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ショップの来店予約が“取れない” 一体なぜ?元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(2/2 ページ)

あるキャリアのキャリアショップで、解約時の来店予約がなかなか取れないという問題が発生しました。なぜ、このようなことが起こってしまったのでしょうか。予約システムの仕組みをひもときつつ、実際に店頭に立つスタッフの意見も聞いてみました。

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来店予約について現場の声は?

 キャリアショップにおける来店予約について、複数の現役店員から話を聞いてみると、さまざまな意見が出てきました。

 ある店員からは、こんな声が。

 解約を受け付けると、事業者(キャリア)からの評価が下がってしまいます。

 特に販売不振の続く店舗であれば、売った数に対しての解約した数が割合として大きくなってしまうのを避けるために、「システムの穴」を突いて、解約のために来店予約をするお客さまを減らそうと考えても不思議ではありません。

 ショップに課せられた、解約に対するペナルティへの同情とも取れます。

 一方、別のショップに勤める店員からはこんな意見やアドバイスが出ました。

 解約や料金の支払いなど手続きが簡単なものであれば、混雑している中でもすき間時間を使って(予約なしでも)優先的に対応できる場合があります

 もちろん、来店予約を使って頂いた方がお待たせする時間は短くて済みますが、簡単な手続きこそ立ち寄りやすい店舗で相談してみてほしいです。

 来店予約の枠は、当日に出勤するであろうスタッフの人数に対して設定しています。

 しかし、慢性的に人手不足となっている店舗では、予約の枠を新たに用意するのも難しいので、かなり前もって予約をしてもらうしかありません

 システム上では、当日予約を受け付けられません。また、システムの制約から受け付けできる余裕があっても「予約枠がない」と出てしまうことがあります。

 このような場合は、電話で来店予約を承れることがあります。全部の店舗がそうであるとは限りませんが、オンライン予約できない場合は、一度電話して相談してみるのも手です。

 予約システムの問題点やショップが現在抱える課題を指摘しつつ、ユーザーへの理解を求めつつ、予約が取れない場合のアドバイスとも取れる話を聞けました。

 ここまで来ると、「来店しなくてもできる手続きを増やせばよいのでは?」とも思うわけですが、店員からもその点を改善すべきだとするる声が上がりました。

 MVNOサービス(格安SIM)など、(契約業務全般を代行する)実店舗を持たない通信サービスでは、解約を含む一部の手続きがネットや電話で行えます。

 MVNOサービスと大手キャリアのサービスは、どちらも法的には手続き時の説明義務は変わらないはずなのに、大手キャリアはキャリアショップに来店しないと(手続きを)行えないのは改善すべきです。来店客にもよくそう言われます。

 もし、ネットでできる手続きが増えれば、スタッフ(店員)の負荷もお客さまの負荷も軽減できるはずです。


 筆者自身がショップの販売現場に立っていた時、長時間待たせてしまったお客さまからお叱りの言葉を受けたことは何度もあります。その度に、「事前予約を活用してほしい」とお伝えすることもありました。

 一方、現在はいちユーザーとして来店予約を使う立場ですが、その予約枠に融通が利かないことに不満を感じる1人でもあります。

 端末修理のネット受け付け対応など、店頭でないと行えない手続きは減ってきているものの、今回話として挙がったように、解約などいまだにネットではできない手続きもあります。もっとも、各種手続きをネットでもできることを知らない人も少なからずいて、知っていても自分でネット手続きをするのは不安だというユーザーも多くいます

 ショップの事前予約はもっと活用されるべきです。しかし、本稿でも述べてきたように、手続きを受け付けることが店舗にとっての「リスク」や「デメリット」となりうる、現状のキャリアと代理店の関係や、“複雑な”料金やサービスによってオンライン手続きを煩雑に感じてしまうユーザー心理を改善していくような工夫も合わせて行わなければ、「宝の持ち腐れ」になってしまうのではないでしょうか。

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