Google I/Oに続いて、アップルWWDCもオンラインでの開催に――基調講演や記者会見など、動画配信に適したやり方を模索すべき:石川温のスマホ業界新聞
新型コロナウイルスの流行を受けて、IT企業が記者会見やセミナーを「オンライン化」する動きを進めている。しかし、単にオンライン化するだけではなく、それに合った形での実施も模索するべきだ。
3月13日、アップルは例年6月に開催している開発者向け会議「WWDC」を今年はオンラインで行うと発表した。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年3月14日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。
開発者向け会議はすでにグーグル「Google I/O」、マイクロソフト「Build」も今年はオンラインで開催すると表明済み。筆者は例年、この時期は毎月1、2回のペースで海外取材にでかけていたが、Google I/OやWWDCのオンライン化により、6月まで海外出張が一回もないという状況になってしまった。
もちろん、この3月に開催された記者会見などもほとんどがオンラインでの発表となっている。ここ数年、メディア向けの記者会見をオンラインで配信し、一般のユーザーが見られるようにしていたが、今後はそうした取組みがますます加速されることだろう。
コロナ騒動は世界的に危機的な状態ではあるが、このタイミングで記者会見のあり方、メディアと一般に対する見せ方みたいなものを再定義するいい機会ではないだろうか。
これまで、記者会見の動画配信といえば、幹部がステージに立ち、プレゼンを行い、ゲストを招いてのトークセッションというのが定番な流れだ。
今月行われた楽天モバイルやソフトバンクの会見はまさにプレゼンをリアルタイムにそのまま流すというスタイルであった。
しかし、そもそも宴会場やホールなどで記者向けイベントを行わないのであれば、動画配信で流す素材は生でやる必要はない。しかも、ステージ上でプレゼンする形式にこだわることも意味がない。
企業がメディアと一般に新製品や新サービスをわかりやすく楽しく伝えるのであれば、今後はテレビ番組のように予めスタジオなどで収録し、編集、文字のテロップもバンバン入れた収録番組を流すのもアリなのではないか。もしかしたら、しっかりとしたMCなどもいて、事前にロケしたビデオなどもはさみつつ、紹介するというのも考えられるだろう。
ひょっとすると記者会見がテレビショッピング形式になることも有り得そうだ。
もちろん、WWDCやGoogle I/Oなどのキーノートも、講演形式でやる必要もなくなる。編集しまくりテンポよく新機能やバージョンアップ、新製品を紹介できるようになるはずだ。
記者会見は単なるメディア向けの説明会から、一般ユーザーにダイレクトに発信する場に変わりつつある。
コロナ騒動により、あらゆるものがオンライン化していくなかで、「オンライン時代の記者会見のあり方」も再考すべきタイミングなのではないだろうか。
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