ドコモ吉澤社長が5Gの料金体系に言及 「無制限プランも選択肢の1つ」「LTEより大幅には高くならない」
NTTドコモの決算説明会で、吉澤和弘社長が5G時代の料金体系について言及。無制限プランを選択肢の1つに考えていることを明かした。料金はLTEよりもやや高くなるようだが、大幅には高くならないとした。
「アンリミテッド(無制限)のプランも選択肢の1つだと考えている」――NTTドコモの決算説明会で、吉澤和弘社長が、5G時代の料金体系について言及した。
ドコモは大容量プランとして「ギガホ」を提供している。同プランは、高速・大容量通信がさらに進む「5G」を見据えたものではあるが、KDDIが提供している「auデータMAXプランPro」のような無制限プランの提供には至っていない。KDDIはauデータMAXプランProの値下げも発表したが、吉澤氏は「われわれがそれに対して何か動くということは、今のところない」と静観の構え。
しかし5Gがスタートしたら話は別。5Gの料金プランはまさに検討中の段階だが、冒頭の発言にもある通り、「アンリミテッドは考えられる」と吉澤氏。料金水準については「5Gのビット単価は4Gより安くなるので、(料金プランは)LTEよりも高くなるだろうが、大幅に高くなるとは思わない」との見通しを示した。
5Gの商用サービス開始時期について、KDDIとソフトバンクは「2020年3月」を予告しているが、ドコモは「2020年春」とややあいまい。決算会見でも具体的な開始時期について吉澤氏は明言を避け、「今年(2020年)の春」と変わらぬコメント。「ローンチ前に発表会をやりたいと思っている。そこで料金やサービス、ソリューション、端末も含めてお話をしたい。今、そこに向けていろいろな準備を進めている。ネットワークの過負荷試験をやっているので、もう少しお待ちいただきたい」とした。
ドコモは3月18日に「SixTONES(ストーンズ)」と「Snow Man」のスペシャルイベントを実施。ライブビューイング会場では5G回線を使って8KVR映像を配信するが、商用サービスの開始時期が決まっていない以上、これが5Gのプレサービスになるのか商用サービスになるのかは未定のようだ
5Gサービス開始当初のネットワークについて、同社は2024年度末までに97%の基盤展開率を計画しているが、「スタート時点は広いエリアを確保できるわけではなく、スモールで行かざるを得ない。ある拠点の数をいくつという形でお示しする」と吉澤氏。6月には全都道府県、2021年には1万局の5G基地局を展開する予定。一方で品質については、「つながることは当たり前。速度は、もともと考えていた仕様に近づいてきている。過負荷試験も人を掛けてやっており、多数のお客さんが使っても対応できる。しっかりした品質のものでスタートさせたい」と自信を見せた。
同社は2020年1月から、大容量プラン「ギガホ」の高速データ容量を、従来の30GBから60GBに増量。キャンペーンという立て付けではあるが、終了時期は未定で、そのまま60GBに改定される可能性もある。増量後の反響について吉澤氏は「お客さまからは非常に好評。(ギガホへの)プラン変更やポートイン(ドコモへの転入)の効果もある」と手応えを話す。
60GBに増やした背景について吉澤氏は「(データ通信を)かなり使う方のポートアウト(他社への転出)が少し増えていた」と認める。増量の結果、2020年1月のポートアウトは改善しており、ヘビーユーザーのニーズに応えることができたようだ。
ギガホと「ギガライト」の契約数は、2019年12月31日時点で1114万に上り、2020年1月18日に1200万を突破。2019年度末の目標に掲げている「1700万」に向けて堅調に推移しているとした。同社はギガホとギガライトの契約者向けに「Amazonプライムの1年間無料」と「ディズニーデラックスとのセット割」を展開しており、これらの施策からも新料金プランへの移行促進を図っていく。
特に移行させたいプランがギガホだ。ドコモは、新料金プランで2019年度に2000億円をやや下回る程度の還元を予定しており、2019年度第3四半期は前年同期比で減収減益となった。そこで、これまで低容量〜中容量のプランを契約していた人をギガホに移行させることで、収益の改善を図りつつ、ポートアウトを抑止して顧客基盤を強化していく。60GBの増量もその一環といえる。ギガホの強化、その発展系である5Gの料金プランをいかに使ってもらうかが重要になる。
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