コロナ禍でニーズ増す金融サービス 「LINE Score」「LINE Pocket Money」の戦略とは?(2/2 ページ)
LINEのスコアリングサービス「LINE Score」の登録ユーザーが500万人を突破した。LINE Scoreは個人の信用度を独自の基準で点数化することで、金融サービスをはじめとした各種サービスへの展開を図ろうとしている。それを実際に活用しているサービスとして個人向けローンサービス「LINE Pocket Money」がある。
消費者金融大手3社に比べて平均で約4%低い金利
一般的なローンでは契約限度額の大きさに比例して金利が低くなり、少額帯では金利が高いという傾向があったが、Pocket Moneyならスコアに応じて額にかかわらず金利が決まり、消費者金融大手3社に比べて平均で約4%低い金利になっているという。これには、もともと店舗を持たず、広告宣伝費や人員のコストが低いという競争優位性の効果という面もあるようだ。
さらに、他の大手では100万円未満の極度枠で5%を切る利息の設定がない状況だが、Pocket Moneyでは最低で3%という利率を実現。平均でも11%と他社よりも低い数字になるそうだ。加えて5月31日までの期間限定で、利息分をLINE Pay残高として返金するキャンペーンを実施している他、6月11日からは新規契約日から利息100日間実質無料として、利息をさらに安価に抑えられるようにする。
またPocket Moneyの利用者の多くはLINE Pay残高から出金して現金化をしているという。LINE Payで支払えないサービスも多いためだが、現状、この出金にはLINE Payの仕様として出金手数料が発生する。これに対して、6月から出金手数料無料化のキャンペーンを実施する計画で、反応を見て無料化を定常化するか判断するそうだ。
新型コロナの影響でPocket Moneyの利用が増加
LINE Scoreによるスコアリングと実際の貸し倒れ発生率などとの相関は、「まだスタート8カ月のサービスで評価する段階にはない」と同社。ただ、延滞発生率などの指標では、他社の統計データと比較しても極端に高いということはないようで、「想定の範囲内」だという。今後、サービス提供が続くことでスコアリングモデルの改善を見込む。
新型コロナウイルスの影響で、Pocket Moneyの利用者は4月には前月比116%と拡大。他社が無人機の営業短縮などで申込数が減少する中、スマートフォンで完結することで利用者が伸びた。今後の新型コロナの影響度合いによって、さらに突発的な資金需要が増えると予測され、そうしたニーズに応えたい考えだ。
日本では、クレジットカードは1回払い、キャッシングや個人向けローンは忌避されるという傾向がある。リスクはあるし、返済に関して計画的な利用が必要になるのは確かだが、必要なときに必要な金額の融資を受けて、きちんと返済するというのは海外ではネガティブな行為ではなく、同社ではそうした意識の変化も目指していきたいとしている。
新型コロナウイルスの影響は、フリーランスや個人事業主への影響も大きかったが、逆に「多様な働き方に対する法的な保護が整備される可能性が高い」という認識を同社は示す。そうした点から、現時点でLINE ScoreとPocket MoneyというCredit Techのサービスをさらに拡大する意向。
今後、個人向けローンサービスに加えて中小企業向けローンやあと払い、保証サービスを展開していく。LINE Score自体は個人向けのスコアリングモデルのため、全く異なるスコアリングモデルを採用していく計画だ。
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