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UQ mobile統合の目的は? 楽天モバイルの5GBは「寝耳に水」――KDDI高橋社長一問一答(2020年5月編)(1/2 ページ)

KDDIが2019年度の通期決算を発表した。この記事では、報道関係者向けの決算説明会で行われた質疑応答のうち、UQ mobile統合と楽天モバイルに関する部分をまとめる。

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 KDDIは5月14日、2019年度の通期連結決算を発表した。第4四半期(2020年1〜3月)で「新型コロナウイルスの感染拡大」という大きなマイナスにつながり得る事象が発生したものの、通期では増収増益を確保した。2020年度の通期連結決算も、現時点ではわずかながら増収増益となる予想を立てている。

 この記事では、同日に行われた報道関係者向け決算説明会における質疑応答で行われた、UQ mobile事業の統合(承継)と楽天モバイルに関するやりとりを簡単にまとめる。

概況
2019年度通期の連結業績の概要。増収増益を維持した
2020年度の予想
2020年度通期の連結業績の予想。現時点では、わずかではあるが増収増益となる予想を立てている
高橋社長
KDDIの高橋誠社長。説明会自体はいつもの会場で行われたようだが、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、記者はリモート参加となった(写真提供:KDDI)

UQ mobile事業の統合について

―― UQ mobileの事業を承継する件についてお聞かせください。これまでも、(KDDIとUQコミュニケーションズは)それなりに密な関係を構築していたと思うのですが、KDDIにUQ mobileの事業を統合することでどのようなメリットがあるのか、もう少し詳しく聞かせください。

高橋社長 KDDIとUQコミュニケーションズは経営的には別会社で、意思決定はそれぞれが独立して行っていました。今回の統合で(UQ mobileについては)それが大きく変わることになります。

 決算説明でも話しましたが、大きく3つ(の狙い)があります。

 1つ目は「通信とサービスの営業体制強化」です。auとUQ mobileの営業体制を統合することで、グループID増につなげていきます。他社の動向を見ていても、ユーザーの多様化が進む中で、1つのブランドだけで対応するよりも、複数のブランドで多様化したユーザーにアプローチしていくことが自然な姿になりつつあると考えています。

 「たくさんのデータや動画を安心して扱いたい」という人もいれば、「とにかく低料金に抑えたい」という人もいます。昔と比べると、この観点での多様化は本当に進んでいると思うので、複数のブランドでアプローチするのが重要なのかなと。

 2つ目は「新たな価値の提供」です。KDDIでは「通信とライフデザインの融合」を進めています。auだけではなく、UQ mobileでも、MVNOとしてのビッグローブやJ:COM(ジュピターテレコム)でも、(グループの)ライフデザインサービスを乗せることで、グループ全体のエンゲージメント(サービスを通した結びつき)を高めること重要だと考えます。

 現在、上位レイヤー(OTT)サービスのオープン化(キャリアフリー化)も進めている所ですが、このことについては近日、別の機会を設けて話していきたいと思います。

 3つ目は「グループ事業の効率化」です。KDDIとUQコミュニケーションズで重複している業務や店舗運営はもちろん、コーポレート分野でも効率化を図れると思います。5Gの本格展開に向けた経営資源の効率化でも、非常に大きなメリットが得られると考えています。

 UQのメンバーを迎え入れることによって、よりチームワークを高めて、よりお客さまに寄り添っていきたいと思います。

UQ mobileを統合
KDDIは、UQコミュニケーションズが沖縄県以外で展開する「UQ mobile」の事業を10月1日付で統合する予定
グループID基盤強化
グループ全体でグループ外への流出を抑止しつつ、新規契約の獲得も狙う

―― UQコミュニケーションズについて、今後もコンシューマ向けに「UQ WiMAX」は提供するのでしょうか。5G時代を迎える中での同社、あるいは同サービスはどういう位置付けになるのでしょうか。

高橋社長 UQコミュニケーションズ自体は、Band 41(2.5GHz帯)を利用するMNOとして、WiMAX 2+を引き続き提供します。MVNOにWiMAX 2+ネットワークを提供する事業も継続します。

 今後は全ての経営リソースを(モバイル)ブロードバンドに注ぐことによって、安定した収益を得られると見込んでいます。Band 41の電波は効率の良いものなので、そういう意味でも、5Gへの対応を進めていけば、高速無線データ通信へのニーズにも応えられるはずです。

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