメディア関係者と立ち話したのだが、全員共通した感想として「聞きたいことが全く聞けなかった。中身がない」と不満タラタラだったのが興味深かった。
まず、基地局に関しては「他社と異なりベースステーションというハードが必要ない。当初こそ遅れていたが、順調に回復している。基地局をネットワークに繋ぐ作業も課題はあったが、現在は解消し、東京23区、名古屋、大阪でサービスを開始できる」(三木谷氏)とした。
ただ、現在、完成している基地局数や2020年3月までに計画通りの基地局が設置できるかという質問に対しては「具体的な数は東京、大阪、名古屋について、サービス提供する目処は立っている。3月までにも目標には十分に間に合う」(楽天・武田和徳副社長)と具体的な数に言及することはなかった。
最も気になる料金プランに関しても、山田善久社長が早々に「正式な料金発表はない」と表明。ただ、三木谷社長は「他社は真似することのできない料金体系になるのでは」と自信を見せた。ただ、メディア関係者の多くが「他社が真似できないなら、今発表してもいいのではないか」と思ったのは間違いない。
10月からは「無料サポータープログラム」として、音声通話やデータ通信が使い放題で提供される。システムが安定して稼働したと確認ができたら「可及的速やかに商用サービスを開始する」(三木谷社長)とのことだった。
ただ、その商用サービス開始時期については「1ヶ月後かも知れないし、来年の3月かも知れない」(三木谷社長)とのらりくらりと交わしたのであった。
また、プレゼンではサービス開始直前の会見にも関わらず、いまだに「完全仮想化ネットワーク」の話に時間を割いていた。本来であれば、楽天が導入するというコミュニケーションアプリ「Link」について、より具体的な話をしてほしかった。
このタイミングにも関わらず、料金、エリア、サービス内容についての具体的な言及は一切なく、メディア陣からしてみると、本当に肩透かしな会見で終わってしまった。
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