○○Payとは競合しない アプリも個人情報も不要な「QUOカードPay」が狙う市場:モバイル決済の裏側を聞く(2/2 ページ)
全国共通のギフトカード「QUOカード」をデジタル化してバーコード決済で使えるようにした「QUOカードPay」が2019年3月に始まった。QUOカードPay1億円分が1人に当たるプレゼントキャンペーンも話題になった。なぜ、あえてコード決済を取り入れたのか。
今後はコード決済と合わせて広がっていく
QUOカードPayが使える店鋪はローソンの他、東急ハンズ、サンドラッグ、有隣堂、三省堂書店といった書店など多数ある。2019年7月時点で加盟店は1万6000店舗だが、対応店舗は日々増加している。ただ、物理カードのQUOカードが使える店舗とは異なるので注意が必要。QUOカードとQUOカードPayの導入方法が異なるためだ。
QUOカードPayはバーコードを読み取って決済するので、方式としてはスマホのコード決済と同じだ。物理カードのQUOカードは、専用のカードリーダー購入する必要がある。QUOカードPay対応の書店が多いのは、書店に置いてあるQUOカードリーダーの大掛かりな改修をせずにQUOカードPayに対応できるためだ。
大手流通各社には、QUOカードPayにレジシステムを対応してもらわなくてはいけないので、ある程度の時間がかかるが、対応店鋪は増えていく見通し。
「スマホのコード決済を取りまとめて一気に対応させるペイメントのソリューションを提供しているゲートウェイ事業者が存在するので、そこにQUOカードPayも加えてもらい、ゲートウェイ事業者から店舗や企業に提案してもらっています。今後、長い目でみれば、スマホ決済の普及と同じようにQUOカードPayが使えるお店が広がると予想しています」(瀧上氏)
QUOカードPayは、発行手数料6%で購入できる。つまり500円のQUOカードPayは530円で購入できる。写真やイラストなどを使ってオリジナルの券面デザインにすることもできるが、制作費などは基本的に掛からない。法人をメインに販売しているが、個人でも購入できる。現在はPC向けのECサイトしか用意していないが、2019年12月中にはスマホ向けのサイトもオープンする予定なので、個人でも買いやすくなるはずだ。
コード決済とは異なるフィールドで戦う
QUOカードPayはデジタルのギフトカードなので、購入者は送り主。QUOカードPayの顧客は送り主ということになる。
「送り主に付加価値を提供する必要があります。使う側からすると、クリックしてバーコードがすぐに表示された方が使い勝手はいい。しかし、あえて支払いボタンを押さないとバーコードが表示されないようにしているのは、あくまでお客さまは送り主様だからです。どちらを向いて何を作っているかは、はっきりさせているつもりです」(瀧上氏)
だから、コード決済とは「フィールドが違う」。どちらかといえばAmazonギフト券などが競合だ。残高の出金についても考えていないという。もう一方の顧客である「加盟店で使ってもらいたい」という考えからだ。
他のコード決済とは競合しないサービス。むしろ、加盟店を拡大する際には、コード決済サービスの広がりがメリットになった。「それまではお店に説明しても、『コード決済は全然使われていないんでしょ』という反応がほとんどでした。でも、PayPayさんの登場でそれが激変しました。コード決済事業者にとっては大変でしょうが、われわれにとってはよかった」(瀧上氏)
多くの人にQUOカードPayを手に取ってもらえる手応えは感じているが、「キャッシュレス社会を変革していく」といった大それたものとしてではない。「いろいろなところでキャンペーンをやっていただいて、ちょっとうれしいサービスとして認識してもらいたい」と瀧上氏は言う。
ポイント還元やキャペーンにばかり注目が集まり、継続的に利用してもらうことに苦労しそうなコード決済に対し、QUOカードPayは、贈る側と受け取る側、双方にとって魅力的なサービスとして浸透していきそうだ。
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