ドコモ、新型コロナの影響で来店数が7割減 5Gのエリア構築に遅れも?
NTTドコモの吉澤和弘社長が、4月28日の決算説明会で、新型コロナウイルス感染症が同社に及ぼした影響について説明した。ドコモショップの営業時間が短縮したことで、来店数が前年比で7割減ったという。5Gの設備投資も遅延が見られるという。
NTTドコモの吉澤和弘社長が、4月28日の決算説明会で、新型コロナウイルスが同社に及ぼした影響について説明した。特に3月25日に商用サービスを始めた「5G」の展開にどこまで影響があるのかが気になるところだ。
モバイル通信トラフィックについて、音声通話は対面コミュニケーション機会が減ったことで増加しているが、「実際は定額に入っている人がほとんど。定額プランが増えているというと必ずしもそうではない」(吉澤氏)とのことで、収益アップにつながるかは微妙なようだ。
データ通信は増加傾向にあるが、新型コロナウイルスの影響かは見えにくい状況。2020年1月から「ギガホ」の月間データ容量を30GBから60GBに増量したことで、1月〜2月は対前年で5〜6%伸びたそうだが、3月後半以降はそれほど伸びていないため「微増」と言うにとどめている。一方、渡航者や来訪者が減ることで、国際ローミングは大幅減となっている。
端末販売や通信サービス契約については、ドコモショップの時短営業、端末物品の納入遅れ、4Gや5Gへの移行が減速することで、減少している。4月時点のショップへの来店数は、対前年比で7割減となっているという。特に60〜70代の来店が減っており、ケータイからスマートフォンへの移行も鈍化しているようだ。オンラインでの販売数は増えているが、ドコモショップのマイナス分が上回っている。
5Gの契約数は3月末時点で1万4000で、こちらは「計画通り」(吉澤氏)との評価。現在の5G契約数は4万弱で、4月末に4万を超える見通し。料金プラン「5Gギガホ」の選択率は約半分とのことで、LTE向け「ギガホ」の20数%と比べると約2倍多い。現時点で5Gエリアは非常に限られることから、(キャンペーンによって)容量無制限で使えるプランに魅力を感じて5Gを契約している人も多いようだ。
コンテンツは在宅需要が高まることで微増となるが、店頭での販売が減ることで微減の側面も。dポイント、dカード、d払いなどの金融・決済関連は外出自粛や消費の落ち込みにより減少になる。
設備投資については、物品納入や建築工程が遅れることで、遅延が見られる。ドコモは2020年6月までに47都道府県、2021年3月までに政令指定都市を含む500都市に、2021年6月までに1万局の5G基地局を開設する計画だが、新型コロナウイルスの影響で、この数字を見直す必要が出てくる可能性もある。「工事業者にはフルで対応してもらっているわけではない。年度内の500都市はぜひ実現させたいが、新型コロナの影響で今と同じような状況で続くと、2021年6月までの1万局はかなり難しくなると思う」と吉澤氏は言う。
新型コロナウイルスの影響が半年続くのか1年続くのかが分からず、不確定要素が多いことから、業績予想の合理的な算定が難しいと判断。「前年度と同水準の利益は目指したい」(吉澤氏)が、2020年度の業績予想は現段階では非公表としている。吉澤氏は「通信サービスの安定運用に努めるとともに、ドコモが果たすべき役割を考えて、新型コロナウイルスの感染拡大の防止、社会構造の変化に対応して、新たな価値相応や社会課題の解決に取り組んでいく」と話した。
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