検索
ニュース

Origamiの決済プラットフォーム開放が進化 簡単に“○○Pay”が提供可能に「Origami Wallet」も始動

Origamiが新たな金融プラットフォーム「Origami Network」を発表。決済や顧客管理の機能をパッケージ化したもので、外部企業が簡単に「○○Pay」を導入できる。資金移動業の登録完了に伴い、11月には「Origami Wallet」もスタートさせる。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 モバイル決済サービス「Origami Pay」を提供するOrigamiが9月27日、「Origami Conference 2019」にて、新たな金融プラットフォーム「Origami Network」を発表した。

Origami
Origami
「Payの開放宣言」と銘打ち、新たな金融プラットフォーム「Origami Network」を発表した

 Origami Networkは、Origamiの決済機能やデータ分析、ポイント機能、顧客管理(CRM)機能をオープン化したもの。これらの機能を利用するためのSDKを無償で提供する。外部企業がOrigami Networkを活用することで、自社のアプリにOrigami Payの機能を付加できる。ユーザーはOrigamiのアプリを使わず、外部企業のアプリから、Origami Payの加盟店で決済できるようになる。

Origami
決済サービスに必要な機能をワンパッケージで提供する
Origami
Origamiの康井義貴社長

 決済サービスのオープン化は、1年前の「Origami Conference 2018」でも「提携Pay」という名称で発表していたが、Origami Networkは、この提携Payをアップデートしたもの。提携Payでは決済システム連携などのカスタマイズをする必要があったため、外部企業がOrigamiの機能を利用するには「1〜2年の長い年月がかかる」(Origamiの康井義貴社長)という課題があった。

 しかしOrigami Networkなら「完全にパッケージ化したものを実装できる」(事業開発ディレクターの伏見慎剛氏)ため、煩雑なカスタマイズが不要になり、「数カ月で、各企業のアプリにOrigamiの決済機能を組み込める」(康井氏)という。

 「日本では、カード種類が1000以上あるといわれており、百貨店や航空会社などはカードを活用して顧客基盤を作ってきた。最近はアプリを出す会社が増えており、アプリの中に接点を作ってデジタルのやり取りを実現してきた」と康井氏は振り返る。そのアプリの中に決済機能を搭載するには、決済基盤、セキュリティ、加盟店インフラなどを自社で1から作る必要がありハードルが高い。これが、Origami Network提供の背景だ。

 Origami Networkは9月27日に受け付けを開始するが、信用金庫のAndroidアプリにOrigamiの機能を組み込んだバージョンを、9月26日にリリース済み。この他、すかいらーくホールディングス。Peach Aviation、フジテレビジョン、マネーフォワード、吉野家など14社との提携も決まっている。

Origami
信用金庫のアプリにOrigamiの決済機能を取り入れた
Origami
14社との提携も発表
Origami
Origami取締役の桑原智隆氏

 Origamiは囲い込むのではなく、外部企業とタッグを組むことで決済サービスを普及させようというスタンスが、他社とは一線を画する。Origami取締役の桑原智隆氏は「キャッシュレス社会を実現させるには、支払い手段を競争するのではなく、日本の生産性を高める必要がある。デジタル革命の潮流の中で、しっかり顧客目線で付加価値の高いサービスを生み出せるようにしたい」と意気込みを語った。

「Origami Wallet」や「Origami Card」も提供

 決済プラットフォームを開放することで、外部パートナーとの提携を強化するOrigamiだが、Origamiアプリ自体の強化にも余念がない。Origamiのユーザー数は公表していないが、2017年8月との比較で、2019年8月には月間利用者数が21倍に伸びたという。アクティユーザーの率も高く、Origami Payは競合よりも高い80%という調査結果も出ている。

Origami
ユーザー数は順調に増えている
Origami
アクティユーザー率の比較

 Origami Payを導入した店舗の業績向上にも貢献している。例えば日本ケンタッキー・フライドチキンでは、2019年2月のキャンペーン実施後、前週からOrigami Payの決済件数が40倍になり、来店数が10%伸びたという。

Origami
Origami Payのキャンペーン実施後に業績が向上した例(日本ケンタッキー・フライドチキンの場合)

 Origami Payでは銀行口座を登録して支払う場合に3%の割引を実施していることに加え、10月1日からは、キャッシュレス・消費者還元事業の5%割引の対象店舗でOrigami Payを使うと、合計で8%の割引を受けられる。

Origami
通常の3%+キャッシュレス・消費者還元事業の5%を合わせた8%の還元を10月1日にスタートする

 さらに10月1日以降、キャッシュレス・消費者還元事業の登録店舗が新規でOrigami Payの加盟店に申し込んだ場合、決済手数料を0%にするキャンペーンも実施する。

Origami
加盟店決済手数料0%のキャンペーンも行う

 不正対策については、2段階認証、端末認証、365日24時間の監視を行っている。不正利用の被害に遭った場合、Origami側で全額を補償することを利用規約に明記する。これまでも、不正利用に対しては全額を補償してきたが、明文化することでユーザーに安心感を与えることが狙い。

Origami
2段階認証をはじめとする不正対策も実施
Origami
万が一不正利用の被害に遭った場合は全額を補償する

 Origamiが資金移動業に登録されたことに伴い、2019年11月上旬から「Origami Wallet」機能を提供する。これにより、ユーザーは残高をチャージしたり、個人間で送金したりできるようになる。このWallet機能についてもOrigami Networkを通じて他社に開放する。

Origami
チャージや送金などが可能になる「Origami Wallet」を11月上旬から提供する

 さらに「Origami Card」と呼ばれる物理カードの提供も予定している。詳細は別途発表されるが、プリペイドカードやクレジットカードとして使えるようになることが期待される。なお、Origami Cardの開放は「検討中」(伏見氏)とのこと。

Origami
物理カードの「Origami Card」
Origami
チャージした残高が、さまざまなシーンと方法で使えるようにする。伏見氏は「お金を滑らかに使えるようにしたい」と話す

融資、保険、投資のサービス、データ分析にも注力

 「未来の金融サービスを創造する」とのコンセプトのもと、Origamiは「Origami Financial Services」という新会社を設立し、パートナー企業とともに融資、保険、投資のサービスも提供していく。27日には保険のサービスで、あいおいニッセイ同和損保、第一生命と提携することが発表された。

Origami
Origami Financial Servicesを設立。CEOは正木美雪氏が務める
Origami
Walletの残高から融資、保険、投資のサービスを使えるようにする

 決済サービスで蓄積したデータをどのように活用していくかは重要なテーマだが、ここに対しては「Origami Technologies」という新規事業を進めていく。決済データやデジタルデータをもとに、提携企業の効率的なマーケティングをサポートしていく。Origami Network自体は無償だが、既存のビジネスモデルである加盟店手数料や、顧客管理機能を使ったデータ分析、データを活用した新規集客などで収益化を図っていく構え。

 康井氏は「表がペイとしたら、裏側はビッグデータ分析。ここに一番投資をしていく」と力を込める。Origami Technologiesの事業がビジネスモデルのカギを握ると言えそうだ。

Origami
データ分析にも力を入れていく。ダッシュボード開発なども想定しているそうだが、具体的な発表は機会を改めて行うとのこと

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る