“何となくハイエンド”は終わり 分離プラン時代に投入する「AQUOS zero2」「AQUOS sense3」の狙い(1/2 ページ)
シャープが新フラグシップスマホ「AQUOS zero2」を発表。ディスプレイの駆動速度や本体の軽さにこだわり、ゲーマーを強く意識した。より幅広いユーザーに向けた「AQUOS sense3」は、大容量バッテリーや必要十分な機能を特徴に打ち出している。
シャープが新フラグシップスマホとなる「AQUOS zero2」を発表した。初代「AQUOS zero」で打ち出した有機ELディスプレイや軽量ボディーといった特徴を継承しながら、AQUOS zeroの4倍となる240Hz駆動の表示に進化したことが大きなトピックだ。高速駆動の狙いは、ゲームをより快適にプレイしてもらうため。
動画の撮影体験やコミュニケーションの向上に重きを置いている「AQUOS R」シリーズに対して、AQUOS zeroシリーズはゲーム体験を重視。シャープはeスポーツのイベントにも積極的に協賛していく。通信事業本部 本部長の中野吉朗氏は「ゲームは参加する、応援するというコミュニケーションツールでもある。ゲームを新たなコミュニケーション文化に発展させたい」と意気込みを語った。
一方、10月1日から電気通信事業法が改正されることに伴い、端末値引きが規制され、ユーザーはスマホの価格をよりシビアに見ることになる。通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏は「これまでのような、何となくハイエンドを選ぶという購買方式は終わる」と話す。今後は「明確な目的や強い意志を持って、こだわりのフラグシップを選ぶ層」と、「間違いのない賢い選択をして、値段相応以上の買い物をしたい層」に分かれるとみる。
これら2つのニーズを満たせるよう、秋冬モデルでは「AQUOS zero2」に加え、コストパフォーマンスの良さにこだわった「AQUOS sense3」と「AQUOS sense3 plus」も投入する。
軽くて速い 幅広いゲーマーに向けた「AQUOS zero2」
AQUOS zero2は、ゲーミングスマホの立ち位置も狙うが、何もハードにゲームをプレイする人だけに向けたモデルではない。小林氏は、ハードにプレイするガチ層と、短時間だけプレイするライト層の間に、趣味としてカジュアルにスマホゲームを楽しむ「エンジョイ層」が増えていると話す。
一方、販売中のゲーミングスマホを見ると、「ゴツくて重いスマホが多い」と同氏。ゲームを長時間遊んでも疲れにくくなるよう、AQUOS zero2でも軽さにこだわり、zeroの146gをも下回る143gまで軽くなった。これはマグネシウムフレームをさらに軽量化し、基板を25%小型化するなど、内部構造の工夫で実現した。
ちなみに背面の素材は、zeroで使用したアラミド繊維ではなく、カラーバリエーションを増やすために、樹脂を採用している。
ディスプレイの駆動速度は、AQUOS zeroの60Hz(1秒間に60回更新)から120Hzに向上させた上で、各フレーム間に黒画面を挿入することで240Hz駆動とし、残像を低減させることに成功した。これは、網膜残像効果を利用したものだという。「人間の目は、今見ている絵と、直前に見ている絵を混ぜ合わせて知覚するため、動画のボケ(残像)が発生する。ここに黒を挟むことで、網膜残像を軽減できる」と小林氏は説明する。
黒画面を挟む効果はゲーム以外の場面でも生きる。例えばブラウジングをしながら素早くスクロールしても、文字の残像が抑えられ、スクロール中でも文字をハッキリと視認できるようになる。60Hzと120Hzで同じ画面を同時にスクロールするデモを見比べてみたが、明確に違いを認識できた。ただし240Hz駆動だと、「比較的バッテリーを消費しやすくなる」(シャープ担当者)ため、手動でオフにする設定も用意するという。コンテンツに応じて自動で駆動速度が変わるわけではなく、60Hzか240Hzの2通りのみとのこと。
表示だけでなく、タッチの反応速度も向上。1秒間に240回の周期でタッチを検出することで、平均約2msでのタッチ検出が可能になり、タッチしてから画面が表示されるまでの遅延を、60Hzのときと比べて約80%短縮することに成功したという。「(ゲームで)ギリギリの勝負を分けるシーンでも、残像が少なくタイムリーに(得点を)取れる。勝ちに行けるスマートフォンだ」と小林氏は胸を張る。
8GBメモリと256GBストレージは、スマートフォンAQUOSでは最も高いスペックであり、同じくAQUOSとしては初めてAndroid 10を搭載した。標準+広角のデュアルカメラ、ディスプレイ内蔵の指紋センサーを備えるなど、他社メーカーではトレンドとなりつつある機能も取り入れた。
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