「OCN モバイル ONE」が月額980円〜の新料金プラン発表 “業界トップ返り咲き”を狙う(1/2 ページ)
NTTコミュニケーションズが、「OCN モバイル ONE」向けの新料金プランを発表。光回線とのセットによる割引きにより、音声対応SIMで月額980円から利用できる。200kbpsの低速でも快適に利用できるよう、ネットワークの品質改善も行う。
NTTコミュニケーションズは2019年11月20日、同社のMVNOサービス「OCN モバイル ONE」において、光回線とのセットによる割引きにより、音声対応SIMで月額980円(税別、以下同)から利用できる新料金プランの提供を開始した。同日に実施された発表会では新料金プランの狙いや、通信品質改善に向けた取り組みなどについて説明された。
「OCN 光」のセット契約で、音声SIM+1GBが月額980円に
OCN モバイル ONEの新料金プランは、通信容量に応じて1GBから30GBまで6つのコースが用意されており、料金は音声通話SIMの場合月額1180円〜5980円で利用できる他、最低利用期間や違約金も設けられていない。さらに固定ブロードバンドサービスの「OCN 光」のセット契約で適用される「OCN光モバイル割」によって、月額200円が割り引かれことから、最も安い1GBのプランでは、音声通話SIMで月額980円での利用が可能になるという。
OCN モバイル ONE サービスプロデューサー、木藤暢俊氏は、新料金プランの狙いを説明。2019年10月に電気通信事業法の改正があり、いわゆる“2年縛り”の違約金上限が1000円に規制されるなど大きな変化が起きたものの、現在の市場環境を見るに「そんなに大きな変化は感じていない」と話す。
それでも今後、解約しやすくなったことでモバイル市場に大きな変化が起きることを見越して提供したのが、今回の新料金プランだという。そしてそのモチベーションとなっているのが、現在のMVNO市場におけるNTTコミュニケーションズのポジションにあるという。
同社は2013年4月に「OCNモバイル エントリーd LTE」でMVNOとして格安SIM市場に本格参入し、「ギークやイノベーター層に好評を得て、こんなに売れるのかというくらい売れた」(木藤氏)というほど販売を急拡大。2016年3月末時点ではMVNOとして、20%超のトップシェアを獲得するに至ったのだが、その後ライバルの急伸などもあり、同社のシェアは2019年3月末時点で10.3%と約半分にまで落ち込んでいるという。
ここまでシェアが落ち込んだ理由について、木藤氏は「われわれに提供するサービスの料金や品質が、多くのお客さまに満足いただけなかったのが原因」と説明。原点に立ち返り、低価格で高い品質のサービスを提供することで、再びシェアナンバーワンを獲得することを目指すべく、今回の新料金プラン投入に至ったのだそうだ。
そこで今回の新料金プランでは、基本料以外の部分でも低価格で利用できることに注力した。その1つが通話定額サービスであり、音声対応SIMで新料金プランを契約することで、通常月額850円かかる「OCNでんわ 10分かけ放題」のオプションを、申し込み完了月の翌月から12カ月間、月額300円で利用できるキャンペーンを提供する。
そしてもう1つは通信容量の追加で、新料金プランでは500円を支払うことにより、1GBの容量追加が可能になる。一般的なMVNOのサービスでは500円で0.5GB分の容量追加となることから、「実質的には半額」と木藤氏はそのコストパフォーマンスに自信を見せる。
それに加えて他社から番号ポータビリティで新料金プランに転入した場合、合計で4000円を月額料金から割り引く施策も提供する。これは2年縛りの違約金1000円と、番号ポータビリティの「手数料3000円」が乗り換えのハードルになっていることから、その分を実質的に負担することで、加入促進を進める施策になると、木藤氏は話している。
低速通信利用に規制を入れ、全体の品質を向上
OCN モバイル ONE テクニカルプロデューサーの藤原康行氏は、ネットワークの品質改善に向けた取り組みについて説明した。
藤原氏によると、MVNOユーザーは料金の安さに魅力を感じている一方で、データ通信の速度が遅くなりやすいなど、やはり通信品質に不満を感じている人が多いとのこと。その理由、特にMVNO特有の問題として挙げられるのは、昼休みなど利用者が多い時間帯に帯域幅が圧迫されてしまうことだ。
そこで同社ではトラフィックコントロール装置を自前で導入するなど、技術革新による通信品質の向上に努めてきたが、それでもまだネットワーク品質に不満の声が挙がっているのが実情だという。そこで新料金プランの導入に当たって実施することになったのが、低速通信利用時の帯域制限である。
OCN モバイル ONEでは多くのMVNOと同様、高速通信料金を使い切った後は通信速度が200kbpsに低下するものの、その後も無制限で通信ができる仕組みを採用している。しかしごく一部の利用者が低速通信を非常に高い頻度で利用し続けており、それが低速通信利用分の帯域を増やし、帯域全体を圧迫する原因の1つになっているというのだ。
そこで新料金プランでは、契約したコースの通信容量の半分以上を低速通信で利用したユーザーに対し、さらなる帯域制限を実施するとのこと。これにより低速通信用の帯域幅を減らし、多くのユーザーの通信品質向上につなげられると藤原氏は説明している。追加の制限を受けた場合の通信速度がどれくらいになるのかは「公表できないが、顧客の声を聞いて変えていくことになると思っている」そうで、現在はテキストによるコミュニケーションができるくらいの速度に抑えられているとのことだ。
もっとも、この規制が導入されるのは新料金プランに限定され、従来の料金プランには適用されない。ただし双方の料金プランは「論理的に帯域を分けた設計になっている」ため、新料金プランの方が規制によって帯域幅を多く確保できる分、多くの人が高速通信を快適に利用できるとしている。
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